eぶらあぼ 2015.1月号
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58 ©Sakai Koki佐藤俊介の現いま在 Vol.1 ヴァイオリン × ダンス―奏でる身からだ体 2015.2/14(土)15:00 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール問 彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 http://www.saf.or.jp/arthall音楽とダンスを結ぶもの取材・文:宮本 明Interview佐藤俊介(ヴァイオリン) アーティストが3年間にわたって自身の企画で公演する、彩の国さいたま芸術劇場の『現在(いま)』シリーズ。2015年2月からの第4弾には、ヴァイオリンの佐藤俊介が登場する。初回のタイトルは『ヴァイオリン × ダンス─奏でる身体(からだ)』。ダンサー柳本雅寛、アート・ディレクター田村吾郎とのコラボレーション企画だ。単に音楽に合わせたダンスではなく、3人が欲しいイメージを先行させ、そこに曲を当てはめてステージを作っていく。音楽が最優先順位ではないのがユニーク。 「コラボレートする上で、1曲を全部弾く必要はないと考えています。たとえば、楽章単位に曲の持つ緊張感はキープした上で、通常2回リピートする箇所を10回繰り返す、などのことはあるかもしれません。 すでにリハーサルを始めましたがとても楽しいです。その場で作り上げていく作品なので、予定している演奏曲目も最後は変わるかもしれません」 舞踊との共作の発想は、さる5月に佐藤と結婚した妻、スーアン・チャイがピアノとプロデュースを担当した、ジョン・ケージの音楽と舞踊のコラボレーションから得た。 「音楽家も身体を動かして音を出しているという接点があるわけですが、さらに、ダンスと絡み合って舞台の一部になっていることに興味を感じました。そして、単に動きがきれいなだけではなく、裏付けとなる動機やストーリーがなければ意味がない。 柳本さんは動機がないと踊れないというダンサーだし、僕も裏付けのないきれいなだけの演奏には興味がない。そういった大切な結びつきがあるので、とても順調にいっています」 同シリーズの次回以降の内容も固まっている。第2回はメンデルスゾーンと姉ファニー、シューマンとクララの4人の室内楽作品を19世紀のピリオド楽器で弾く。ピアノはスーアン・チャイ、チェロは鈴木秀美、ヴァイオリンは岡本誠司、ヴィオラは原麻理子という豪華布陣だ。 2017年の第3回はクラリネットとピアノとの三重奏。 「この編成の作品は20世紀初めに集中していますが、僕はそのあたりの曲をあまり弾いたことがないので、新たなチャレンジです。ヒストリカル・クラリネットのロレンツォ・コッポラさんとの共演。ピアノは小菅優さんです」 今後も異分野との共作を念頭にした活動を続けていくのだろうか。 「柳本さん、田村さんとのチームは素晴らしいので1回だけではもったいない、何か口実でも作って(笑)、ぜひリピートしたいと考えています」【特別企画】《さまよえるオランダ人》(演奏会形式) 2015.1/16(金)19:00 新国立劇場(中)【本公演】 《さまよえるオランダ人》 2015.1/18(日)14:00、1/21(水)14:00、1/25(日)14:00、1/28(水)19:00、1/31(土)14:00 新国立劇場 オペラパレス問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp/opera特別企画 ワーグナー 歌劇《さまよえるオランダ人》(演奏会形式)カヴァー歌手に聴く、新国立劇場の底力文:唯野正彦小森輝彦城谷正博 新国立劇場が2015年1月、ワーグナーのオペラ《さまよえるオランダ人》を上演する。ワーグナーを得意とする飯守泰次郎がオペラ芸術監督就任後自身の指揮する2作目とあって注目を集めるが、これに先立ち「特別企画」としてピアノ伴奏版(!)による演奏会形式での上演が行われる。指揮は、こちらもワーグナーを得意とする、同劇場音楽チーフの城谷正博。キャストは題名役の小森輝彦以下すべて本公演時のカヴァー歌手陣。ピアノは木下志寿子。 オペラを上演するにあたり、本キャストに代わっていつでも歌える状態でスタンバイするカヴァーの存在はきわめて重要だ。どんな劇場でもカヴァーなしには上演は難しい。同劇場のカヴァー陣には日本を代表する歌手が“綺羅星”のように並んでおり、これまでもファンの間からはカヴァーによるさらなる上演を望む声が上がっていたから、待望の公演だ。また、ピアノ伴奏版による上演とあって、ワーグナーの巨大なオーケストレーションからは聞こえにくかった、より細かいディテールまでをも耳にできる絶好の機会となる。
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