eぶらあぼ 2015.1月号
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41井上道義(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団直感的に“わかる”現代音楽名作集文:江藤光紀秋山和慶指揮者生活50周年記念演奏会指揮者人生をふりかえり、デビュー公演を再現文:飯尾洋一#534 定期演奏会2015.1/29(木)19:15 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス   03-5610-3815 http://www.njp.or.jp2015.2/11(水・祝)15:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp かねて病気療養中だった井上道義が、秋口から元気に活動を再開している。1月には付き合いの深い新日本フィルハーモニー交響楽団の定期に登場。現代音楽だけで勝負するという選曲に、「新日本フィルでやったら面白いと思うプログラムを選んだんですよ。これで失敗したら俺も新日本フィルも、もうやめるから」ときっぱり言い切る。 井上が自信をもって贈るのは、前衛音楽が熱かった1960年代に相次いで書かれた“アヴァンギャルドの古典”といってもいい名作集だ。まず武満徹の「地平線のドーリア」(1966)。舞台上に特殊配置されたオーケストラのなかから、アルカイックなメロディー(のようなもの)が点描風に浮き上がる。リゲティの「ロンターノ」(1967)では、かなたから現れた小さな音が次第に膨れ上がったかと思えば、再び耳をそばだてさせるかすかな響きになり…。たっぷりとしたサウンドの変化が、悠久の時間・広大な空間の無限性・神秘性を象徴 名匠、秋山和慶が指揮者生活50周年を迎える。その50年間の集大成というべき記念演奏会が開催される。オーケストラは1964年2月にデビューを果たした東京交響楽団。ブラームスの交響曲第2番、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(独奏は神尾真由子)、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲というプログラムは、デビュー公演の再現だ。 秋山和慶は1941年生まれ。1963年に桐朋学園大学音楽学部を卒業した。この年オープンした日生劇場に、ロリン・マゼールとともにベルリン・ドイツ・オペラが招聘された。オペラ公演の合間にマゼールが東響の定期公演を指揮することになり、マゼールとの正式な練習の前に譜読みをしておこうということで、東響は当時22歳の秋山を指揮台に呼んだ。秋山の的確な指揮ぶりは楽員たちの信頼を獲得し、これがきっかけとなって、翌年に東響の指揮者となりデビュー・的に表現する。井上が「騒音です、だけど音楽です」と語る「ノモス・ガンマ」(1968)は、建築家でもあったクセナキスが高度な数学を用いて作曲したものだが、そこで炸裂するエネルギーは凄まじいもので、聴き手を圧倒すること間違いない。 選曲の意図は明瞭だ。一見とっつきにくいけれど、ライヴで接すればどれも直感的に“わかる”音楽なのだ。難しい理屈はさておいて、まず体験してみること。だからこそ固定ファンが聴きにくる定期で演奏する意味がある。現代音楽は難しいと思っている人ほど、チャレンジしてほしい。井上が四肢をいっぱいに広げた伸びやかな指揮ぶりで手招きする先に、あなたがまだ知らない快楽の世界が待っているかもしれないのだから。コンサートが開かれたという。 以後、秋山はアメリカ交響楽団、バンクーバー交響楽団、シラキュース交響楽団の音楽監督を歴任するなど国際的に活躍し、現在でも東響桂冠指揮者をはじめ、広島交響楽団音楽監督、九州交響楽団桂冠指揮者、中部フィルのアーティスティック・ディレクターを務めるなど、旺盛な活動が続いている。 今や名匠となったマエストロが、その原点を振り返る記念演奏会。一期一会の特別な機会となるだろう。井上道義 ©加納典明神尾真由子 ©Shion Isaka秋山和慶

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