eぶらあぼ 2015.1月号
165/209
168CDCDCDCD吹奏楽燦選~嗚呼!アフリカン・シンフォニー/藤岡幸夫&東京佼成ウインドオーケストラカルボナーレと巡る音楽旅行/アレッサンドロ・カルボナーレアヴェ・ヴェルム・コルプス~イングリッシュ・ハンドベル作品集/クローバーベルフレンズRomantic Sonatas/フリーデリケ・キーンレW.スミス:海の男達の歌/樽屋雅徳:マゼランの未知なる大陸への挑戦/兼田敏:嗚呼!/久石譲:吹奏楽のための「ランナー・オヴ・ザ・スピリット」/伊藤康英:ラ・フォリア/マッコイ(岩井直溥編):アフリカン・シンフォニー 他藤岡幸夫(指揮)東京佼成ウインドオーケストラデ・リベラ:小組曲/サラサーテ:カルメン・ファンタジー/イトゥラルデ:ギリシャ組曲/ドビュッシー:第1狂詩曲/ストラヴィンスキー:3つの小品 他アレッサンドロ・カルボナーレ(クラリネット)黒田亜樹(ピアノ)モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス/ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ/カプア:オー・ソレ・ミオ/シベリウス:安かれわが心よ/J.シュトラウスⅡ:南国のバラ/サルディバル:花祭り/日本古謡:華~さくらさくら変奏曲 他大塚安宏(指揮)クローバーベルフレンズR.シュトラウス:チェロ・ソナタ/ボロディン:同/エルガー:愛の挨拶/サン=サーンス:白鳥フリーデリケ・キーンレ(チェロ)山田陽子(ピアノ)日本コロムビアCOCQ-85096 ¥2700+税収録:2012年2月,5月、東京(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7772 ¥2500+税マイスター・ミュージックMMKK-7042 ¥1890+税コジマ録音ALCD-7187 ¥2800+税日本のトップ楽団が、「吹奏楽の定番と今後の定番化が期待される作品」を、セッションで録音するシリーズの第3弾。邦人作品(どれも力作)の多さが特徴だが、「ラ・フォリア」を「青少年のための管弦楽入門」風にアレンジした伊藤康英の委嘱作、久石譲の初吹奏楽曲である「箱根駅伝」のテーマ、5月に死去した岩井直溥のポップスを含む多彩な内容は、実に愉しい。吹奏楽初挑戦の藤岡も、根底に気品を漂わせつつ、ライヴさながらの活力溢れる音楽を展開。特にW.スミス、樽屋作品等の「タルカス」にも通じる熱気と高揚感が、独自の魅力を創出している。(柴田克彦)演奏経験者や管楽器ファンのみならず、聴く人を次から次へ虜にするスーパー・ヴィルトゥオーゾの、7つの国の作曲家の作品による世界旅行という企画物。ジャズや民俗音楽、現代音楽などさまざまなエッセンスをバック・グラウンドにしたセンス良い選曲だ。ともかく笑っちゃうぐらいの物凄いテクニックは、もともと超絶技巧ヴァイオリン曲として有名なサラサーテの「カルメン幻想曲」を聴くのが一番わかりやすいだろう。イトゥラルデの「ギリシャ組曲」では客席から歓声や笑いが起こるのも収められ、舞台での彼のエンターテイナーぶりも伝わってくるようで楽しい。(宮本 明)音の立ち上がり、持続と減衰、ハーモニーの色合い、それら全てがどの楽器、どんなアンサンブルとも異なるイングリッシュ・ハンドベル。日本における第一人者の大塚安宏と、結成20年を迎えようとするクローバーベルフレンズによるアルバムは、66個のベルによる大編成で、モーツァルトの合唱曲、ショパンやラヴェルのピアノ曲、そして日本古謡の「さくらさくら」など、「花」をテーマにした曲など、全13曲を聴かせる。温かくも透明感に満ちた響きは、冬の寒さにかじかむ身も心もほぐしてくれる。同時に、ハンドベルの豊かな音色や強弱の変化、自在な音楽表現に驚く一枚だ。(飯田有抄)ドイツに生まれ、北海道教育大学で教えながら、欧州と日本で演奏活動を行うキーンレの初アルバム。ピアノも北海道を拠点とする盟友・山田陽子が務める。まずはR.シュトラウスとボロディンの初期のソナタを並べた選曲が妙味。特にボロディンの作品(別人作曲の第3楽章を含む補作版)は大変珍しく、資料的な価値も高い。演奏自体は、重厚な音でスケール大きくかつ細やかに奏でるキーンレが好演を展開。作曲者若き日の意欲を存分に伝えてくれる。中でもボロディンの第2楽章の抒情的な歌は聴きもの。有名小品2曲も、衒いのない表現による丁寧な演奏が光る。(柴田克彦)
元のページ