eぶらあぼ 2014.12月号
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69有田正広(指揮) クラシカル・プレイヤーズ東京満を持してのベートーヴェン「運命」文:寺西 肇ウィーン・リング・アンサンブル名手たちが運んでくるウィーンの香り文:オヤマダアツシ2015.2/14(土)15:00 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp2015.1/6(火)19:00 サントリーホール問 カジモト・イープラス0570-06-9960 http://www.kajimotomusic.com他公演 2015.1/4(日)愛知県芸術劇場コンサートホール(クラシック名古屋052-678-5310)、1/9(金)いずみホール(06-6944-1188)、1/10(土)茅ヶ崎市民文化会館(茅ヶ崎市楽友協会事務局0467-82-3744)、1/12(月・祝)田園ホール・エローラ(048-992-1001) 日本の古楽界の先駆者で、近年はオリジナルとモダン双方の楽器の特性を生かした演奏活動を続けるフルートの有田正広が率いるオリジナル楽器オーケストラ、クラシカル・プレイヤーズ東京(CPT)。“王道の名曲”であるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」をメインに据え、ソロ・コンサートマスターを務める豊嶋泰嗣をフィーチャーしてのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」に挑むステージを通じて、日本の古楽シーンに新たな1ページを記す。 有田によってわが国初の本格的なオリジナル楽器オーケストラとして1989年春に結成され、約20年にわたって鮮烈な活動を続けた東京バッハ・モーツァルト・オーケストラのメンバーを中心に、2009年6月に組織されたのがCPTだ。再び有田の指揮のもと、特に古典派以降の作品に焦点を当て、これまで日本ではオリジナル楽器で演奏 彼らのコンサートへ足を運ぶことが、毎年の恒例となっている方も数多いだろう。「彼らこそがミニ・ウィーン・フィルだ」という声も少なくないはずだ。弦・管楽器の首席奏者を中心として1980年代に結成されたウィーン・リング・アンサンブルは、90年代の初頭から毎年のように新年の来日ツアーを行い、祝祭に満ちたウィーンの空気を運んできてくれる。なにしろメンバーは年末にウィーン楽友協会のブラームスザール(小ホール)で恒例のコンサートを行い、ウィーン・フィルのメンバーとしてニューイヤー・コンサートで演奏し、そのまま飛行機で日本へやって来てくれるのだから。 今回の来日メンバーは9名。リーダーであるライナー・キュッヒル、そしてペーター・シュミードルおよびヨハン・ヒントラー(クラリネット)の3人は結成当時からのメンバーであり、ヴィオラのハインリヒ・コルやホルンのヴォルフガング・トムベックら現役のベテラン、さらされなかった作品に果敢に挑戦するなど、野心的な取り組みを展開してきた。 今回は、満を持してのベートーヴェン「運命」。オリジナル楽器の瑞々しい響きによって、手垢が付いたかに思える名曲にも、きっと新たな魅力をもたらしてくれるだろう。そして、新日本フィルやサイトウ・キネン・オーケストラには若手フルートのカール=ハインツ・シュッツなども含めた精鋭だ。彼らならではの小粋な演奏で聴かせてくれるのは、もちろんウィーンの音楽。2015年が没後100年となる“フランスのワルツ王”ワルトトイフェルの「スケートをすのコンサートマスターを歴任してきた豊嶋のソロによる「トルコ風」。果たして、モダン楽器の名手が出した、ピリオド・アプローチの美学への答えとは。さらに、鮮烈な「レオノーレ」序曲第3番も、耳を奪うはず。多彩な選曲と繊細な響きが満たす空間。これ以上の贅沢が、他にあろうか。る人々(スケーターズ・ワルツ)」もプログラムに組まれ、日本のファンに心配りをしてくれるのもうれしい。ホールの中が新年の祝祭感に満ちあふれるコンサートで、2015年の好スタートを!クラシカル・プレイヤーズ東京 豊嶋泰嗣 有田正広

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