eぶらあぼ 2014.12月号
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56ベン・ガーノン(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団 「第九」欧米で注目の“ライジング・スター”が新風を巻き起こす文:オヤマダアツシ親密な空間で享受する巨匠のピアニズム文:高坂はる香アレクセイ・リュビモフ(ピアノ)12/20(土)14:00 Bunkamuraオーチャードホール12/21(日)14:00 サントリーホール12/23(火・祝)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp11/30(日)18:30 sonorium問 sonorium 03-6768-5026 http://www.sonorium.jp 毎年「今年の指揮台に登場するのは誰か?」ということが大きな関心となる、国内オーケストラの「第九」公演。特に、将来が嘱望される逸材が起用される新日本フィルは注目度が高い。今年、その指揮台に上るのはイギリス生まれのベン・ガーノン。若手俳優のようなルックスで欧米から注目される彼は、ここ2年ほどというもの英国内外および欧米各地のオーケストラ、ザルツブルク音楽祭やBBCプロムスほかの音楽祭で次々にデビューを飾っている。まさにこれから、欧米の音楽シーンで話題を呼ぶであろう“ライジング・スター”が、東京で新鮮な風を巻き起こすのだ。 テューバ奏者として将来を嘱望されていた彼だが、指揮者としての才能も持ち合わせ、2013年にはロスアンジェルス・フィルによる『ディスカヴァー・ドゥダメル』というプロジェクトで見出されている。最晩年のコリン・デイヴィスに ロシア・ピア二ズムの真髄を今に伝える、アレクセイ・リュビモフ。ゲンリヒ・ネイガウスの教えを直接受けた最後の世代であり、独自の理念を貫く演奏活動で一目置かれる巨匠だ。今回、100席の贅沢な空間にベスト・コンディションのスタインウェイD274を常設するsonorium(ソノリウム)に、この鬼才が登場する。 リュビモフは1960年代から同時代の西側の音楽に関心を示し、シュトックハウゼンやリゲティ、ブーレーズなどの作品のソ連初演を行った。これによりソ連当局から非難され、国外に出ることを禁止された時期もあったという。同時にルネサンス以前の作曲家に注目して古楽器演奏にも取り組むなど、広い視野を持って芸術に向き合ってきた人だ。 今回取り上げるのは、モーツァルト、シューベルト、C.P.E.バッハ。も助言を受けたという彼だが、今回の起用については新日本フィルのコンダクター・イン・レジデンスというポストにあるインゴ・メッツマッハーからの強力な推薦があってのこと。彼が審査員を務めた2013年の「ザルツブルク音楽祭若手指揮者アワード」で、ガーノンが栄誉を勝ち取ったという経緯があったからだ。それだけに“今、聴いておきたい指揮者”であることは間違いない。前プロ古典派からロマン派にさしかかる時代の、ドイツ・オーストリア鍵盤楽器音楽の“旨味”を集めたようなプログラムを弾く。リュビモフの持ち味の、極めて優しくあたたかい表現。そして鐘のように響く丸い特別な音を、音響の良い親密な空間で聴くことができる機会だ。聴衆のエネルギーを受け取りながら神がかった音楽を生んでくれる瞬間に、期待せずにはいられない。 公演は、ロンドンを中心に小ホールでの演奏会を開催するNPO、MCS Young Artists Fund主催によるもの。終演後には、同団体の企画恒例だという“演奏家を交えてシャンパンを楽しむ”時間が用意されている。アーティストの持つ独特の空気を間近に感じられるそんなひとときも併せて、間違いなく貴重な時間となるだろう。グラムとして置かれているブラームスの「ハイドン変奏曲」も合わせ、期待感が高まる。ベン・ガーノン ©Hannah Taylor

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