eぶらあぼ 2014.12月号
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5112/20(土)14:00 よこすか芸術劇場問 Sony Music Foundation 03-5227-5233http://www.smf.or.jp小・中・高校生のための「第九」チャリティ・コンサート 2014「炎の第九」で復興支援文:笹田和人小林研一郎 ©満田 聡 “炎のコバケン”による熱い「第九」演奏を通じて、“生”の意味を改めて考えてみたい。未曽有の被害をもたらした東日本大震災が発生した2011年から、被災地の復興を応援しようと、ソニー音楽財団が毎年末に続けている小・中・高校生のための「第九」チャリティ・コンサート。今回は、小林研一郎指揮の日本フィルが登場し、魂の熱演を届ける。 ハンガリーと日本の架け橋となるなど、国際的な活動を展開し、その功績を認められて、2013年には旭日中綬章を叙された小林。福島県の出身であり、被災地への思い入れもひとしおだ。ソリストには、木下美穂子(ソプラノ)と手嶋眞佐子(メゾソプラノ)、錦織健(テノール)、青戸知(バリトン)と、わが国が誇る実力派がずらり。これを、東京音楽大学の合唱団による迫力ある歌声が、しっかりとバックアップする。なお、チケット収入の一部と当日の募金は、“RESTART JAPAN ファンド”へ寄付。被災地の子供たちの支援に役立てられる。ラデク・バボラーク(ホルン) & アレシュ・バールタ(オルガン)東京芸術劇場 パイプオルガンコンサートvol.8とろけるようなクリスマス文:柴田克彦12/16(火)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jpアレシュ・バールタラデク・バボラーク 夢のような響きとはこのことだろう。それは、信じ難いほど柔らかな美音と、楽器の困難など皆無の超絶テクニックを誇る“100年に一人”のホルン奏者、ラデク・バボラーク&パイプ・オルガンのコラボレーションだ。33歳でベルリン・フィルの首席奏者を辞任した彼は、ますます好調。今年6月のリサイタルでも、さらに表現の幅を広げた名奏で皆を驚嘆させている。オルガンは、「プラハの春」国際オルガン・コンクールで優勝後、ソロやチェコ・フィル等との共演で活躍するアレシュ・バールタ。2人は数々の録音で共演し、信頼関係も厚い。クリスマス・ムード満載の本演目の中で最大の注目は、CDでの天上的名演が忘れ難いブルックナーの交響曲第7番第2楽章。この実演は必聴だ。ほかに、バッハやサン=サーンスのデュオ、バボラークの盟友ボクのキャロルもあるし、超・超絶技巧に酔える無伴奏曲や、リスト等のオルガン・ソロもある。まろやかな音でなめらかに歌うバボラークと、荘厳で繊細なバールタの共演の場に身を置けば、幸福な聖夜を迎えられること間違いなし!12/20(土)18:00 東京文化会館(小)問 デュオジャパン03-5428-0571 http://www.duojapan.com高橋アキ ピアノドラマティック Vol.10自らの世界観をストレートに表現文:江藤光紀 高橋アキが2002年より開催している『ピアノドラマティック』が今年で10回目を迎える。新作初演を数知れず手掛けてきた経験を生かし、普通の演奏会では取り上げられないような大作も含め、彼女はここで自らの世界観をストレートに表現してきた。今回も重厚な構成と、とんがった選曲で迫ってくる。まずはシューベルトのソナタ第18番。シリーズの中で高橋はシューベルトに深く傾倒していった。これはその成果を試すもの。続く3曲は1980年までに相次いで書かれた作品。シェルシ「アデュー」、クセナキス「ミスツ」、武満徹「閉じた眼」、それぞれの作曲家の最も脂ののった時期の作品であるが、高橋にとっては古き戦友を偲ぶようなものかもしれない。そして現在。ダンジョリーニの「フィナーレ」は音の数を限定しつつ倍音で豊かな響きを得るというもので、2年前に彼女が初演した。高橋とのコラボレーションも多いガーランドは、今回のために新作を用意しているという。挑戦はまさに現在進行形なのだ。
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