eぶらあぼ 2014.12月号
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270Kバレエ カンパニー『くるみ割り人形』芸術賞に輝いた舞台!文:渡辺真弓 創立15周年の今年、3月の『ラ・バヤデール』、10月の『カルメン』と大作の初演を次々に成功させ快進撃を続けるKバレエ カンパニー。年末はチャイコフスキーの名作『くるみ割り人形』で、記念シリーズの掉尾を締めくくる。熊川哲也によって2005年に初演されたこの作品は、現実から夢の世界へ移り変わるマジックが鮮やかで、ファンタジー溢れる超大作として第5回朝日舞台芸術賞に輝いたもの。 赤坂ACTシアターでの上演も7年目を迎え、“赤坂サカス・バージョン”はクリスマスの風物詩としてすっかり定着している。全9回の公演で、主役のマリー姫とくるみ割り人形/王子に5組のカップルが登場するのもKバレエならでは。初日の白石あゆ美&宮尾俊太郎をはじめ、浅川紫織&遅沢佑介、浅野真由香&伊坂文月、佐々部佳代&池本祥真、神戸里奈&井澤諒、どの組み合わせも魅力的だが、なかでも3年前に入団し伸び盛りの井澤の王子デビューが注目される。12/20(土)~12/26(金) 赤坂ACTシアター 問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.k-ballet.co.jp新国立劇場バレエ団〈DANCE to the Future~Third Steps~〉ダンサー7名による振付作品文:石村紀子 新国立劇場バレエ団に「Choreographic Group」というプロジェクトがあることをご存知だろうか? ビントレー前芸術監督の発案・監修のもとに発足した、新国立劇場バレエ団の中から振付家を育てるための試みである。同団がコンテンポラリーダンスに出会う舞台『DANCE to the Future』の関連企画として行われており、プロジェクトから選考された作品は同公演で発表される。3回目となる今回はマイレン・トレウバエフ、貝川鐵夫、福田圭吾、小口邦明、宝満直也、高橋一輝、2015.1/16(金)~1/18(日) 新国立劇場(小) 問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp広瀬碧の作品を上演。振付者はダンサーの選定、衣裳、照明、演出などすべてを手がけ自己の世界観を存分にアピールできるようになっている。昨年の『Second Steps』では、コメディタッチの作品や他公演で上演しても遜色のないハイセンスな作品までが多数並び、才能の芽吹きを感じることが出来た。今年もますます楽しみである。ほか、今回アドバイザーとして参加している平山素子の『Revelation』も上演される。出演は小野絢子(1/16)と、本島美和(1/17,1/18)。1999年『Revelation』平山素子勅使川原三郎 『天才的な時代』&『パフューム』勅使川原三郎の新作と佐東利穂子ソロに期待文:乗越たかお 世界のコンテンポラリー・ダンスで最前線を走り続け、なお旺盛な創作意欲を発揮している勅使川原三郎。今年は勅使川原のカンパニーKARASの公演『睡眠』にオーレリー・デュポンが客演し絶賛されたことも記憶に新しい。 彼がここ数年取り組んでいるのがポーランドの作家ブルーノ・シュルツの短編をダンス作品化することだ。今回の 『天才的な時代』で6作品目になる。ナチスの手によって非業の死を遂げたシュルツの作品は、現実が裏返ったような幻想性と、そこで蠢く生々しさを持っている。勅使川原の作品は、ときにテキストも使いながら、しかしいわゆる「演劇的ダンス」とも違う。あくまでもダンスをシュルツの言葉と拮抗させる、他に類をみない舞台を作ってきた。 また同時に連続公演される『パフューム』は勅使川原作品に欠かせない驚異的なダンサー、佐東利穂子のソロダンス。以前『パフューム°R』として上演されたものをさらにバージョンアップして上演する。『天才的な時代』11/26(水)、11/27(木)、11/30(日) 『パフューム』11/28(金)、11/29(日) 東京・両国シアターX 問 KARAS03-3682-7441 http://www.st-karas.com勅使川原三郎『ドドと気遣いたち』より ©Sakae Oguma©Jin Kimoto

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