eぶらあぼ 2014.12月号
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176CDCDCDCD運命&未完成/マゼール&ウィーン・フィル雅歌-MIYABICA-/たかまきやすし&東京ベルズ“アップレッソ”~ソプラノ名曲集/安藤赴美子グラン・ヴィオラ/店村眞積ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」、序曲「レオノーレ」第3番シューベルト:交響曲第8番「未完成」ロリン・マゼール(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団クリーヴランド管弦楽団ファーマー:麗しフィリスは/ジャヌカン:なんとかなるさ,鳥たちの歌/イザーク:インスブルック、いざさらば/ダウランド:流れよ、わが涙/エルガー:善きかな、瞳よ,LOVE(愛の光)/アルカデルト:優しい白鳥/高牧康:「えんがちょ」の歌,夢で逢いたくて 他たかまきやすし&東京ベルズヘンデル:私を泣かせてください/ドヴォルザーク:母の教え給いし歌,月に寄せる歌/山田耕筰:この道/越谷達之助:初恋/プッチーニ:私のお父さん,歌に生き、恋に生き,私が町を歩くと/ワーグナー:崇高な殿堂よ 他安藤赴美子(ソプラノ)冨平恭平(ピアノ)カルッリ:ヴィオラとギターのための二重奏op.137-1,2/マルチェロ:ソナタ第6番・第1番/ヴィヴァルディ:ソナタ第1番・第3番/パガニーニ:大ヴィオラのためのソナタ/ロッラ:ヴィオラ・ソナタ変イ長調・ハ長調/タルティーニ:「運弓の技法」 他店村眞積(ヴィオラ) 福田進一(ギター)小林道夫(チェンバロ)収録:1980年11月、名古屋,東京(ライヴ) 他ソニーミュージックSICC-1721 ¥1190+税DISC CLASSICADCJA-21027 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCL-00549 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3032~33(2枚組) ¥3790+税7月になくなったロリン・マゼールが、1980年のウィーン・フィル日本ツアーに帯同して指揮した「運命」と「未完成」。当時マゼールは2年後のウィーン国立歌劇場の音楽総監督就任が決まっており、その予告編のような意味合いをもつライヴだった。ウィーン伝統の響きに加えられたシャープな輪郭に、来るべき彼の時代への期待の大きさを感じることができるかも知れない(残念ながらわずか2年で同ポストから退いてしまうが…)。末尾に加えられた1977年のクリーヴランド管とのセッション録音の「レオノーレ」序曲第3番は、世界初CD化となる稀少音源。(山崎浩太郎)“雅歌”と書いて、“みやびか”。作家・国文学者・バリトン歌手として活躍する林望が、ルネサンスの歌の旋律に、原詞に忠実な訳詞を乗せることで紡ぎ上げた、不思議にして美しき言葉の世界。受け取る私たちが日本人である限り、母国語の方が、より当時の民衆の生へ寄り添えるはず。その発想はシンプルながら、ドイツ語訛りのイタリア語を岩手弁へと翻案するなど、手法は多彩。そして、時にオリジナルや原詞のままの曲をも忍ばせて、全く違和感を抱かせないのは、原語で歌い続けて来た東京ベルズなればこそ。聴けば聴くほど、すぐ次の言葉に触れたくなる。奥の深い世界である。(笹田和人)2006年二期会公演《ラ・ボエーム》でムゼッタを演じてプロ・オペラ・デビューを果たした、艶やかなソプラノの新星による初ソロ・アルバム。本来の声質はピュアなリリコだと思われるが、その後舞台で《蝶々夫人》や《トスカ》のタイトルロールや《タンホイザー》のエリーザベト、《ドン・カルロ》のエリザベッタなどリリコ・スピントの役柄にも果敢に挑戦を続けている彼女らしい、幅広いレパートリーで聴かせる。ドヴォルザークの〈母の教え給いし歌〉や《ルサルカ》のアリアなどチェコ語と意外に相性がいいのも新たな発見。〈この道〉や〈初恋〉など日本歌曲も今後楽しみ。(東端哲也)これがヴィオラ!? 朗々と吹き鳴らされる、金管楽器のように輝かしい音色に、のっけから耳を奪われる。長らくN響の首席を務めてきた、日本が誇る名手によるイタリア・ヴィオラ作品集。とかくレパートリーが少ないとのイメージのヴィオラにあって、「こんなにもあったのか」と驚かされるほど、当盤には佳品が詰め込まれている。そして、店村はただ「美しい」だけにとどまらず、1曲1曲へ「相応しい」音色と表現で丁寧にアプローチ。“いぶし銀”一辺倒なヴィオラへの先入観を覆す。共演する福田と小林も、心遣いの行き届いた、しかし、さりげない快演で応えてゆく。(寺西 肇)

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