eぶらあぼ 2014.12月号
167/221

174SACDCDCDCDマーラー:交響曲第9番/インバル&都響ジャーニー・イースト/ネマニャ・ラドゥロヴィチJ.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽三重奏版)/マティアス・ストリングスモーツァルト:後期三大交響曲/ブリュッヘン&18世紀オーケストラマーラー:交響曲第9番エリアフ・インバル(指揮)東京都交響楽団ドヴォルザーク:わが母の教え給いし歌/チャイコフスキー:ロシアの踊り~《白鳥の湖》/ハチャトゥリアン:剣の舞/セルビア民謡:パショーナ・コロ/ショスタコーヴィチ:ロマンス~《馬あぶ》 他ネマニャ・ラドゥロヴィチ(ヴァイオリン)悪魔のトリル(弦楽アンサンブル)ドゥーブル・サンス(室内合奏団) 他J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽三重奏版/シトコヴェツキー編)マティアス・ストリングス[齋藤真知亜(ヴァイオリン)、 坂口弦太郎(ヴィオラ)、 桑田歩(チェロ)]モーツァルト:交響曲第39番・第40番・第41番「ジュピター」フランス・ブリュッヘン(指揮)18世紀オーケストラ収録:2014年3月、東京,横浜(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00519 ¥3200+税ユニバーサルミュージックUCCG-1678 ¥2600+税マイスター・ミュージックMM-3031 ¥2816+税収録:2010年3月、オランダ、ロッテルダム(ライヴ)東京エムプラスOGCD-921119(2枚組) ¥4000+税インバル&都響の新マーラー・ツィクルス、掉尾を飾る第9番のライヴ盤。技術面と表現内容双方で、このコンビの集大成と呼びうる圧倒的な高みに到達した名演だろう。無用に動かさないテンポとがっちりした造形を基調とし、決して情に溺れない整然とした演奏だが、ここぞという箇所での凄絶な迫力と表現力は、有無を言わさぬ説得力がある(第1楽章クライマックスにおけるカタストロフや第3楽章でのコーダなど)。全曲の白眉はやはり第4楽章。わけても、どんどんテンポが遅くなり、驚くような静謐さに支配されたコーダであろう。この美しさには息を呑んで聴き入るしかあるまい。(藤原 聡)2007年以来毎年のように来日してパッションあふれるパフォーマンスを披露、ファンを増やし続けるネマニャ・ラドゥロヴィチ。当盤では彼が結成した弦楽アンサンブル「悪魔のトリル」、そのメンバーを核にした合奏団「ドゥーブル・サンス」等と共演し、故郷セルビアをはじめ東欧とロシアの音楽を並べ、それらを“旅”に見立てた独自の世界観を現出。民族的な曲での没入ぶりや、「ロマンス」「わが母の教え給いし歌」などの抒情的な歌が心に残る。そして、「ロシアの踊り」「剣の舞」「パショーナ・コロ」で見せる凄まじいキレと超絶技巧の炸裂は「これぞネマニャ!」と叫びたくなる痛快さだ。(林 昌英)多くの演奏家が録音を切望するゴルトベルク変奏曲の弦楽三重奏版。N響の名手3人による当盤は、アンサンブルのバランスと音色の柔和さの双方でみごとな高みに達している。3曲おきに置かれたカノンがくっきりと構築されているのは、日頃から一緒に弾いている同僚ならではの阿吽の呼吸の賜物だろう。また、グールドへの敬愛から生まれたシトコヴェツキーの編曲をそのまま採用するのではなく、齋藤真知亜がランドフスカのチェンバロから受けた影響を効果的に加味していることにも注目だ。作品の複雑なテクスチュアを温かい眼差しで解き明かしたような秀演。(渡辺謙太郎)8月に逝去した古楽の巨匠ブリュッヘン&30年来の手兵の、四半世紀ぶりとなるモーツァルト三大交響曲の録音。前回と今回の大筋の変化=柔らかみや表現の自在性を増した点は、先に出されたベートーヴェンの全曲録音も同様だが、ここには峻厳さや迸る情念が色濃く存在している。いずれも冒頭から─特に39番と41番は既成概念を覆す音塊が─耳を惹き付け、引き締まった造作でキビキビと進み、管楽器が随所で意味深く明滅する。そして生の喜びを湛えて驀進する「ジュピター」の終楽章が、全ての結論であるかのように響くとき、巨匠の到達点に感慨を覚えずにはおれない。(柴田克彦)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です