eぶらあぼ 2014.12月号
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171上した。 後藤社長によれば、日本のスタインウェイピアノ購入者の多くが、ディストリビューターに薦められるままではなく、自ら選定した楽器を購入する傾向にあるという。今回の移転によって、ピアノ選定に訪れる際の利便性が大いに高まることになった。 スウィーニーCEOは、「スタインウェイのピアノは最高級の天然素材を使用しているため、一つひとつの特性が異なる。セレクションセンターで楽器を選定するのは大切なこと」と語った。 また、今後のピアノ市場におけるスタインウェイ社の見通しについての記者からの質問に、「ピアノ人口は減少傾向にあるが、優れた演奏家は増えている。スタインウェイ社のピアノはそうしたピアニストや熱心な愛好家に演奏されているので、今後も好ましい状況が続くだろう」と答える場面もあった。 新オフィスの内装は、スタインウェイの世界観を反映したクラシカルなもの。エントランスをはじめ至るところにピアノの弦をイメージした装飾が施されるなど、細部にわたり趣向が凝らされている。洗練された高級感とモダンな感性が共存するデザインで、心地よい空間を創出している。1階には、スタインウェイ、ボストン、エセックスという3ブランドのピアノが置かれた選定室があり、落ち着いた雰囲気の中でピアノに触れることができる。(取材・文:高坂はる香)スタインウェイ・ジャパンhttp://www.steinway.co.jp■世界に一台のピアノを常設した 「ピアノハウス箱根」がオープン 多くの美術館がある箱根・仙石原に、最大100席のプライベートホール、「ピアノハウス箱根」が、10月1日に開館した。ピアノ・リサイタルやレコーディングに最適なアコースティックをコンセプトに設計された同ホール最大の特色は、ピアノハウスの名の通り、ピアノを4台所有していることだ。「ファツィオリ F308」や「ベーゼンドルファー 225 ハンスホラインモデル」というこだわりの楽器の他に、世界に一台しかないという、「スタインウェイ D274 ブーニンモデル」も常設している。60席から100席(通常86席)という、ピアノの響きと客席が一体となった新ホールの今後の展開に期待したい。問 ピアノハウス箱根045-848-0305http://www.pianohouse.co.jp■2014年の「第九」演奏状況 年末恒例の「第九」演奏回数について、「ぶらあぼ」に寄せられた情報をもとに集計を行った(12月分のみ)。下記の集計結果は、オーケストラと合唱団による全曲演奏のみをカウントしたもの。( )内は昨年のデータ。 ちなみに、下記の集計に含まれていない、第4楽章のみの演奏やピアノ伴奏による演奏などの「第九」演奏会については、全国から23公演の情報が寄せられている。●演奏回数全国185(173)/東京・関東101(88)/近畿40(41)/北海道・東北10(15)/中部18(15)/中国・四国5(6)/九州・沖縄11(8)●オーケストラ9回 日本フィル(10)/8回 読響(7) 東響(6)7回 東京フィル(5) 大阪フィル(7)/6回 京響(7) 群響(5)/5回 N響(5) 関西フィル(8) 九響(4)●会場別15回 サントリーホール(12)/7回 東京芸術劇場(8) ザ・シンフォニーホール(7)/6回 フェスティバルホール(2)/5回 東京文化会館(4) 東京オペラシティコンサートホール(6)NHKホール(5)横浜みなとみらいホール(6)/3回 オーチャードホール(2) ミューザ川崎シンフォニーホール(2) 京都コンサートホール(3) 愛知県芸術劇場コンサートホール(1) 日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館)(2)■訃報・長野羊奈子 長野羊奈子氏(ながの・よなこ=メゾソプラノ)が10月20日、肺炎のため死去。享年81。長野氏は日本人初のベルリン・ドイツ・オペラ正団員。指揮者・故若杉弘氏の妻。新オフィス&セレクションセンターのエントランススタインウェイ D274 ブーニンモデル
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