eぶらあぼ 2014.11月号
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64サントリーホール オペラ・アカデミー公演 ドニゼッテイ《愛の妙薬》11/9(日)15:00 よこすか芸術劇場問 横須賀芸術劇場046-823-999911/13(木)18:30 サントリーホール ブルーローズ(小)問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017気鋭のコロラトゥーラ歌手が歌うアディーナの魅力取材・文:宮本 明Interview佐藤優子(ソプラノ) 昨年夏の東京二期会《ホフマン物語》に抜擢され、オランピア役で目の覚めるような美しいコロラトゥーラを聴かせて喝采を浴びた佐藤優子が、サントリーホール オペラ・アカデミー公演《愛の妙薬》でアディーナを歌う。彼女自身、このアカデミーの体制が刷新され、元テノール歌手の指揮者ジュゼッペ・サッバティーニが指導者のトップに就任した2011年に受講した第1期生。新体制になってから、アカデミー出身者が主役を歌うのは初めてのことだ。 「アカデミーではサッバティーニ先生があらためて発声の基礎から徹底的に教えてくださいました。それを完全に身体にしみ込ませるのにはとても時間がかかりましたけれども、今後長く歌って行く中で、もしかしたらほんの1ミリ2ミリに過ぎないそうした基礎の基礎の部分を、徹底的に埋めることができたのは大きかったと思います」 アディーナは、オペラの最初と最後とで変わる内面性を演じなければならない難しい役だと語る。 「彼女は本当の愛を知らなかったと思うんです。人から愛されることも、人を愛することも。それに気づくのが〈何という愛情!〉の二重唱です。短い序奏の和音で胸を貫かれるんですね。そして最後にアリア〈受けとって、あなたは自由よ〉で、彼女がどう変わったかを見せなければなりませんし、お客様を泣かせなければいけない。これは難しい役だなと思います。声楽の技術的には、ベルカント・オペラの時代ですので、まずは美しい声を聴かせなければなりませんが、ただ声を出すだけではなく、そこに言葉の意味を密接につなげなければなりません。この役は全体的に出しやすい音ばかりなので、声に偏りがちになって難しいんです。言葉を乗せながら美しく歌うということがどんなに大変かということをあらためて思い知りました」 東京では小ホールでピアノ伴奏、横須賀では大ホールでオーケストラ伴奏(サッバティーニ指揮!)と、異なる2つの条件での上演もシリーズの特徴になってきた。 「劇場のサイズはやはり意識してしまうんです。でもそれによって声を変えてしまうとテクニックが崩れるので、稽古で歌っているそのままのフォームで歌えるようにしなければなりません。そこは最大の技術だと思います」 来年2月の東京二期会《リゴレット》でジルダを歌うことがすでに発表されているが、その後にはヨーロッパへの留学も視野に入れているそう。今後さらに大きな飛翔が予感される期待の若手の“現在”を、今のうちに存分に耳に刻み込んでおきたい。ピアニスト園田高弘没後10年を偲んでのリサイタルシリーズ巨匠へのオマージュを込めて文:笹田和人Vol.1 杉目奈央子 11/3(月・祝)14:00 トッパンホールVol.2 高橋礼恵 12/13(土)14:00 問 ヒラサ・オフィス03-5429-2399 Vol.3 仁上亜希子 12/24(水)19:00 http://www.hirasaoffice06.com仁上亜希子 ©篠原栄治高橋礼恵 ©Uwe Arens 戦後の日本ピアノ界を発展させた立役者、園田高弘が逝って10年。古典から現代作品までを課題に、自らの名を冠した「園田高弘賞ピアノコンクール」を父親の故郷である大分で主宰するなど、後進の指導にも心血を注いだ巨匠を偲び、同コンクール入賞者を中心としたリサイタル・シリーズが開かれる。第1弾には、第2回コンクールの覇者で大分を拠点に骨太な活動を展開する、杉目奈央子が登場。「フランス組曲第5番」やブゾーニ編曲の「シャコンヌ」などバッハや、ベートーヴェンのソナタ第31番を弾く。第2弾は、ボン・ベートーヴェン国際コンクールで2位に入賞し、ベルリンを拠点に活躍する高橋礼恵。「2つの幻想風ソナタ」「ディアベリ変奏曲」とオール・ベートーヴェンで臨む。そして、第3弾には、ベルリンに学び、国際的に活躍する仁上亜希子。こちらはオール・シューマンで、「幻想小曲集」op.12からの3曲や「3つの幻想小曲集」、「謝肉祭」ほかを聴かせる。杉目奈央子
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