eぶらあぼ 2014.11月号
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50シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団まさに極彩色の音響世界文:江藤光紀第1回 西本智実(指揮) イルミナートフィル オーチャードホール定期演奏会「カルミナ・ブラーナ」をヴィジュアル化文:山田治生第543回定期演奏会 12/4(木)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp11/14(金)19:00 Bunkamuraオーチャードホール問 Bunkmauraチケットセンター03-3477-9999 http://www.bunkamura.co.jp 12月の読売日本交響楽団定期では現代ものを得意とするカンブルランが、メシアンの大作「トゥーランガリラ交響曲」を披露する。カンブルランのメシアンといえば、以前シェフを務めていた独SWR南西ドイツ放送響と制作した管弦楽全集で、スコアを綿密に読み解き、的確に構築していく手腕が高く評価された。深い信頼関係を築いてきた読響が相手となれば、優れた“リアリゼーション力”も一層研ぎ澄まされることだろう。 「トゥーランガリラ」はサンスクリット語に由来した作曲家による造語で「愛の歌」を意味する。全10楽章からなり、鳥の歌や特別な旋法、不可逆のリズムなどメシアンが開発した語法の総決算ともいうべきもの。2人のソリストが繰り出す妙技も見逃せない。まずはピアノ。巨大管弦楽を相手に音の房を図太く鳴り響かせたかと思えば、愛のメロディを艶っぽく歌い上げもする。今回 西本智実がイルミナートフィルハーモニーオーケストラとオーチャードホールでこの11月から定期演奏会を開始する。西本が芸術監督を務める同フィルは、オーケストラだけでなく、合唱、オペラ、バレエ、美術、文学など様々なジャンルのアーティストが所属する芸術家集団。西本と同フィルは、2013年11月にアジアのオーケストラとしては初めてヴァチカン国際音楽祭に招かれ、枢機卿音楽ミサの演奏を担った。今年もヴァチカン国際音楽祭の出演が予定されている。また、京都・南座では《蝶々夫人》全幕を演奏している。 オーチャードホールでの第1回定期演奏会では、オルフの「カルミナ・ブラーナ」が取り上げられる。ソリストは熊本佳永(ソプラノ)、中井亮一(テノール)、田中勉(バリトン)。この公演では、西本自身の映像台本を映像デザイナー大野一興がヴィジュアル化する。西本は「字幕だけでは伝わりきらない部分を映像でエッのソリストが、フランスものを得意とし「トゥーランガリラ」もレパートリーとするアンジェラ・ヒューイットとは何とも贅沢だ。もう一つ、この曲の独特な世界を作る上で欠かせないのが、蠱惑的な音色を持つ電子楽器オンド・マルトノだが、ソロのシンシア・ミラーは同曲を100回以上演奏してきた大べテラン。極彩色の音響世界が、聴き手を天国へと誘ってくれるだろう。 この日のもう一つの呼びものは、酒井健治の読響委嘱新作「ブルーコンチェルト」だ。オーケストラによる委嘱ジをきかせて表現する」と述べる。演奏会の冒頭には、「カルミナ・ブラーナ」の前奏曲的な作品として西本が作った「天の岩戸伝説~ヘブライからの風~」が演奏される。ひふみ祝詞とヘブライ語の類似に注目して書かれた小品で、こちらも映像が入る。オーケストラの定期演初演はひところに比べるとめっきり減ってしまったが、読響は2000年以降、この分野で気を吐いている。酒井はパリで学び、現在ベルリン在住。昨年の芥川作曲賞受賞をはじめ、世界的なコンクールに次々と入賞を果たす、最も注目すべき若手作曲家の一人だ。奏会といっても単なる演奏だけではなく「新しい総合芸術を目指す」と西本は語る。1年に2回のペースで開催し、合唱の入った作品を取り上げていきたいという。第2回はヴェルディの「レクイエム」。これも「総合芸術としてここでしかできないことを披露する」と語っている。イルミナートフィルハーモニーオーケストラ西本智実 ©大木大輔アンジェラ・ヒューイット ©Bernd Eberleシルヴァン・カンブルラン ©読響

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