eぶらあぼ 2014.11月号
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44中村紘子(ピアノ)円熟のピアニズム文:高坂はる香ギルバート・ヴァルガ(指揮) 台北市立交響楽団チャイコフスキーの名曲を集めて文:飯尾洋一11/23(日・祝)14:30 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp11/18(火)19:00 札幌コンサートホールKitara問 ミュージック・ギャラリー011-726-936011/20(木)19:00 横浜みなとみらいホール問 神奈川芸術協会045-453-5080 今年デビュー55周年を迎えた中村紘子。日本のピアノ界の活性化や若手音楽家の育成にも力を尽くし、そのうえで変わることのない情熱をピアノ 近年成長著しいアジアのオーケストラ界だが、この秋に来日する台北市立交響楽団も注目株のひとつ。11月に札幌と横浜で公演を行なう。 台北市立交響楽団は1969年の設立。当初はわずか30名の楽員でスタートしたが、現在では100名を超える楽員を有する堂々たるシンフォニー・オーケストラに育っている。これまでにヨーヨー・マ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ユーリ・テミルカーノフ、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーといった世界的なソリスト、指揮者と共演。2013年よりギルバート・ヴァルガを首席指揮者に迎え、さらなる躍進を遂げつつある。 今回の来日公演では、そのギルバート・ヴァルガのもと、ソリストにロシア出身のピアニスト、アンナ・ヴィニツカヤを迎えて、オール・チャイコフスキー・プロ演奏に注ぐ。長い年月にわたってピアニストとして常に第一線で輝き続ける背景には、才能に加えて、想像をはるかに超える努力があるのだろう。 55周年の今年も、東京交響楽団との35年連続となるニューイヤーコンサートでの共演を皮切りに、全国各地で数々の記念公演を行っている。その演目が何種類もあることにまず驚かずにいられないが、いずれの公演でも、中村紘子その人が持つ圧倒的な輝き、ダイナミックで華やかな品格あふれるピアノで、聴衆に非日常の時間を届けている。 11月23日、東京、サントリーホールで行われる公演では、ロマン派音楽に向かう先駆けから最盛の、ピアノ音楽の粋を掬い取るようなプログラムを披露する。 ベートーヴェンからは、最晩年のソナタより第31番を取り上げる。天国に向かうような美しさと力強さを持つこの作品を、今の中村紘子のピアノがどんな表現で聴かせてくれるのだろうか。そして、シューマンの幻想曲、シューベルトの4つの即興曲D899に加えて、ショパンのポロネーズという得意のレパートリーを演奏する。 今、円熟を迎えた作品への解釈と想いを、サントリーホールいっぱいに響かせてくれることだろう。時間をかけて育て上げられた豊かな音楽の実りを、喜ばしく享受する祝日の午後になりそうだ。グラムが組まれた。歌劇《エフゲニー・オネーギン》より「ポロネーズ」、ピアノ協奏曲第1番、交響曲第6番「悲愴」という、オーソドックスなプログラム構成。 アンナ・ヴィニツカヤは2007年エリザベート王妃国際音楽コンクール第1位を獲得した若手実力者で、ルツェルン音楽祭に出演するほか、ミュンヘン・フィル、スイス・ロマンド管弦楽団他の著名オーケストラとも共演している。フォトジェニックな姿とはうらはらにダイナミックな演奏を聴かせてくれるという評判だ。 チャイコフスキーの魅力をたっぷりと味わえる公演を期待したい。©Hiroshi Takaokaギルバート・ヴァルガ ©Felix Broedeアンナ・ヴィニツカヤ ©Gela Megrelidze台北市立交響楽団

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