eぶらあぼ 2014.11月号
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212日本の歴史的鍵盤楽器の先駆者で、伴奏の分野にも高い芸術的価値をもたらしてきた小林道夫。そんな彼が、ベルギーに学び、国際的な活躍を続けている気鋭のピアニスト、赤塚太郎と共演、ロンド(D951)、ソナタ(D617)、変奏曲(D968A)、大二重奏曲(D812)と、シューベルトの連弾作品を弾く。「音楽の密度の高さ、弾かせて貰う喜びの大きさは無類」と小林。世代を超えた2人の名手の魂が、佳品の名演として結実する。第5回チャイコフスキー国際コンクールなどで受賞を重ねて第一線を疾走、昨年はデビュー40周年を迎えたバスの岸本力。ピアノの名手・村上弦一郎と臨む今回のステージは、声楽作品の大家・清水脩が1975年に、若き岸本の才能に触発されて書いた「死の渕より六篇」(詩・高見順)を、俳優の森山太の朗読を交えて。さらに、ラフマニノフなど、岸本のライフワークであるロシア・ロマン派の歌曲もじっくりと歌い上げる。ピアノの安倍葉子はパリに学び、国際コンクール入賞など実績を重ねて、国内外で演奏活動を展開、後進の指導にも尽力する実力派。特に、フランス作品の解釈で、高い評価を得ている。ドビュッシーを軸に据えたシリーズ第3回は、「子供の領分」「沈める寺」「水の反映」などの名作に、フォーレやラヴェルなど周辺の作曲家、さらに日仏文化協力90年にちなみ、武満徹がメシアンを追憶した「雨の樹素描Ⅱ」を。 ©篠原栄治日本を代表するチェロの名手の一人で、知られざる佳品の発掘にも力を注ぐ林裕。昨年度の文化庁芸術祭優秀賞などの受賞を記念してのステージは、ピアノの佐竹裕介と共に。生誕100年のポッパー「ワルツ組曲」、同150年のベッカー「リーベスベアブング」「ロマンス」、さらにP.トルトゥリエ「エレジー」など名チェリストたちの手になる作品に、ブラームスの名ソナタ・第2番を組み合わせ、入魂の熱演を聴かせる。言葉と旋律が織り成す、心を震わせる世界。ソプラノの酒向佳子は大阪学芸大(現・大阪教育大)を卒業後、アメリカ等に学び、オペラや宗教曲のソリストとして活躍する一方、日本歌曲が湛える独特の世界観に魅了され、その紹介とより深みある表現へ力を注いでいる。ピアノの近藤真貴と臨むリサイタルは、「この道」「中国地方の子守唄」など山田耕筰から別宮貞雄、小林秀雄まで、彩り豊かな日本の歌を集めて。月の11岸本力(バス)ロシアロマンスから清水脩へ小池郁江(フルート)& 鈴木大介(ギター)海へ~フルートとギターの出会い安倍葉子(ピアノ)ドビュッシー・シリーズ2012-2018第3回小林道夫&赤塚太郎 ピアノ連弾リサイタル 二人の伴奏者の芸術酒向佳子(ソプラノ)日本歌曲に寄り添って林裕(チェロ)Cellist=Composer・Collection11/1(土) 18:00ヤマハホール11/6(木) 19:00小金井市民交流センター(小)11/3(月・祝) 14:00ヤマハホール11/2(日)16:00 冨士屋 一はなやもも也百ホール、11/7(金)19:00 サンエールかごしま、11/16(日)17:00 ヤマハホール11/15(土) 14:00ムジカーザ11/5(水) 19:00 電文ザ・コンサートホール11/6(木) 19:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール文:笹田和人小林道夫赤塚太郎演奏者の息遣いも感じ取れる小空間で、トークを交え、身近にコンサートに触れる「小金井音楽談話室」。今回は、古典から現代まで幅広く活躍するギターの名手・鈴木大介と、都響フルート奏者の小池郁江を迎えて。近代フランスの才人イベールが紡いだ間奏曲の涼やかさ、現代日本の巨匠・武満徹の手になる「海へ」の奥深さ、さらにピアソラ「タンゴの歴史」の熱い息吹と、変幻自在の響きの世界を堪能する。小池郁江鈴木大介
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