eぶらあぼ 2014.11月号
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183トケの合奏協奏曲第4番とベートーヴェンの交響曲第5番の組み合わせと、マーラーの交響曲第7番で、常に時代を明確に意識した彼らしいもの。11月には大野と共に、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番でレーピン、細川俊夫の都響創立50周年記念委嘱新作で藤村実穂子が登場。その後11月中旬には、都響14年ぶりの長期海外ツアーとなるヨーロッパ公演(ベルリン、ウィーンほか予定)が同じく大野の指揮で行われ、レーピン、藤村とは同演目でツアーでも共演する。 桂冠指揮者のインバルはショスタコーヴィチ最後の交響曲第15番、バーンスタインの交響曲第3番「カディッシュ」(3月)、先ごろ2018年まで首席客演指揮者の延長が決まったフルシャはマルティヌーの交響曲第2番とマーラー交響曲第1番「巨人」(12月)、終身名誉指揮者の小泉和裕はヴァイオリンのファウストとメンデルスゾーンの協奏曲と家庭交響曲(1月)など都響指揮者陣それぞれが力のこもった作品を選んだ。 客演では今年8月のオール・ビゼー・プログラムが大成功だったミンコフスキ(12月)がブルックナーの交響曲第0番、11年の都響スペシャルで共演したニューヨーク・フィル音楽監督ギルバート(1月)がシベリウスとワーグナーでそれぞれ定期初登場。ド・ビリー(デュティユーとブラームス各交響曲第2番/5月)、ダウスゴー(サーリアホと生誕150年のニールセン/5月)は初共演。カエターニ(タンスマン、ショスタコーヴィチほか/6月)、リットン(シェーンベルク、ラフマニノフ/6月)、ナッセン(ジョセフォウィッツのヴァイオリンで自作の協奏曲、ゼルキンとブラームスのピアノ協奏曲第2番ほか/9月)、下野竜也(コダーイ、グリーグ、ドヴォルザーク/9月)ら実力派は定期再登場になる。また、世界最高峰の合唱団として名高いスウェーデン放送合唱団とダイクストラの指揮によりモーツァルトのレクイエムを共演(10月)する。新世代の指揮者では、スペインのヒメノ(7月)、イギリスのガードナー(8月)、マチェラル(9月)らが作曲家の肖像シリーズやプロムナードコンサートに招かれる。東京都交響楽団 http://www.tmso.or.jp■新進ピアニスト・松田華かのん音、 ドイツ・グラモフォンよりデビュー! わずか6歳でロシアに渡り、名門グネーシン音楽学校で学んだ松田華音が、11月5日にドイツ・グラモフォンよりデビュー盤をリリースする。松田は同校在学中に数々のコンクールで優秀な成績をおさめ、2013年にはロシア人以外で初めて最優秀生徒賞を受賞している。現在18歳の彼女は、日本人として初めてロシア政府特別奨学生としてモスクワ音楽院に今秋入学。デビュー・アルバムにはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、ショパンのポロネーズ第6番「英雄」、ラフマニノフの「音の絵」(抜粋)などが収録されている。 松田は2015年1月15日に紀尾井ホールでのリサイタル・シリーズ『明日への扉 7』に登場、同年1月17日はフィリアホールのニューイヤー・コンサート『モーツァルト 饗宴』にテノールの錦織健、ヴァイオリンの山根一仁とともに出演する。CD『松田華音 デビュー』ドイツ・グラモフォン/ユニバーサルミュージックUCCG-1689 ¥280011/5(水)発売■訃報:クリストファー・ホグウッド イギリスの指揮者、チェンバロ、オルガン奏者、音楽学者のクリストファー・ホグウッドが9月24日、ケンブリッジの自宅で死去した。享年73。ケンブリッジ大学ペンブローク校、プラハのカレル大学でR.レッパード、T.ダート、G.レオンハルトらに師事。専門のヘンデル作品などで古楽器演奏運動の初期から活動。1967年にデイヴィッド・マンロウらとロンドン古楽コンソートを創設、メンバーとして活躍するほか、ネヴィル・マリナー率いるアカデミー室内管のチェンバロ奏者を務め、同団のために楽譜の編集、校訂を行った。73年にエンシェント室内管弦楽団を創設、指揮者として、セレナードや序曲の編曲などを含む全71曲に及ぶ大規模なモーツァルトの交響曲全集やハイドンの交響曲集などの録音によって古楽演奏の一時代を画した。オリジナル楽器とピリオド奏法を生かしてのバロック音楽と古典派音楽のみならず、現代音楽に至る幅広いレパートリーを持ち、80年代以降は各地でモダン・オーケストラも指揮。80年代後半から90年代前半までアメリカのセントポール室内管の音楽監督を務めた。日本ではエンシェント室内管との公演のほか、東京フィル、N響に客演、今年11月には都響との共演が予定されていた。©Marco Borggreve
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