eぶらあぼ 2014.10月号
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66マレイ・ペライア(指揮/ピアノ) アカデミー室内管弦楽団これ以上幸せなピアノ協奏曲はない文:柴田克彦今年のコンセプトは“40”文:宮本 明神奈川県民ホール 年末年越しスペシャルファンタスティック・ガラコンサート 201411/13(木)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp他公演 11/15(土)豊田市コンサートホール(0565-35-8200)11/16(日)鹿児島市民文化ホール(099-257-8111)12/28(日)15:00 神奈川県民ホール問 チケットかながわ0570-015-415 http://www.kanagawa-kenminhall.com 間違いなくマレイ・ペライアは、常に来日が望まれるピアニストの筆頭格だ。昨年10月、彼は待望のリサイタルを行い、深く温かな円熟の名奏で満場のファンを魅了したばかり。1年後の今年10月に再び来日するのは、稀有の朗報というほかない。今度はアカデミー室内管と聴かせる弾き振り&指揮。当コンビでの来日は12年ぶりとなる。 40年以上世界で活躍してきたペライアの、まさしく40年前に行った最初の協奏曲の録音が、マリナー&アカデミー室内管とのメンデルスゾーンだった。以来長き関係の中で、同楽団は彼が指を怪我した時期に指揮者として招き、2000年から首席客演指揮者に迎え、昨年も欧米各地で共演し絶賛を博している。今回は、互いの音楽性を知り尽くしたその絶妙なコラボを久々に味わえる。 プログラムには、このコンビで最も聴きたいモーツァルトとバッハが並ぶ。 オペラにバレエにオーケストラ。名作のハイライトをいっぺんに楽しめる、まさにファンタスティックな、神奈川県民ホールの『ファンタスティック・ガラコンサート』が、恒例の年末に戻ってきた。昨年はホールの改修休館のために11月末に開催されたが、年の瀬ならではの開放感はやはり特別。一年を締めくくって新しい年に向かうワクワク感が、華やかなガラにいっそうの彩りを添えてくれるはず。 神奈川県民ホールが来年1月に開館40周年を迎えるのにちなんで、プログラムに作曲家40歳の作品を織り込むモーツァルトは、イギリス室内管との全集録音が規範となっているペライアの代名詞。今回は、中でも彼の粒立ちの良い音が映える第21番だから、ますます嬉しい。明朗快活な快速楽章と往年の名画『みじかくも美しく燃え』で使われた至高の第2楽章…。これを聴けるのは幸せ以外の何物でもない。両者による録音もあるバッハは、協奏曲第7番。ヴァイオリン協奏曲第1番の編曲で生演奏の稀な同曲も、原曲との比較を含めて大注目だ。このほかメンデルスゾーンの佳作とハイドンの「驚愕」交響曲を、アカという趣向の選曲。ヴェルディの《椿姫》、プッチーニの《トスカ》、エロール(エロルド)の《ザンパ》といったオペラや、チャイコフスキーの「イタリア奇想曲」は、どれもみな作曲家が40歳の年に完成した(または手がけていた)作品だ。経験を積み、円熟を迎えた年齢に生まれた作品を並べて聴く機会は、単なる数字遊びだけでない意味もありそう。 指揮の松尾葉子、司会も務めるバリデミー室内管クラスで聴くのも貴重な体験となる。 ここにあるのは、芳醇で心に染み入る珠玉の音楽。夢のようなひとときが待っている。トンの宮本益光、東京バレエ団のプリンシパル上野水香と高岸直樹は、このコンサートの頼もしい常連たち。そして、赤丸急上昇中の2人のソプラノ・小林沙羅と岡田昌子に、テノールの山本耕平とサクソフォンの上野耕平という、時代を切り拓く2人の若き“耕平”。いま話題のアーティストたちが顔を揃える。管弦楽はもちろん神奈川フィル。 2015年へのカウントダウンを、この豪華なガラから始めてみては?マレイ・ペライア ©Felix Broede左から:宮本益光/松尾葉子/山本耕平/上野耕平/上野水香©Shitomichi Ito/高岸直樹 ©Nobuhiko Hikiji

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