eぶらあぼ 2014.10月号
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50©Jean-Philippe Raibaud来日30周年記念 ミシェル・ダルベルト ピアノ・リサイタル10/16(木)19:00 紀尾井ホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp他公演10/12(日)石橋文化ホール(九州音楽文化振興会0942-27-9082)10/14(火)南日本新聞会館 みなみホール(東郷音楽学院099-223-1050)ミシェル・ダルベルト(ピアノ)節目の年のスペシャル・プログラム取材・文:寺西 肇Interview 艶やかな音色と深い精神性で聴衆を魅了するフランスのピアノの名匠ミシェル・ダルベルトが来日する。初来日から30周年の節目を記念したリサイタルでは、古典から近代まで、その音楽世界の粋を披露する。 「日本の皆さんの音楽への反応は、30年前と少し変化したように思えます。かつては遠慮がちで、コンサートで指笛を吹いたり、ましてやスタンディング・オベーションなど、特に地方公演ではありえませんでした。しかし時が経つにつれて、次第に“ラテン的な気質”を表現する方が増えたように思います。素晴らしいことですね」 今回のステージでは、まず前半にベートーヴェンのソナタ第14番「月光」とシューベルト「楽興の時」「即興曲」からの抜粋を。後半には、ラヴェル「ソナチネ」とフォーレ「即興曲第3番」「ノクターン第6番」、そしてショパンの「ソナタ第3番」を配した。 「私が愛する作曲家の中から、普段演奏しない作品を取り上げます。特に『月光ソナタ』は、私にとってある意味“初演”と言えるかもしれません。実は、駆け出しの頃にこの曲で失敗した経験があり、再び取り上げるのにここまでの時間がかかりました。後半は親愛なるヴラド・ペルルミュテール教授(1904~2002/20世紀フランスを代表するピアニスト)へ捧げたい。私は彼の元で、これらの作品を勉強させていただいたのです」 近年、指揮活動にも力を入れているとのこと。 「ピアノを弾く時も、オーケストラ的な響きを追求するようになりましたね。実際に、私のピアノが以前より豊かで多様性を持ち、ポリフォニックになった、とも言われます。一方、指揮をすることでピアノの演奏がさらに楽しく、より価値があるのだと感じられるようになりました」 2011年からパリ国立高等音楽院の教授を務める。 「こんなに楽しいとは思わなかった。若い音楽家との継続的な交流を通じて、その発想や考え方をもらっています。今の私の演奏が、彼らからの影響を受けているのは確かですね」 多趣味な人物としても知られているが、それらが演奏に何か影響を与えることはあるのだろうか。 「残念ながら私の趣味は、ピアノを弾くことについて全く良い方向に作用しません(笑)。でも、特にスキーやダイビング、そして美味しい食事は外せません。これらは、私を“普通の人間”にしてくれます。音楽のことしか語れず、音楽家ばかりに囲まれ、“象牙の塔”で生きるのは嫌ですからね」 今後のプロジェクトとして「フランク、フォーレ、ラヴェル、ドビュッシーに特化した、4枚のCDのライヴ録音」を計画しているそうだ。最後に、聴衆に本当に伝えたい想いをきいてみた。 「大切なメッセージは音楽そのものに宿り、聴衆はそれを思い通りに理解し、感じ取れる。私は彼らの笑顔と心からの賛辞を受けて、常に『音楽がすべての人の心に届く』と確信するのです」

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