eぶらあぼ 2014.10月号
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310野間バレエ団『ロミオとジュリエット』『パキータ』イデビアン・クルー『図案』CD『ベスト・オブ・ミュージカル』 岡幸二郎 with 日本フィルハーモニー交響楽団実力派キャストが揃う期待の舞台クセになる井手の世界観25年間の想いを込めて文:石村紀子文:乗越たかお文:長谷川あや 大阪府堺市にバレエ文化を根付かせようと、地域に密着して活動を続けている野間バレエ団。今回の定期公演は『ロミオとジュリエット』と『パキータ』の2本立て。『ロミオとジュリエット』は総監督である野間康子の演出・ あまりにも独特でキテレツで、しかしどうにも愛さないではいられない振付・演出家の井手茂太。芝居など他分野でも引っ張りだこの人気者である。その井手が率いるダンスカンパニー、イデビアン・クルー新作公演のタイトルは『図案』。『図案』て! 毎回タイトルにはセンスが光るが、今回も健在だ。 作品は「劇場自体が持つ空間を全面に出したシンプルな舞台」ということで、美術よりもダンスとダンサーの身体勝負になりそうな様相を呈している。それも単純にうまいとか超絶技巧 ミュージカルスター・岡幸二郎が、デビュー25周年を記念してCDを発売。『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』『ミス・サイゴン』などの珠玉のミュージカルから選び抜いた25曲の名曲に、25年間の想いを存分に込めた。岡自身の、表情豊かで艶のある歌声はもちろんだが、日本フィルハーモニー交響楽団のリッチなサウンドも圧巻だ。ミュージカルという表現形態の醍醐味である楽曲の広がりを存分に体感できる。また、このCDにおいて岡は全曲日本振付版だ。ジュリエットを演じるのは同団のプリンシパル、野間景。華奢で可憐な雰囲気がジュリエットにぴったり。ベテランならではの奥行きのある踊りで魅せてくれるだろう。ロミオはダイナミックで情熱的な踊りが魅力の佐々というものではなく、何か気になる、ちょっと自分でもやってみたくなる、優しくそして深いダンスの世界への感覚が堪能できるだろう。 今回は大きなひとつの作品というわけではなく、オムニバス形式になるという。魅力的な動きを創ることにかけ語での歌唱を選択した。オリジナル言語での歌唱も魅力的だが、母国語で歌われることで曲の持つメッセージがすとんと心に落ち、いつしか口ずさみたくなっている。デュエットやコーラスの相手は、これまで舞台を共にしてきたミュージカル界で活躍する面々が務めた。ミュージカルファンなら、ぜひ手元に置いておきたい渾身のアルバムだ。木大。ティボルトには演技力に定評のある、新国立劇場バレエ団オノラブルダンサーの山本隆之。マキューシオには碓氷悠太(元新国立劇場バレエ団)と豪華な顔ぶれ。碓氷は王子役が似合うノーブル・ダンサーだが、切れ味鋭い踊りも魅力。『パキータ』でも将校リュシアンを踊る。『パキータ』は野間景の再振付版で、タイトルロールは同団の若手、荒瀬結記子が務める。毎回好評を博している同団の公演だけに期待が高まる。10/4(土)17:00 ソフィア・堺ホール 問 野間バレエ団072-255-7880 http://www.noma-ballet.com10/10(金)~10/12(日) 世田谷パブリックシアター問 世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515 http://setagaya-pt.jpCOCQ-38689-92 (4枚組CDカラオケ付き) COCQ-38693-4 (2枚組CD) 問 日本コロムビア03-6895-9660 http://columbia.jp/artist-info/oka※11/26(水) 東京オペラシティコンサートホールでの公演あり http://www.operacity.jp/concert野間 景佐々木 大山本隆之碓氷悠太『麻痺 引き出し 嫉妬』2013年 ©MarieNosakaては無類の才能を発揮する井手の持ち味が最大限に活かされた舞台になりそうだ。

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