eぶらあぼ 2014.10月号
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216CDCDCDCDモーツァルト:ピアノ協奏曲&ショパン:マズルカ集/中村紘子J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲作品 第二弾/マーティン・ツェラートランペット・ヴォランタリー/アレクセイ・トカレフ指輪物語/渡邊一正&東京佼成ウインドオーケストラモーツァルト:ピアノ協奏曲第24番・第26番「戴冠式」ショパン:マズルカ第14番・第15番・第17番~第21番・第25番・第51番中村紘子(ピアノ)山田和樹(指揮)横浜シンフォニエッタJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番~第6番マーティン・ツェラー(バロック・チェロ)クラーク:トランペット・ヴォランタリー/アルビノーニ:協奏曲/J.S.バッハ=グノー:アヴェ・マリア/カッチーニ:アヴェ・マリア/シューベルト:アヴェ・マリア、セレナーデ/ドニゼッティ:ネモリーノのロマンス/マスカーニ:アヴェ・マリア 他アレクセイ・トカレフ(トランペット)佐藤勝重(ピアノ)オリヴァドーティ:序曲「バラの謝肉祭」/ホルスト:吹奏楽のための第1組曲/スパーク:希望の彼方へ/デ=メイ:交響曲第1番「指輪物語」 他渡邊一正(指揮)東京佼成ウインドオーケストラドリーミュージックMUCD-1308/9(2枚組) ¥4500+税M・A RecordingsM-089A ¥2800+税マイスター・ミュージックMM-2197 ¥2816+税収録:2013年12月、東京芸術劇場(ライヴ)日本コロムビアCOCQ-85091 ¥2000+税日本のピアノ界を牽引するだけでなく、クラシック音楽の魅力を多くの人々に紹介する啓蒙的な存在ともいえる中村紘子。その中村の最新リリースはデビュー55周年を記念する豪華な2枚組だ。1枚目はモーツァルトのピアノ協奏曲集。第24番と第26番「戴冠式」を、山田和樹指揮・横浜シンフォニエッタと共演した。「戴冠式」のカデンツァは、作曲家の新垣隆によるものだ。注目の若手精鋭陣とノーブルで喜びに満ちた音楽を作り上げている。2枚目はショパンのマズルカ集。中村は自身がセレクトした9曲を、語るような躍動感と変化に富む打鍵で奏し、聴き手の集中力を喚起して止まない。(飯田有抄)2007年にリリースされた、スイス出身のチェリスト、マーティン・ツェラーによる同組曲第一弾は、演奏の素晴らしさも然る事ながら、その筆舌に尽くしがたい美音で筆者の心を揺さぶった。あれから7年。待った甲斐があった! 銘器シュタイナー(1673年製)から今回、18世紀イタリア・ドイツの楽器(4弦と5弦を使用)へと変わったが、天才タッド・ガーフィンクルによるワンポイント録音の美しさは何も変わらない。過剰な装飾音を用いず実直にバッハへと対峙するツェラーの演奏は、それでいて、聴くものの魂を揺さぶるパッションに満ちあふれている。(唯野正彦)真に音楽的なアーティキュレーションの源は、たとえ器楽奏者であっても、常に“歌”にこそある。レニングラード音楽院在学中には声楽も修めたという、異色のトランペット奏者による8年ぶりのアルバムは、改めてそう教えてくれる。超絶技巧をあえて“封印”し、美しい音色をゆっくりと堪能できる選曲に。カッチーニやシューベルトの「アヴェ・マリア」など、特に歌曲からの編曲作品の演奏では、歌詞が付いていないにもかかわらず、そこに言葉が存在するかのよう。一つひとつの旋律を慈しむようなトランペットの響きに、抑制を利かせた佐藤の柔らかなピアノが、そっと寄り添う。(寺西 肇)東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の定期演奏会ライヴ録音シリーズの第6弾。クラシック畑の渡邊一正が吹奏楽のオリジナル曲のみを指揮した点がなかなか興味深い。目玉は40分を超える大作「指輪物語」。TKWO初の挑戦とは意外だが、劇的な抑揚や迫力、緻密さなど全てに申し分なく、音のドラマにぐんぐん引き込まれる。これは作曲者も「清澄さとディテールが驚異的に素晴らしい」と絶賛したとの由。「バラの謝肉祭」も芳醇なサウンドでイタリア産の名曲たることを再認識させ、難曲「希望の彼方へ」(初CD化)も鮮烈に魅せる。超優良株・高値安定の趣。(柴田克彦)

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