eぶらあぼ 2014.10月号
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210CDCDCDCD深層の祭/ジャパン・ウィンド・プレイヤーズシューベルト:幻想ソナタ/今川映美子R.シュトラウス:ドン・キホーテ&チェロ・ソナタ/マキシミリアン・ホルヌングThe 展覧会の絵/田中正也コープランド:市民のためのファンファーレ/ホルスト:吹奏楽のための第1組曲/シェーンベルク:主題と変奏/三善晃:吹奏楽のための「深層の祭」/グレインジャー:リンカンシャーの花束/ウォルトン:戴冠行進曲甲斐誠(指揮)ジャパン・ウィンド・プレイヤーズシューベルト:ピアノ・ソナタ第18番「幻想」、アレグレットD915、3つのピアノ曲D946今川映美子(ピアノ)R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」、チェロ・ソナタマキシミリアン・ホルヌング(チェロ)ベルナルト・ハイティンク(指揮)バイエルン放送交響楽団パウル・リヴィニウス(ピアノ) 他ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」/プロコフィエフ:トッカータ、こどものための音楽、ピアノ・ソナタ第3番「古い手帳から」田中正也(ピアノ)マイスター・ミュージックMM-2199 ¥2816+税コジマ録音ALCD-7185 ¥2800+税収録:2012年12月、ミュンヘン(ライヴ) 他ソニーミュージックSICC-30174 ¥2600+税ナミ・レコードWWCC-7762 ¥2500+税オーディションで選ばれた気鋭の若手奏者によって構成され、オリジナル作品に的を絞って活動する新進プロ吹奏楽団のデビュー盤。まずは、“著名クラシック作曲家の吹奏楽曲”に焦点を当てた内容が光る。演奏自体は、緻密な綾を重視したウィンド・アンサンブル的な方向性。特に、半数を占めるイギリスの作品では、繊細で柔らかなサウンドが楽曲のノーブルさとマッチして、新鮮な感覚がもたらされる。中でもウォルトン「戴冠行進曲」の端整な美しさは秀逸。独自のワン・ポイント録音も佳き仕上げに貢献している。“聴く吹奏楽”に新たな魅力をもたらす1枚。(柴田克彦)ウィーン留学時代からシューベルトに魅せられ、その音楽に向き合ってきたピアニストの今川映美子。2度目となるシューベルトの録音は、2006年から継続してきたシューベルト・ツィクルスが来る11月に全12回をもって完結することを記念したもの。「幻想ソナタ」は、香り立つようなふくよかさ、その中に力強い芯を持った音で奏でられる。死の年に作曲された「3つのピアノ曲」は、厳しさの中に時折現れる柔和なフレーズが、輝きをもって聴く者をひきつける。ひとたびごとに表情を変えてゆく音楽が、多彩なタッチで描き分けられる。作曲家の心を代弁しようとする、想いの込もった演奏。(高坂はる香)バイエルン放送響の首席チェロ奏者を経て、現在はソリストとして活躍中の本年28歳、マクシミリアン・ホルヌングの国内盤デビューアルバム。この人の美点は実に美しい音色としなやかな歌い回し。それは「ドン・キホーテ」の第3、第5変奏で大いに効果を発揮しており、惚れ惚れするほど。チェロ・ソナタでは、ともすると冗長かつ饒舌に響きかねないこの曲を、趣味の良い節度に満ちた美演に仕立て上げることに成功している。それぞれの楽曲での共演者の演奏もこの上なく見事で、特にハイティンクに指揮されたバイエルン放送響、冒頭からその音楽性に感嘆。(藤原 聡)タイトルにあえて「The」とあるのは自信の表れだろうか。ロシアに学び、多くのコンクールで入賞歴を誇る実力派・田中正也は、その経験から“ロシアの風”を作品にふきこみつつも、あえて慎重な運びでじっくりと「展覧会の絵」を彫琢。結果として、作品の本質を細部まで丁寧に掘り下げた演奏に仕上がっている。カップリングのプロコフィエフ3曲では、音色に対する鋭敏な感覚と、シャープで力感に富んだリズム感が秀逸。中でも白眉は、副題の付いた12の小品からなる「子供のための音楽」。その中でも終盤の2曲で見せる澄み切った音楽の流れの美しさには脱帽だ。(渡辺謙太郎)
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