eぶらあぼ 2014.9月号
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609/13(土)14:00 ムラマツリサイタルホール新大阪問 ミュージック・アート・ステーション06-6836-70679/15(月・祝)14:00 杉並公会堂問 コンサート・プランニング03-5411-1090/日本クロアチア音楽協会03-6869-5641安達朋博オフィシャルサイト http://tomohiroadachi.com安達朋博(ピアノ)多くの人にクロアチア音楽の魅力を広めたい取材・文:東端哲也Interview 高校卒業後にクロアチアへ渡り、国立ザグレブ大学・音楽アカデミーで学びつつ欧州各地で演奏活動を展開。帰国後は同国の作曲家による作品の普及活動にも熱心で、現在「日本クロアチア音楽協会」の代表も務める注目のピアニスト。 「それまで何の知識もなかったので、留学先で女性作曲家ドラ・ペヤチェヴィッチの『バラ』という美しい曲に出会った時は大きな衝撃を受けました。以来、クロアチアの音楽史について積極的に学び、魅せられています。日本でも10年以上地道に弾き続け、やっと協会設立にまで至りました」 4年目となる杉並公会堂でのリサイタルでも、前半にバッハ、ショパンと共にドラ・ペヤチェヴィッチ作品を演奏。このペヤチェヴィッチについて。 「オーストリア=ハンガリー帝国時代に、ピアニストで声楽家でもあった母親の影響で音楽家を志した彼女は貴族階級ということもあり、サロンなどで自作を披露する機会に恵まれ、37歳と6ヵ月という短い生涯に、主に後期ロマン派の様式で58作品を遺しています。初期の作品はリストやシューマンの影響を受けており、今回演奏する『ソナタ第1番』もショパンの『葬送ソナタ』を彷彿とさせる名曲です」 プログラムの後半では今年が没後50年であるボジタル・クンツの「ソナタ第3番」を本邦初演。 「彼は、妹が後にメトロポリタン歌劇場のプリマドンナとして成功を収めた、あのジンカ・ミラノフだったということもあって声楽との関わりが深く、素晴らしい歌曲をたくさん書いています。初期の作風は少し土臭くもあるのですが、妹と一緒に渡米してからはかなり洗練されていて面白い。今回の作品も和声がとてもお洒落で不思議な空間的広がりを感じていただけるはず。昨年初演した『ソナタ第1番』がとても好評だったこともあり、ゆくゆくはソナタ全4曲を制覇したいですね」 加えて、同世代である西澤健一の「ピアノのためのパッサカリア」やラヴェルの「ラ・ヴァルス」も。 「素晴らしい作品が演奏されずにいる残念な状況はクロアチアものも日本の現代作品も同じ。西澤さんの作品は楽譜を見た瞬間に弾いてみたいと思いました。一方でフランスものには初挑戦なのですが、なぜか周囲からはずっと勧められ続けていまして…(笑)。昔ハードル競技をやっていた経験から学んだのですが、一気に高く跳ぼうとせず、演奏家としても手の届く挑戦を繰り返して徐々にハードルを上げつつ発展していけたらと思うのです」11/21(金)19:00 よみうり大手町ホール問 読売新聞東京本社ホール企画部03-6739-5838 http://yomi.otemachi-hall.com前橋汀子カルテットカルテットで聴く前橋汀子の新境地文:笹田和人原田禎夫 ©斎藤清貴川本嘉子久保田 巧 ©藤本史昭前橋汀子 ©篠山紀信 わが国を代表するヴァイオリニストの1人として第一線を走り続け、一昨年には演奏活動50周年の節目を迎えた前橋汀子。名器グァルネリ・デル・ジェスで優雅で円熟味あるプレイ・スタイルを、なおも深化させ続けている。そんな彼女が、同じヴァイオリンの久保田巧、ヴィオラの川本嘉子、チェロの原田禎夫という国際的な檜舞台で活躍を続ける気心の知れた仲間たちと共に、自身の音楽人生で初となる弦楽四重奏団「前橋汀子カルテット」を結成。豪華な顔ぶれだけに、大きな話題に。 そんな彼らが、よみうり大手町ホールのステージに早くも登場。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲から、第4番と「ラズモフスキー第2番」こと第8番、そして最後の作品である第16番と、特に個性的な3曲をセレクトし、ひとつの小宇宙とでも言うべき佳品群の“おいしいところ”を聴かせる。今年春にオープンしたばかりの約500席のホールは、豊潤な響きに恵まれ、室内楽を愉しむには絶好の場所。至福の時間を堪能したい。

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