eぶらあぼ 2014.9月号
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4910/8(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 コンサートイマジン03-3235-3777http://www.concert.co.jp10/17(金)19:00 札幌コンサートホールKitara問 オフィス・ワン011-612-8696http://www.officeone.co.jpCD『パストラル 宮崎陽江 プレイズ ミヨー』オクタヴィア・レコード OVCX-00072¥2857+税Photo:馬場道浩宮崎陽よう江え(ヴァイオリン)“メン・コン”と「ツィガーヌ」の核心に迫ります取材・文:渡辺謙太郎Interview スイスを拠点にヨーロッパと日本で活動を続けるヴァイオリニストの宮崎陽江。2008年から毎年、東京と札幌で行っている帰国公演が今年も行われる。これまではフランス音楽が中心だったが、今回の演目は、メンデルスゾーンの協奏曲ホ短調と、ラヴェル「ツィガーヌ」。ここでなぜドイツものを? と思われるかもしれないが、そこには宮崎ならではの知的な選曲意図がある。 「当時のヴァイオリン協奏曲の主流は、クロイツェル、ローデといったフランスのヴァイオリニスト兼作曲家。彼らの作品は、メンデルスゾーンがこの協奏曲を書く際のお手本にもなりました。その特徴である流麗な旋律はまさにフランス的と言えます」 元々はピアノ協奏曲として出発したと考えられ、完成までに6年も要したこの協奏曲。指示や楽想が大きく異なる楽譜が複数存在しているが、宮崎はその精査にも余念がない。 「第1楽章冒頭の有名な出だしひとつとっても、第1稿と現在広く知られているものではまるで違う。その経緯や意図を一つひとつ吟味しながら、メンデルスゾーンの瑞々しいインスピレーションの核心に迫りたいです」 そしてもう1曲、「ツィガーヌ」でも、宮崎は誠実で入念なアプローチを企図している。 「ラヴェルはフランス人ですが、父親がスイス人で母親がバスク人というハーフでした。精緻さと情熱が複雑に交錯した作風は、その賜物だと思います。ハンガリー系ロマの音楽を下敷きにしたこの晩年の傑作に挑むにあたっては、複雑な和声と、濃厚で熱狂的な表現の双方にバランスよく光をあてたいですね」 共演は、指揮が秋山和慶。管弦楽は東京公演を東京フィル、札幌公演を札響がそれぞれ務める豪華な布陣だ。 「秋山先生とは今回が初共演。雄大で深い音楽作りをかねてから尊敬していました。昨年もご一緒した札響、今回が初共演ですが友人も多数在籍する東京フィル。どちらの公演も本当に楽しみです」 この公演に先立つ9月には、スロヴァキアのブラティスラヴァでヨーロッパ公演を開催。レオシュ・スワロフスキーが指揮するスロヴァキア・フィルと初共演し、今回の帰国公演と同じ2曲に挑むという。また、昨年9月には「フランス6人組」の一人、ミヨーのCDを発表。ジャズや民族的要素も交えた多彩な音楽を洒脱に表現し、高い評価を得たことも記憶に新しい。その確かな手応えの数々は、今後のさらなる飛躍を予感させる。9/26(金)19:00 よみうり大手町ホール問 エントラプーレ事務局0120-87-8797 http://www.entrapure.comエントラプーレ チャリティーコンサート Vol.5ペットたちを音楽で救おう文:笹田和人小森谷 巧徳永二男 ©K.Miura 「エントラプーレ」とは本来、イタリア語で「さあ、こっちへおいで」と言う意味。日本は“ペット大国”である一方、かつて年間約30万匹ものペットが殺処分されていたという。エントラプーレは「人と動物たちが共に暮らせる社会を目指し、かけがえのない命と向き合い、自分にできる小さなことから始めよう」との想いを、音楽を通じて多くの人と分かち合おうと、2010年にスタートした。“動物愛護”と大きく構えるのではなく、無理なく気軽に誰でも参加できる活動として定着しつつあり、処分の数もスタート時の半分にまで減った。 その活動を支援するチャリティーコンサートに集結するのは、ヴァイオリンの徳永二男や小森谷巧ら、趣旨に賛同する18人の名手たち。ヴィヴァルディ「四季」を季節ごとに、徳永ら4人がソリストを交替しながら披露するほか、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」から第1楽章など、名曲の花束を届けてくれる。なお、本公演の収益は、動物保護団体に寄付される。

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