eぶらあぼ 2014.9月号
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43クァルテットの饗宴 2014 テツラフ・カルテット名ソリストが究める室内楽の奥義文:柴田克彦小泉和裕(指揮) 東京都交響楽団ベテランが目指す新しいブルックナー像文:江藤光紀10/7(火)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp第775回定期演奏会 Aシリーズ9/19(金)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp このカルテットは、究極の形態にして通好みとされる弦楽四重奏を、より親近感あるものと思わせてくれるに違いない。なぜなら、「テツラフ・カルテット」の名の通り、現代屈指の実力派ソリストとして世界的人気を誇るドイツのヴァイオリニスト、クリスティアン・テツラフが率いているからだ。もちろん弦楽四重奏は4人の均衡が最重要だが、ヴァイオリンにバンベルク響元コンマスのエリーザベト・クッフェラート、ヴィオラにチューリヒ歌劇場管コンマスのハンナ・ヴァインマイスター、チェロにドイツ・カンマーフィルの首席奏者でテツラフの妹ターニャ・テツラフを配し、1994年の結成以来20年にわたり、欧米の国際音楽祭やウィーン・ムジークフェライン、コンセルトヘボウなどの著名ホールで演奏を重ねているから、バランスや呼吸も文句なし。それゆえ個々の妙技と精緻なアンサンブルを兼備し、「世界でもっとも魅力あるアンサンブルのひ 都響の9月定期Aシリーズは派手さは無いものの、滋味深いコンサートとなっている。まず指揮の小泉和裕。国際的スター指揮者の登場が当たり前になった東京の音楽界だが、それも長く地道な積み上げの上に成り立っていることを忘れてはならない。1970年代から都響に客演し各職を歴任した小泉は、オーケストラの足腰を鍛え、現在の繁栄をもたらした功労者の一人。その小泉が今春から終身名誉指揮者のポストにあるが、単なる名誉職ではないところがミソだ。好評を得た3月定期のブルックナーの第1番に続き今回は第2番を取り上げるが、ますますスケールの大きな演奏を聴かせる絶好調の都響が、重厚な大曲で明晰な解釈を見せる小泉と共に原点に回帰し、新しいブルックナー像を作り上げようとしている。ブルックナー風味がより強く出ているノヴァーク版第2稿という点にも注目。とつ」(伊誌)と賞されている。 日本初上陸で注目される今回は、プログラムもいきなり勝負がかり。モーツァルトの名作ハイドン・セット唯一の短調四重奏曲である第15番、1973年ドイツ生まれのヴィトマンの「狩りの四重奏曲」、至高の傑作群たるベートーヴェン後期を代表する四重奏曲の第15番が並んだ演目は、濃密で歯応え満点だ。2つの「15番・短調」は、古典派両雄の比較と最高峰弦楽四重奏曲の醍醐味を同時に堪能させてくれる 前半、イヴァン・エロード「ヴィオラ協奏曲」の独奏は、都響の誇るソロ・ヴィオラ奏者の鈴木学。鈴木は都響に来る前、リンツ・ブルックナー管の首席奏者を務めていたが、この協奏曲、80年の初演を担ったのは鈴木のオーストリア時代の師トーマス・リーブルだ。師匠ゆずりの同曲は、現代曲とはいってし、名クラリネット奏者でもある異色の作曲家ヴィトマンの作品も実に興味深い。ここは、テツラフのソロ同様に誠実で活力溢れるカルテットの豊穣な音楽に、どっぷりと浸ろう!も古典的な楽章構成をもち、オーケストラと肌理の細やかな協奏を繰り広げる。クラシカルなセンスが問われる佳作で鈴木も好んで取り上げているようだが、今回は指揮者もオーケストラも気心の知れた同僚、緻密な対話が期待できよう。ブルックナーとの相性もいい選曲だ。鈴木 学 ©堀田力丸小泉和裕 ©堀田力丸©Alexandra Vosding

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