eぶらあぼ 2014.9月号
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40 © Steve J.Sherman第81回 N響オーチャード定期11/9(日)15:30 Bunkamuraオーチャードホール問 Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999 http://www.bunkamura.co.jp私はN響のスピリットが大好きなのです取材・文:山田治生Interviewレナード・スラットキン(指揮) この7月、フランス国立リヨン管とともに日本を訪れたレナード・スラットキンに、公演の合間を縫って、11月のNHK交響楽団との公演について話を聞いた。 スラットキンとN響の初共演は1984年だった。当時、セントルイス響の音楽監督を務めていた彼は、アメリカの一地方オーケストラに過ぎなかった同オーケストラを全米トップ・レベルにまで鍛え上げた指揮者として世界的に注目されていた。スラットキンとN響の相性は良く、88年、93年、96年、2000年、08年、12年と共演を重ねている。 「N響との関係は今年で30周年になりますね。私は、N響のスピリットが大好きなのです」 その後、スラットキンは、ワシントン・ナショナル響、BBC響のシェフを歴任し、現在は、フランス国立リヨン管とデトロイト響の音楽監督を兼務している。 「今は1年間に、デトロイトで16週間、リヨンで14週間、働いています。今夏は、シカゴ、アスペン音楽祭、タングルウッド音楽祭、ハリウッド・ボウルで指揮をして、リヨンに戻ります。でもこうした夏の過ごし方をするのは今年までです。来年からは夏には指揮をしないで、ゆっくりと過ごします。本を書いたり、作曲したりしたいと思っています」 11月9日のN響オーチャード定期では、ブラームスの交響曲第4番やラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を取り上げる。 「ブラームスは、デトロイトで交響曲ツィクルスの一環として録音しました。来年、リヨンでもツィクルスを行います。交響曲第4番は、構成が特別で、終楽章に変奏曲であるパッサカリアが取り入れられています。バッハの要素を取り入れたのです。第4番は、本当に一音たりとも変えようのない完璧な音楽です。ほかの3つの交響曲は長調で終わりますが、第4番は短調で終わります。そのエンディングは『この次に何が来るのか?』と問いかけているように聞こえます」 ラフマニノフの協奏曲の独奏は、2001年ヴァン・クライバーン・コンクール第1位のオルガ・ケルン。 「オルガはとても良い友人です。リヨンでは、一緒にラフマニノフのピアノ協奏曲全曲演奏も行いました。彼女と共演するときは言葉がいらないし、いつも新しいものをもたらしてくれます。私はこの9月で70歳になるのですが、リヨンでの70歳誕生日記念コンサートでもオルガは演奏してくれます」 マエストロは4ヵ月後にまた日本に戻ってきてN響と共演するのをとても楽しみにしていた。10/19(日)16:30 八ヶ岳高原音楽堂問 八ヶ岳高原ロッジ0267-98-2131   http://www.yatsugatake.co.jp秋の高原にはショパンの憂愁がよく似合う八ヶ岳高原サロンコンサート 仲道郁代(ピアノ) © Kiyotaka Saito 一日ごとにあっという間に秋が深まっていく八ヶ岳の10月。色とりどりに染まる高原にはショパンの憂愁がよく似合う。八ヶ岳高原音楽堂のサロンコンサートに人気ピアニスト仲道郁代によるオール・ショパン・プログラムが登場。「幻想即興曲」に始まり、「小犬のワルツ」や「別れの曲」等々、聴けば誰でもが知っている“超”の付く有名曲ばかりを集めた名曲プログラムだ。2010年のショパン生誕200年イヤーを機に、テレビ番組でゆかりの地を訪れたり、レッスン番組で初心者向けの講師を務めたり、解説書籍を出版したり、もちろんコンサートで頻繁に演奏したりと、近年の彼女はショパンにもかなりウェイトを置いて活動している。少女時代から彼女を聴き続けているファンも、以前とは異なる解釈のショパンを感じるのではないだろうか。黄昏から徐々に闇に包まれていく山の樹々を背景に、街の喧噪を逃れてうっとりと時間を過ごす贅沢なコンサートになるだろう。文:宮本 明

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