eぶらあぼ 2014.9月号
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38インゴ・メッツマッハー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団共鳴し合う“古典”と“前衛”文:飯尾洋一ウィーン・ヴィルトゥオーゼン(室内楽アンサンブル) 室内楽版“ウィーン・フィル”の美技文:寺西 肇第88回 多摩定期 9/28(日)15:00 パルテノン多摩問 チケットパルテノン042-376-8181#530 定期演奏会 サントリーホール・シリーズ 9/29(月)19:15 サントリーホール#531 定期演奏会 トリフォニー・シリーズ10/3(金)19:15、10/4(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp11/6(木)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jp他公演 11/1(土)はつかいち文化ホールさくらぴあ、11/2(日)多治見市文化会館、11/3(月・祝)岡山シンフォニーホール、11/5(水)ハーモニーホールふくい、11/8(土)吹田市文化会館メイシアター、11/9(日)北上市文化交流センターさくらホール※全国公演の詳細は(http://www.proarte.co.jp)でご確認ください。 新日本フィルのコンダクター・イン・レジデンスに就任して以来、次々と刮目すべきプログラムを打ち出しているインゴ・メッツマッハー。なかでも昨シーズンから続くベルント・アロイス・ “音楽の街の伝統を、そして、響きを体現する存在”と言い切っていいかもしれない。世界的に名を轟かせるクラリネットの名手で、ウィーン・フィルの首席奏者であるエルンスト・オッテンザマーを中心として、ウィーン・フィルの各セクションの中心メンバーによって、1995年に結成されたウィーン・ヴィルトゥオーゼン。伝統のスタイルと個々人の高い技巧に根差した独特の響きを紡ぎ上げ、世界中の聴衆を魅了している。 ウィーン・ヴィルトゥオーゼンは、弦楽四重奏にコントラバス、木管五重奏を加えた、10人編成が基本。時に室内楽、時に八重奏と変幻自在に編成を変えつつ、古典からロマン派、そして現代に至る幅広い時代の作品、交響曲や協奏曲まで柔軟に対応してゆく。何よりも、親密で温かい響きと絶妙のアンサンブルは、普段から名門オーケストラの同僚として苦楽を共にして気心も知れている彼らにしか、創り出せないもツィンマーマンとベートーヴェンの作品を組み合わせたシリーズは、メッツマッハーの面目躍如といったところ。現代作品と古典作品のセットからテーマ性を透かして見せる一連のプログラムは大きな話題を呼んでいる。 この秋、メッツマッハーと新日本フィルが用意したプログラムは2種類。9月には、ツィンマーマンの大オーケストラのためのプレリュード「フォトプトシス」と「ユビュ王の晩餐のための音楽」(本公演では津軽弁による語りが入る)に、ベートーヴェンの交響曲第7番が組み合わせられる。ツィンマーマン作品にはいずれも過去の名曲からの引用があるが(どちらもベートーヴェンの交響のだと言えよう。 5年ぶりとなる、待望の来日公演。まずは、モーツァルトの《フィガロの結婚》序曲や協奏交響曲を。そして、ブラームスの「ハンガリー舞曲集」からの数曲、19世紀のクラリネットの名手ルイジ・バッシがヴェルディ《リゴレット》を曲を含む)、特に「ユビュ王の晩餐のための音楽」は膨大な引用で埋め尽くされたコラージュの怪作である。これらツィンマーマン作品を起点にベートーヴェンを見つめ直すと、新たな風景が見えてくるかも。 10月3日と4日のトリフォニー・シリーズでは、ツィンマーマンの「静寂と反転」とベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」が演奏される。ともに作曲者晩年の境地が生み出した彼岸の音楽とでもいえるだろうか。 この指揮者でなければ決して体験できないコンサートになることはまちがいない。編曲した幻想曲を披露する。さらに、R.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」やビゼー《カルメン》からの名旋律、シュトラウス2世のワルツやポルカなど盛りだくさん。極上の豊潤なワインのような音楽に、しばし酔いしれたい。インゴ・メッツマッハー ©K.Miura
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