eぶらあぼ 2014.9月号
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170CDCDCDCDVoyage(ヴォヤージュ)/藤井香織&藤井裕子伊福部昭 ピアノ作品集/高良仁美トスティ歌曲集~もう泣かないで/吉きっかわ川具くにこ仁子若き日のリヒャルト・シュトラウスとピアノ/カテーナ、サヴィニオ弦楽四重奏団シューマン:アダージョとアレグロ/メンデルスゾーン:無言歌op.85-4/ヴィドール:組曲op.34/フォーレ:シシリエンヌ/フランク:ソナタ イ長調藤井香織(フルート)藤井裕子(ピアノ)伊福部昭:ピアノ組曲(日本組曲)、日本狂詩曲、映画音楽「佐久間ダム」・「その壁を砕け」No.7・「二人の息子」No.24・「渚を駆ける女」No.7、聖なる泉~「モスラ対ゴジラ」より、SF交響ファンタジー第1番(石丸基司編曲)、バレエ音楽「盆踊り」(チェレプニンと共作)高良仁美(ピアノ) 他トスティ:ヴォレイ、憧れの人よ、苦しみ!、愛らしいくちびる、もう泣かないで、アヴェ・マリア、薔薇、もうあなたなんか愛さない!、最後のくちづけ、夢、子守唄 他吉川具仁子(ソプラノ)山岸茂人(ピアノ)R.シュトラウス:5つのピアノ小品、セレナード、祝祭行進曲、ピアノ四重奏のための2つの小品(アラビアの踊り/小さな愛の歌)、ピアノと2つのヴァイオリンとチェロのためのコンチェルタンテ、情緒のある風景コスタンティーノ・カテーナ(ピアノ)サヴィニオ弦楽四重奏団コジマ録音ALCD-3101 ¥2800+税AltusALT-298/9(2枚組) ¥オープンナミ・レコードWWCC-7759 ¥2500+税カメラータ・トウキョウCMCD-28309 ¥2800+税フルートの妹とピアノの姉による珠玉のデュオ。収録曲の大半が編曲ものであることもあり、改めて2つの楽器の柔軟性を教えてくれる。例えば、冒頭のシューマンのアダージョとアレグロ。元々はホルン用に書かれ、現在は複数の弦楽器でも演奏される作品だが、それが彼女たちの手にかかると、実に緻密で自然な歌として聴こえるから凄い。そして当盤の白眉といえるフランクのソナタ。フランス近代ヴァイオリン・ソナタの最高傑作の一つが、ここではまるでオリジナルのフルート・ソナタのような高みに達している。中でも、最終楽章の立体感のある鮮やかな音楽の組み立て方が秀逸だ。(渡辺謙太郎)きっぷがいい、とでもいうのだろうか。スケールが大きく躍動感あふれる演奏だ。強烈なアクセントをきかせたリズム上に太く強靱な音で旋律線を描く。小奇麗にまとめてはつまらない、“少々泥臭いほうが伊福部音楽の本質に肉薄できる”と言わんばかりだ。舞曲はメリハリがきき、力強い律動からは踊る男たちの飛び散る汗が見えるよう。ゴジラのテーマもペダルをわんわんとうねらせて禍々しさを表現。時折挟まれる短い映画音楽が抒情的な緩徐楽章となって、一息つけるのも心憎い演出だ。明確な主張がすがすがしい。生誕100年記念の真打か。(江藤光紀)東京芸大卒業後に渡伊し、ミラノ・スカラ座附属オペラ研修所などに学んだ後、北イタリアの主要歌劇場の檜舞台のほか、日本でも藤原歌劇団の公演に華々しい活躍を続けていた吉川。病に倒れた夫や両親の介護に専念するため、20年近く第一線から遠ざかっていた。昨年、復帰を果たした彼女が新録音に選んだのは、「無理なく歌えるように、巧みに作られている」と評する、トスティの歌曲集。それは今、後進たちに「無理のない発声法」を伝える活動を続ける吉川自身にとって、鏡のような存在だ。まるで慈しむように、彼女は佳品たちと対峙し、“歌える喜び”を温かな声に託している。(寺西 肇)今年はR.シュトラウスの生誕150年。当ディスクはなかなか顧みられない若き日の珍しいピアノ曲、室内楽曲を収める。どれも佳品と言うべき、肩の凝らない魅力的な作品だ。2曲収録されているピアノ・ソロ曲(5つのピアノ小品、情緒のある風景)ではシューベルト、シューマンやメンデルスゾーンの影響が随所に感じられつつも、豊かな楽想やその展開処理の上手さなどはこの作曲家の早熟さを物語る。弦楽器が加わる2曲でも、曲の魅力ではピアノ曲に及ばないにしても、全く飽きさせない。特に「ピアノ四重奏のための2つの小品」の〈アラビアの踊り〉は純粋に楽しめる小曲だ。(藤原 聡)
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