eぶらあぼ 2014.8月号
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48 「若者たちを対象とした講習会を」との鹿児島の音楽教育者らの熱望を受けて、故・ゲルハルト・ボッセの主導でスタートした霧島国際音楽祭。高い志を抱きながらも留学が叶わない学生に、巨匠によるレッスンと名演に触れる場を与えてきた。35回目となる今年も、国内外の講師陣によるマスタークラスのほか、主会場の霧島・みやまコンセールでは、高関健指揮の鹿児島交響楽団によるスペシャル・ガラ(7/20)、ヴァイオリンの成田達輝や川久保賜紀のプロデュース公演(7/21)や、ピアノのクシシュトフ・ヤブウォンスキ、エリソ・ヴィルサラーゼらの出演によるミニ・コンサート「音楽の散歩」(7/26)、閉幕にはヴィルサラーゼをソロに迎えてのシューマンのピアノ協奏曲(8/3)など。宝山ホールでは、下野竜也指揮のキリシマ祝祭管弦楽団によるベートーヴェン・ツィクルスの第6弾で、交響曲第6番「田園」に加え、チェロの堤剛、ヴァイオリンのダニエル・ゲーデ、ピアノのヤブウォンスキと豪華なソリスト陣による三重協奏曲も楽しめる(7/31)。7/16(水)~8/3(日) 霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)、宝山ホール、鹿児島市民文化ホール、ザビエル教会、かごしま県民交流センター 他問 霧島国際音楽ホール0995-78-8000/ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530http://www.kirishima-imf.jp第35回 霧島国際音楽祭 2014大自然に包まれてハイ・レベルの演奏を堪能文:笹田和人左から:堤 剛 ©鍋島徳恭/下野竜也 ©Naoya Yamaguchi(Studio Diva)/エリソ・ヴィルサラーゼ/ダニエル・ゲーデ第1回 デザインK国際ピアノコンクール【予選】 東京会場(デザインKホール):9/28(日)、10/11(土)、10/13(月・祝) 名古屋会場(ワインセラーK):10/4(土) 大阪会場(相愛大学本町学舎アンサンブルスタジオ):10/12(日)【セミファイナル】10/18(土)~10/20(月) 【ファイナル】11/9(日)応募締切:9/11(木)問 デザインK国際音楽コンクール事務局03-3560-9181 http://dkcompetition.com※セミファイナルとファイナルは東京会場で開催。 国内外に多くのコンクールが存在する中、より自分にとって価値あるものを選んで挑戦することは大切だ。デザインKが行うコンクールは、数あるコンクールの中でもユニークなもののひとつ。オフィス空間をプロデュースするこの会社は、自社が保有するホールを活用して、『デザインK国際音楽コンクール』、『ジュニア&学生国際音楽コンクール』、そして楽器、年齢に制限のない『アンリミテッド国際音楽コンクール』など、特色あるコンクールを開催してきた。過去の入賞者には、後に日本音楽コンクールに優勝したヴァイオリンの大江馨や、全日本学生音楽コンクールで優勝したチェロの藤原秀章などがいる。 そして今年『デザインK国際ピアノコンクール』が新設される。参加資格は、小学1年から32歳まで。年齢別に部門が分かれており、課題曲は自由(最長演奏時間は部門別に設定)だ。東京、大阪、名古屋の3都市で予選が行われたのち、ファイナル、セミファイナルは東京での開催となる。 「デザインKはマネジメント事業も行い、ホールも持っている会社です。参加することで大きな可能性が開けるコンクールだと思います。ニューヨークやロンドンにも支店があるので、国際的な活動を考えている人にも良い縁があるかもしれません。優勝した人はもちろんそうでなかった人にも、今後の活動につながるチャンスを掴んでいただけたらと思います。臆せず、思いきり自分の良さを出してほしいですね」 こう語るのは、審査員長を務めるピアニストの斎藤雅広。このコンクールには、音楽関係の団体が主催するものでないからこその魅力を感じると言う。 「代表の日下部氏は、空間を活かしたビジネスという視点からこの企画を進めていらっしゃるので、私自身も話を聞いていて勉強になることが多いです。若い方々にとっても、音楽業界の方々から受けるのとは少し違った、良い刺激があるのではないでしょうか」 審査員には著名な演奏家、教育者が名を連ねており、音楽的な学びの場も充実している。 「セミファイナルの後に、ワークショップ形式で審査員のアドバイスが受けられる場を設けています。一方的に講評が渡されるのとは違い、出場者が直接質問することができるので、対話の中で学ぶことができるわけです。こういったことが行われるコンクールはなかなかありません」 演奏はすべて一般公開される。東京会場は、六本木一丁目駅からすぐと地の利も良い。ここでは年間にわたって審査員勢や入賞者によるコンサートも計画されているというので、ぜひ足を運びたい。斎藤雅広(ピアノ) 第1回 デザインK国際ピアノコンクール参加することで、大きな可能性が開ける取材・文:高坂はる香Interview
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