eぶらあぼ 2014.8月号
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41三ツ橋敬子(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団2人の才媛で聴く名曲の楽しみ文:飯尾洋一第300回 横浜定期演奏会 9/27(土)18:00 横浜みなとみらいホール第362回 名曲コンサート 9/28(日)14:30 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 http://www.japanphil.or.jpメルビッシュ湖上音楽祭 ガラコンサートヨーロッパを代表するオペレッタ・フェスティバルのエッセンス文:加藤浩子9/29(月)13:30(休憩なし80分公演)/19:00 すみだトリフォニーホール9/30(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール10/3(金)19:00 ザ・シンフォニーホール10/4(土)15:00 瀬戸市文化センター文化ホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jp三ツ橋敬子 ©Walter Garosi菊池洋子 ©Marco Borggreveルドルフ・ビーブル イーヴァ・シェルダグマー・シェレンベルガーアレクサンドル・バデア 昨年、齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞し、ますますの躍進が期待される指揮者、三ツ橋敬子。現在イタリアのヴェネツィアに在住する三ツ橋が、日本フィルの指揮台でイタリア音楽の名曲を聴かせてくれる。軽快なロッシーニの《セヴィリアの理髪師》序曲、哀切で甘美なプッチーニの《マノン・レスコー》第3幕への間奏曲、そして色彩感豊かなレスピーギの交響詩「ローマの松」と、まさに名曲中の名曲がそろったプログラムが魅力的だ。とりわけ「ローマの松」で繰り広げられる音の饗宴は、オーケストラを聴く醍醐味にあふれている。金管楽器のバンダやオルガンを含む壮麗な響きがもたらす愉悦は、実演でなければ決して体験できない格別のもの。日本フィルのパワフルなサウンドに、三ツ橋がどんな彩りを加えてくれるのか、大いに興味をひく。 さらに今回の公演には、共演したいソリストとして三ツ橋自らが指名した菊池洋子が招かれ、モーツァルトのピ オーストリアとハンガリーの国境に広がるノイジトラー湖のほとり、メルビッシュで開催される湖上音楽祭は、およそ半世紀の歴史を誇る、ヨーロッパを代表するオペレッタフェスティバル。湖をわたる夜風に吹かれながら、湖上に設けられた舞台で上演されるオペレッタを見物するのは、ヴァカンスの季節の極上の贅沢だ。3,600平方メートルの広さを誇る舞台ではスペクタクルな演出が繰り広げられ、ウィーンのフォルクスオーパーなどで活躍するオペレッタ界のトップスターが出演する。終演後には花火が打ち上げられるなどサービス精神も満点で、世界各地から毎夏20万人を超える人々が訪れる、人気の音楽祭である。 このメルビッシュ湖上音楽祭が、初の外国への引っ越し公演となるガラ・コンサートを日本で行うことになった。《こうもり》や《メリー・ウィドウ》など定番の人気オペレッタのハイライトがバレエアノ協奏曲第26番「戴冠式」でソリストを務める。菊池洋子といえばモーツァルトには定評のあるところ。モーツァルトの音楽が見せる顔は演奏者によってさまざまに変わるものだが、望んでつきで楽しめるのに加え、「ワルツ王」ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツも演奏される盛りだくさんの内容だ。オペレッタの巨匠ルドルフ・ビーブル指揮するメルビッシュ祝祭管弦楽団をバックに、音楽監督もつとめる才色兼備のソプラノ、ダグマー・シェレンベルガーをは実現した共演だけに、練りあげられたモーツァルト像が描かれるにちがいない。2人の才媛が、息の合ったところを見せてくれることだろう。じめ、イーヴァ・シェル(ソプラノ)、アレクサンドル・バデア(テノール)らスター達が練達の芸で魅せる。プロフェッショナルなナビゲーターもつくから、プログラムと首っ引きになることなく、リラックスして楽しめそうだ。メルビッシュの夏の夜風の余韻を、この秋、東京で。

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