eぶらあぼ 2014.8月号
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22 新興のオペラ・カンパニー「アーリドラーテ歌劇団」はヴェルディ作品の上演を目的としたオペラ団体で、すでに2011年《ラ・トラヴィアータ》、2013年《仮面舞踏会》を上演している。団体名のアーリドラーテ(ali dorate)は「金の翼」の意味で、言うまでもなく《ナブッコ》の有名な合唱〈行けわが思い、金色の翼に乗って〉に由来するイタリア語だ。9月にはその第3回公演が行なわれる。演目はヴェルディ中期の傑作《リゴレット》(字幕付き原語上演)。 公演監督(前回公演まではミュージカル・アドバイザー)を藤原歌劇団団員の新日本フィルハーモニー交響楽団 新・クラシックへの扉 #40“超”有名曲で愉しむ午後のひととき文:オヤマダアツシ8/1(金)、8/2(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jpアーリドラーテ歌劇団 第3回公演《リゴレット》ヴェルディの壮絶な人間ドラマに迫る文:宮本 明9/6(土)18:00、9/7(日)14:00 昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ問 アーリドラーテ歌劇団080-3247-5480 http://www.ali-dorate.net 金曜および土曜日の午後2時開演。「夜間は外出できなくて」という方も含め、クラシックの名曲をゆっくり楽しめると好評の、新日本フィル『新・クラシックへの扉』シリーズ。定期演奏会よりもチケットがリーズナブルであり、金曜日はさらに割安。シルバー層の方(65歳以上)や学生の方、墨田区在住・在勤者などであればさらに安くなるとあって、リピーターの多いシリーズとなっているのだ。最近はすみだトリフォニーホールがある錦糸町周辺の下町散策やグルメ探訪も兼ねて、または親孝行など家族サービスも兼ねてコンサートを楽しむ人も増えているらしい。 2013/14シーズンのラストを飾る8月1日、2日のコンサートでは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲とドヴォルザークの「スラヴ舞曲集」(全16曲から8曲をセレクト)が演奏される。猛暑の真夏に聴く北欧フィンランド生まれの名作では、少年時代より数々の音楽コンクールを制覇し、現在は東京音楽大学でそのテクニックと音楽性を磨いている周防亮介(すほうりょうすけ)がソリストとして登場。未来のスター・ヴァイオリニストが階段を駆け上っていく貴重な時間を共有できるだろう。テノール・小山陽二郎が務めているように、出演歌手は藤原歌劇団所属の実力派が中心。今回も、二枚目バリトン須藤慎吾(6日リゴレット)、日本を代表するプリマの一人・高橋薫子(6日ジルダ)、前述の小山陽二郎(6日マントヴァ)、若手テノール三浦義孝(7日マントヴァ)、小田桐貴樹(両日スパラフチーレ)、向野由美子(6日マッダレーナ)、丸尾有香(7日マッダレーナ)など、藤原勢が主要キャストの核となっている。また、7日の 後半のドヴォルザークは理屈抜きで楽しく、音楽と共に思わず身体が動いてしまいそうな音楽。手堅くも生き生きとした演奏を聴かせる梅田俊明の指揮により、充実した午後のひとときを送れるに違いない。リゴレット役の横山弘泰やジルダ役の山﨑陶子など、さまざまな経歴の若手歌手たちも出演する。指揮は団体の主宰者で弁護士としても活動している山島達夫。管弦楽は在京アマチュアオケの奏者らを、コンサートマスターのプロ奏者・池澤卓朗がまとめる。スマートな演出で高評価の木澤譲の舞台づくりにも期待が募る。さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが「ヴェルディ」の旗印の下に集結した公演だ。梅田俊明 ©M.Okubo周防亮介須藤慎吾高橋薫子三浦義孝丸尾有香

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