eぶらあぼ 2014.8月号
156/195
161コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報ぶらPAL今月の注目公演公演情報10月の見もの・聴きもの2014年10月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場10月2(18:00)日 ヴェルディ:ドン・カルロ(4幕・イタリア語版) 指/A.アルティノグリュ、演出/D.アバド、出/G.プレスティア、R.アラーニャ、G.ペテアン、A.ピエチョンカ、10月4(19:30)、7(18:30)、10(19:30)日 R.シュトラウス:サロメ 指/A.アルティノグリュ、演出/B.バルロク、出/W.アプリンガー=シュペルハッケ、J.ヘンシェル★◎10月5(18:00)、8(18:30)、11(18:30)、14(18:30)、16(18:30)日 モーツァルト:イドメネオ[プレミエ] 指/C.エッシェンバッハ、演出/K.ホルテン、出/M.シャーデ、M.グリツコヴァ、M.ベンクトソン、C.ライス◎10月9(19:00)、13(19:30)、17(19:30)日ドニゼッティ:ロベルト・デヴェリュー 指/A.ユルケヴィチ、演出/S.プルカレーテ、出/E.グルベローヴァ、M.カリア、M.ボヒネク◎10月12(19:00)、15(19:00)、18(18:30)、21(19:30)、23(19:00)日 R.シュトラウス:ナクソス島のアリアドネ 指/C.ティーレマン、演出/S.E.ベヒトルフ、出/P.マティッチ、J.シュメッケンベッヒャー、S.コシュ、J.ボータ、D.ファリー、S.イソコスキ10月19(19:00)、25(19:30)日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/G.ガルシア・カルボ、演出/O.シェンク、出/I.トンカ、A.シラグーザ◎10月22(18:00)、26(17:30)、30(18:00)日ワーグナー:タンホイザー 指/チョン・ミョンフン、演出/C.グート、出/K.ヨン、R.D.スミス、C.ゲルハーヘル、C.ニュールンド、I.テオリン10月29(19:00)、31(19:00)日 プッチーニ:ラ・ボエーム 指/D.エッティンガー、演出/F.ゼッフィレッリ、出/D.ポポフ、K.ストヤノヴァ、A.アルドゥイーニ、V.ナフォルニタウィーン・フォルクスオーパー10月1(19:00)、5(18:00)、12(19:00)日 ヴェルディ:イル・トロヴァトーレ 演出/D.W.ヒルスドルフ10月3(19:00)、7(19:00)日 ヨハン・シュトラウス:ヴェニスの一夜 演出/H.ホルストコッテ10月6(19:00)日 ヨハン・シュトラウス:こうもり 演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニク10月10(19:00)、13(19:00)日 F.レッサー:ガイズ・アンド・ドールズ(ミュージカル)演出/H.マレチェク★◎10月11(19:00)、14(19:00)、16(19:00)、20(19:00)、27(19:00)日 チェルハ:オンケル・プレジデント(Onkel Prasident)[プレミエ] 演出/J.E.ケップリンガー10月15(19:30)、17(19:00)、23(19:00)、29(19:00)日 C.ポーター:キス・ミー・ケイト(ミュージカル) 演出/B.モットル10月18(19:00)、22(19:00)、26(19:00)、31(19:00)日 プッチーニ:トゥーランドット 演出/R.ドゥセ10月21(19:00)、24(19:00)、30(19:00)日P.リンケ:ルナ夫人 演出/P.ルントアン・デア・ウィーン劇場★◎10月16(19:00)、18(19:00)、21(19:00)、24(19:00)、27(19:00)、29(19:00)日 グルック:オーリードとトーリードのイフィジェニー(2部構成/T.フィッシャー版・2014)[プレミエ] 指/L.フセイン、演出/T.フィッシャー、出/〔オーリード〕C.ポール、M.ブレート、E.シウリナ、M.ミロノフ他/〔トーリード〕V.ジャンス、C.ポール、S.ドゥグー、R.トロスト他、演奏/ウィーン響◎10月17(19:00)日 ヘンデル:アルチーナ(演奏会形式) 指/H.ビケット、出/J.ディドナート、A.コート、A.クリスティー、S.プリナ、B.ジョンソン、W.ギールラッハ、A.ドゥヴァン、演奏/イングリッシュ・コンサート◎10月23(19:00)日 F.プロヴェンツァーレ:ステッリダウラの復讐(演奏会形式) 指/A.デ・マルキ、出/R.ミラネジ、A.ストローパー、演奏/アカデミア・モンティス・レガリスウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(K)=カトヴィツェ・コンサート・ホール(カトヴィツェ/ポーランド)、(B)=コンサートホール[スロヴァキア・フィルハーモニー](ブラティスラヴァ)、(S)=コンサートホール(ストックホルム)、(M)=スカラ座(ミラノ)、(R)=サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(ローマ)、(SP)=祝祭劇場(ザンクト・ペルテン/オーストリア)]◎10月3(K)、5(B)、6(19:30)日 P.シュナイダー指揮 ペンデレツキ:失楽園〜アダージェット、ドヴォルザーク:聖書の歌、J.スーク:アスラエル交響曲 独/D.ペコーヴァMs10月8(S)日 R.ムーティ指揮 リスト:前奏曲、ワーグナー:トリスタンとイゾルデ〜愛の死、他◎10月15(M)(21:00)、19(15:00)日 G.プレートル指揮 シューベルト:交響曲第2番、ヨハン・シュトラウス(Ⅰ世・Ⅱ世)の「ポルカ・ワルツ集」、他◎10月23(R)、24(19:30)(SP)、25(15:30)、26(11:00)日 I.メッツマッハー指揮 メシアン:われら死者の復活を待ち望む(23日は除く)、シューベルト:ラザロ 独/W.ギューラT、S.ダヴィスリムT、D.シュムッツハルトBs、R.ハルニッシュS、S.カルトホイザーS、他ウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今月は、高齢の有名指揮者にいくつか動きがある。まずは、ミュンヘン・フィルの音楽監督として、特にこの2〜3年極めて充実した音楽を聴かせていたロリン・マゼール。4月以降「アクシデントのため治療中」との報が流れたままキャンセルが続いてきたが、ついに6月、ミュンヘン・フィルの監督を辞めてしまった。体調の詳細は依然として未発表だが、このまま引退ということにでもなったら、これは痛恨の極み。新シーズンのミュンヘン・フィルは10月も含めて、至るところ「指揮者未定」のプログラムになってしまい、何とも心が痛む。その一方で、これまた病気療養中と言われていた90歳のジョルジュ・プレートルの名前が、10月のウィーン・フィルとウィーン響に指揮者として突然復活したのには驚いた。本当に体調が回復したのであればこれは嬉しい知らせだ。ぬか喜びに終わることなく、是非とも舞台に登場して客席からの万雷の拍手を浴びる姿を見てみたい。病気といえば、18世紀オーケストラの音楽監督フランス・ブリュッヘンも体調が芳しくないようだが、10月にはオランダ主要都市で4回の演奏会が予定されている。元気な姿を見せてくれれば、すべて聴きものには間違いないのだが…。 高齢でも相変わらず元気一杯に演奏をこなしているのはアーノンクール。10月は、手兵コンツェントゥス・ムジクスと、モーツァルト2曲(「ハフナー・セレナード」と交響曲第36番「リンツ」)を携えて、ウィーンの定期公演のほか、ベルリンやグラーツでも演奏会を行う。ただ、生まれた地であるベルリンや、少年時代を過ごしたグラーツでの演奏ということを考えると、そろそろ人生最後の恩返しのつもりでゆかりの地を巡るツアーを始めたのだろうか、と複雑な気持ちになる。 さて、老巨匠以外に目を向けると、わが大野和士氏がリヨン国立歌劇場でワーグナー「さまよえるオランダ人」プレミエを振るのは楽しみだ。別にリヒャルト・シュトラウスに焦点を当てたオーケストラ・コンサートもある。その他の10月のオペラ公演では、ヤナーチェクの作品に興味を惹かれるものが多い。例えば、ドレスデン・ゼンパーオーパーの「利口な牝狐の物語」プレミエとバイエルン州立歌劇場の「マクロプーロス事件」プレミエ。前者はトマーシュ・ネトピル、後者はトマーシュ・ハヌスという共にチェコの若手指揮者が棒を担当する。ネトピルはエッセン歌劇場で「イエヌーファ」も振る。このネトピルにハヌス、もう1人、10月はウィーン響に登場し、日本でも活躍しているヤクブ・フルシャの3人は、いずれも指揮者イルジ・ビエロフラーヴェクの弟子でそれぞれ順調にキャリアを積んでいるように思われる。ビエロフラーヴェクには指導者としての才能もあったということか。 ほかにオペラでは、カスパー・ホルテンの演出に期待がかかるウィーン国立歌劇場の「イドメネオ」、グルックやヘンデルの意欲的な公演が見られるアン・デア・ウィーン劇場、昨年のOPERNWELT誌最優秀演出家であるタチアナ・ギュルバカ演出のハッセ「レウチッポ」(ケルン歌劇場)、キリル・ペトレンコ指揮、ハンニガン出演の「兵士たち」(バイエルン州立歌劇場)、ニケの指揮するラモー「カストールとポリュックス」(シャンゼリゼ劇場)などどれも要注目。 オーケストラでは、ロジェストヴェンスキー指揮のパリ管、ヘンゲルブロック指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管、メッツマッハー指揮のウィーン・フィルなど通常なかなか聴けない組み合わせの演奏会こそライヴの醍醐味。一時の絶不調を脱していればクリスティーネ・シェーファーの歌う「ルル組曲」(バンベルク響)はもちろん重要。カフカの「掟の門」を原作とするシャリーノの同名オペラ・プレミエ(フェニーチェ歌劇場)あたりになるといささか通好みに過ぎるだろうか。なお、理由は定かでないが「ベルリン・ドイツ・オペラ」はほぼ11月いっぱいまで閉館しており、10月のオペラもフィルハーモニーのホールで演奏会形式を2本行うだけ。ご注意のほど。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
元のページ