eぶらあぼ 2014.7月号
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56CD『チャッコーナ』マイスター・ミュージックMH-2189 ¥2816+税6/25(水)発売8/29(金) 18:30 日経ホール問 日経ミューズサロン事務局  03-3943-7066   http://www.nikkei-hall.com第427回 日経ミューズサロン 中西俊博(ヴァイオリン)&サワン・ジョシ(シタール)国境を越えた“弦の競演”文:藤本史昭左:中西俊博 右:サワン・ジョシバロックの名曲・秘曲を集めて取材・文:宮本 明Interview宮崎蓉子(バロック・ヴァイオリン) ジャンルを超えて良質の音楽を発信する『日経ミューズサロン』に中西俊博とサワン・ジョシが登場。中西については今さら多言は要すまい。ボーダーレスかつ斬新な活動で、音楽シーンに話題を提供し続ける才人。その演奏、楽曲を耳にしたことのない音楽ファンはいない、といっても過言ではないはずだ。一方のジョシは現在注目度急上昇中のシタール奏者。伝統的な北インド古典音楽を修めつつロック・バンドを結成するといった自在なスタンスは、まさに中西が貫いてきた音楽観と見事にシンクロする。そんな2人だから、当然プログラムも興味深い。シタールをポピュラー音楽ではじめて使用したとされるビートルズ「ノルウェーの森」や超有名ジャズ・ナンバー「テイク・ファイブ」、さらには世界初演となるジョシ作「ヒマラヤン・ウインド」が“弦の競演”でどう響くのか。夏の終わり、リラクゼーションと刺激が交錯する不思議な音世界に身を浸してみては? ロンドンで研鑽を積んだバロック・ヴァイオリンの宮崎蓉子が待望の初ソロCD『チャッコーナ』をリリースする。 古楽を学び始めたのは高校生の頃だったそう。 「それまでは古楽器の存在すら知らなかったのですが、師事していた瀬戸瑤子先生がある日突然、『古楽器が合ってるんじゃないかしら』と、バロック・ヴァイオリンの渡邊慶子先生を紹介してくださって。弾いた瞬間に、音色の虜になりました」 大学ではモダン楽器と並行して学んだ。 「まだ古楽器に対する偏見みたいなものも残っていて、『あまり人には言わないほうがいい』なんて注意されたこともありました(笑)」 プロ・デビューが古楽器バンド「タブラトゥーラ」だったというから意外。 「大学1年の時に、正メンバーの田崎瑞博さんの代役で。今でも時々参加させてもらっているのですが、すごく勉強になります」 そして、レイチェル・ポッジャーに師事するためにロンドンのギルドホール音楽院に留学。在学中からエイジ・オブ・エンライトメント管のメンバーとして活動するなどして2008年に帰国。満を持しての初CDだ。ひと言で言えば、好きな曲ばかりを選んだアルバムだという。 超名曲コレッリの「ラ・フォリア」やヘンデルのソナタの他、フィオッコ、マッテイスといった普段なかなか聴く機会のない作品も楽しませてくれる。 「フィオッコは18世紀前半のベルギーの重要な作曲家です。スズキ・メソードの教材になっている『アレグロ』という曲があり、私もそれがヴァイオリン曲だとばかり思っていたのですが、原曲はチェンバロでした。そこで同じようにチェンバロ曲集から新たに3曲を加えて、全4曲のヴァイオリンのための組曲として自分で編曲しました」 フランス生まれのセナイエは自身もヴァイオリン奏者で、ヴァイオリン・ソナタもたくさん残している。「私はロンドンで初めて知りました。タイトル曲のマッテイスの『チャッコーナ』は、なにか舞曲を入れたいと探して見つけた作品で、一度聴いたら頭から離れない、とても魅力的な曲です。現在では彼の名はあまり知られていませんが、当時は『第二のコレッリ』と呼ばれるほど有名だったイタリアのヴァイオリニスト・作曲家です。彼の作品は、もっと掘り下げて、いろんな曲を見つけて紹介していきたいと考えています」 伸び伸びとした歌ごころと美しい音色の演奏が、こうした知られざる佳曲たちからやわらかな輝きを引き出す、注目のアルバムだ。Photo:Junichi Ohno

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