eぶらあぼ 2014.7月号
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36コルネリウス・マイスター(指揮) 読売日本交響楽団俊英は、いま聴いておかねば!文:柴田克彦第10回 読響メトロポリタン・シリーズ9/3(水)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ Ⅰ レナード・スラットキン(指揮) フランス国立リヨン管弦楽団極上のフレンチ・テイストを満喫文:江藤光紀7/19(土)15:00 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296http://www.geigeki.jp パリに次ぐフランス第二の都市リヨンは、2000年もの歴史を持つ南東部の古都。ここの歌劇場は音楽監督・大野和士のもと今月来日するが、7月にやってくるフランス国立リヨン管弦楽団はこれとは別団体。間を開けずに同じ都市のオペラと楽団がやってくるのは珍しい。合わせて聴くと、パリとは一味違ったフランスの一面、リヨン・テイストが分かるかもしれない。 リヨン管は2007年に前音楽監督の準・メルクルと来日した折にも、薫り高くもくっきりとした輪郭のサウンドを聴かせてくれた。11年からはレナード・スラットキンがこの役を引き継ぎ、3シーズンを経て機も熟しているようだ。 東京芸術劇場公演のプログラミングは、お国もので固めている。まずはラヴェルのオーケストレーションと描写力が光る「マ・メール・ロワ」(マザー・グース)組曲。続いてヨーロッパに加え日本での躍進も続く小菅優のソロで、同じくラヴェルの「ピアノ協奏曲」。今回の来日でリヨン管が小菅と共演するのは、この日のみ。そしてメインディッシュがサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」。シンフォニックな展開の合間にオルガンが清涼に鳴り響いたかと思えば、大交響楽と一体化して壮大なクライマックスを形作る(オルガン:石丸由佳)。 東京芸術劇場は一昨年のリニューアルオープン後、ナチュラルで広がりのあるサウンドが聴かれるようになった。特に「オルガン付」のようなスケールの大きな作品で、リヨン管の特性を素直に引き出してくれるのではないだろうか。 レナード・スラットキン ©Niko Rodamel小菅 優 ©Marco Borggreve 近年若い指揮者が来日すると、聴いておかねば…と思う。何しろ後でブレイクする俊英が多い。最近ではバッティストーニ、少し前はソヒエフ、古くはパーヴォ・ヤルヴィも、名が知れる前に単身来日し、聴き逃した者を後悔させている。 9月読響に客演するコルネリウス・マイスターは、2006年、26歳(!)の時に新国立劇場の《フィデリオ》、12年のウィーン放送響の日本ツアーを振っているから、若干事情が違う。しかしながら在京オケのコンサートに単身登場する今回、必聴の注目株であることに変わりはない。1980年ハノーファーに生まれ、21歳でハンブルク歌劇場でオペラ・デビュー。2010年からあのド・ビリーの後任としてウィーン放送響の首席指揮者を務め、バイエルン放送響、パリ管、ドレスデン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場ほか一流どころにも多数客演…との経歴が今後のブレイクを予感させるからだ。 今回のメインは、R.シュトラウスの「アルプス交響曲」。マイスターのお国もの&オペラで培った語り口がモノを言う音楽であり、ゴージャスな響きの読響に最適の作品でもある。彼が読響をいかにリードし、曲をどう構築するか? ぜひ確かめたいところだ。また大人気ピアニスト、アリス=紗良・オットが、ベートーヴェンの協奏曲第1番を弾くのも大きな魅力。若くして脚光を浴びた彼女が、25歳を過ぎていかなる進境を見せるか? ベートーヴェンならそれを知るに相応しい。指揮者、ソリスト、演目全てドイツ系で、読響も伝統的にドイツものが得意…と条件も揃った当公演に足を運ばない手はない。 アリス=紗良・オット ©Kiyotaka_Saitoコルネリウス・マイスター ©Nancy Horowitz
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