eぶらあぼ 2014.7月号
143/197

152SACDCDCDCDR.シュトラウス:弦楽四重奏曲/ロータス・カルテットスキャンダル/オット&トリスターノラプソディ・イン・ブルー/山下洋輔×佐渡&シエナバッハへの道/椎名雄一郎R.シュトラウス:弦楽四重奏曲op.2ヴェルディ:弦楽四重奏曲ホ短調ロッシーニ:弦楽四重奏曲第2番ロータス・カルテットトリスターノ:ア・ソフト・シェル・グルーヴストラヴィンスキー:春の祭典ラヴェル:ラ・ヴァルス 他アリス=紗良・オット(ピアノ)フランチェスコ・トリスターノ(ピアノ)挾間美帆:Mr.Oガーシュイン=高橋徹:ラプソディ・イン・ブルーラヴェル=山下洋輔:ボレロ(ピアノ・ソロ版) 他山下洋輔(ピアノ) 佐渡裕(指揮)シエナ・ウインド・オーケストラ 他ブクステフーデ:パッサカリア ニ短調、 コラール幻想曲「暁の星はいと麗しきかな」ベーム:コラール・パルティータ「ただ愛す る神の力に委ねる者は」、前奏曲 ハ長調J.S.バッハ:コラール前奏曲「われらが神は 堅き砦」、前奏曲とフーガ ハ長調 他椎名雄一郎(オルガン)ナミ・レコードWWCC-7754 ¥2700+税ユニバーサルミュージックUCCG-1655 ¥2600+税収録:2013年5月、文京シビックホール,松戸・森のホール21(ライヴ)エイベックス・クラシックス AVCL-25820 ¥3000+税コジマ録音ALCD-1145 ¥2800+税 オペラの世界で活躍した作曲家による弦楽四重奏曲を集めた、ユニークな切り口のアルバム。ヴェルディ以外は若書きで演奏機会も極端に少ないが、そう感じさせないほどの魅力と歌心に溢れている。それは、ドイツを拠点に活躍するロータス・カルテットの秀演あってのこと。実はシュトラウスの終楽章など、技術的にも決して楽な作品ばかりではないのだが、そこは名人集団、大儀さの欠片すら見せはしない。それどころか、早熟の天才たちの見事な構築力を裏づける、作品の全体像をしっかり捉える一方、作品の随所に秘められた個性を丁寧に掬い取り、深い彫琢を施してゆく。(寺西 肇) 稀代の興行師ディアギレフが主宰した「バレエ・リュス」にまつわる3曲とトリスターノの作品を収める。アリス=紗良・オット&フランチェスコ・トリスターノ。ソリストで「スター」同士の共演の結果は? 例えば「春祭」など幾つかある2台ピアノ版に比べても、実に端正かつ正確に弾かれているのが印象的で、それ自体特筆に価する。第1ピアノを担当するオットと第2ピアノを担当するトリスターノの間には明らかに表現のベクトルの差異が見て取れるのだが、これが逆に立体感に繋がっていて大変に面白い。ジャジーで気の利いたトリスターノの作品も○(マル)。(藤原 聡) 2013年5月のシエナ・ウインド・オーケストラと山下洋輔の共演を記録したライヴ盤。曲自体はどれもすでにCD化されているが、吹奏楽版は世界初出というところがまず大きな注目点だろう。オーケストラともビッグバンドとも違う、この編成ならではの絢爛な、それでいて温かみを帯びたサウンドが、ファンならおなじみであろうこれらの曲に新たな生命を吹き込んでいる。圧巻は「ラプソディ〜」。スコアという枠をしっかり保持しながら、これだけ自由奔放にピアノが疾走する同曲にはこれまでお目にかかったことがない。“ヨースケ信者”もそうでない人も必聴の1作。(藤本史昭) オルガンの良さがよくわからない、と言う人にこそ聴いてほしい。銘器と名手の出逢いが、いかに幸せな結果をもたらすのか、体感できよう。ブクステフーデとベーム、その先人たちを起点として、バッハの作品で締め括る当盤。ドイツ・ノルデンに現存する、アルプ・シュニットガー製作の歴史的銘器を使い録音された。その音色の一つひとつが、まるで宝石のよう。ミーントーンの心地良さも相まって、聴き始めると、たちまち虜となってしまう。対する名手・椎名のプレイは、奇を衒わぬ正攻法。楽器の懐に飛び込み、寄り添うことで、その魅力を余すところなく発揮させてみせる。(寺西 肇)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です