eぶらあぼ 2014.6月号
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60【CD】『シューマン 歌曲集〜インティメイト・リサイタル』 NI 5908 Nimbus/東京エムプラス ¥オープン 18世紀末から続く欧州の名門ロスチャイルド家の血筋を引き、同家ゆかりの音楽家の作品を集めたプログラムを始め、花や動物、クラシック・カー、ワイン、宝石など華麗な“ファミリーコネクション”をいかしたテーマによる公演を世界中で披露。近年は頻繁に日本を訪れ、情感溢れる日本語歌唱で聴衆を魅了している。 「昔、銀行の仕事をしていた父が出張先の東京から帰ってくるのがいつも楽しみでした。日本のお話しを聴くのが大好きだったから。これまで四季折々に様々な土地を訪れ、詩と音楽に込められた日本人の豊かな情緒に触れることができました。好きな詩人は北原白秋。2013年には彼の故郷の柳川を旅することができてとても嬉しかったです」 7月のリサイタル・ツアーのテーマは『A Bouquet of Flowers』。季節ごとに花に因んだ楽曲を中心に集めたプログラムで、山田耕筰や中田喜直からフォーレ、ドビュッシー、シューマン、ラフマニノフ、バーバーと多彩。 「一年中いろいろな国の花が咲く、私のお気に入りの庭をイメージしたようなプログラム。英国の南に30万坪ほど庭を所有しているのですが、小さな蒸気機関車も走り、自然を愛するエリザベス女王もお忍びでいらっしゃる素敵な場所です。聴衆の皆さんが私と一緒にあの風景の中を旅しているような、そんなリサイタルになれば…」 ピアノはNimbusレーベルの制作プロデューサーも務めるエイドリアン・ファーマーが担当。ふたりの息の合った演奏は昨年リリースされた同レーベルからの最新アルバム『シューマン 歌曲集〜インティメイト・リサイタル』でも聴くことができる。 「エイドリアンとは、私が曾祖母にあたるマティルド・ド・ロスチャイルド(※10代の頃、パリでショパンからピアノの手ほどきも受けた)歌曲集のレコーディングを企画していた時に出会いました。初めて共演した瞬間から何もかも通じ合うのを感じて以来、もう彼のピアノなしでは歌えないとさえ思うほど。これまでいわゆるメインストリームの歌曲を尻込みしていた私に、シューマンを強く勧めてくれたのも彼。思いきって歌ってみたら自分の人生経験とも重なるような作品が多くて、すっかりシューマンの虜に。特に私が歴史上で一番好きなキャラクターでもある(スコットランド女王)メアリー・スチュアートの詩による5つの歌曲が好きです。彼のおかげで歌曲の扉を開けることができたので、今後はフォーレやショーソンなどフランス歌曲の録音にも挑戦したいですね」 取材・文:東端哲也★7月1日(火)・山形/酒田市民会館、3日(木)・千葉/君津市民文化ホール、4日(金)・静岡/富士宮市民文化会館、8日(火)・山形/村山市民会館、10日(木)・岩手/一関文化センター、18日(金)*・長野/軽井沢大賀ホール●発売中 問 MIN-ONインフォメーションセンター03-3226-9999 *のみ軽井沢大賀ホール0267-31-5555/シャーロット・ド・ロスチャイルドリサイタル実行委員会090-6149-8111“歌の花束”をお届けしますシャーロット・ド・ロスチャイルド(ソプラノ)インタビュー 古くから室内楽に積極的で、現在も様々なグループが活躍するウィーン・フィル。その中核を担う一人がコンサートマスターのライナー・キュッヒルだ。そんな彼がチェロのヴィルヘルム・プレーガル(ケルンテン響ソロ奏者)と、ピアノのステファン・シュトロイスニックという気心の知れた仲間と共に日経ミューズサロンに登場する。どちらもキュッヒルが絶大な信頼を寄せるオーストリア出身の名手なので、瑞々しく充実した演奏を聴かせてくれることだろう。プログラムは、モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」、コダーイのヴァイオリンとチェロベテランと俊英が織り成す瑞々しいアンサンブル第426回 日経ミューズサロン ライナー・キュッヒルとウィーンの仲間 (キュッヒル・トリオ)のための二重奏曲、ワックスマン「カルメン幻想曲」、シューベルトのピアノ三重奏曲第1番の4曲。多彩な編成の魅力と共に、アンサンブルを構築する際の均衡や緊張、そしてウィーンならではのロマンティックな表情と豊かな力感を全身で堪能したい。文:渡辺謙太郎★7月2日(水)・日経ホール  ●発売中 問 日経ミューズサロン事務局03-3943-7066 http://www.nikkei-events.jp左より:ライナー・キュッヒル、ヴィルヘルム・プレーガル、ステファン・シュトロイスニック

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