eぶらあぼ 2014.6月号
61/199

58 「ホロヴィッツの再来」「若きルービンシュタイン」…。演奏史に偉大な足跡を残す巨匠ピアニストたちのかつての姿に重ねて、その名演を称えられているヴィクトール・ゴールドベルク。ロシア生まれのイスラエル人で、ジュリアード音楽院など名門で研鑽を積み、カーネギーホールをはじめ世界中の檜舞台への出演やオーケストラとの共演を重ねる一方、ウィーン音楽院などでマスタークラスを担当するなど、後進の指導にも力を注ぐ。さらに、ユダヤ人としての自らのルーツにも真摯に向き合い、チャリティー活動にも尽力。今回“最後のレジェンド”の真価ヴィクトール・ゴールドベルク(ピアノ)の来日リサイタルでは、ムソルグスキー「展覧会の絵」やスクリャービンのソナタ第5番、ショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」から第24番、チャイコフスキー「四季」からの抜粋と、ロシアの作品を特集する。その卓越した抒情性と熱意、作品への洞察力の深さで聴衆を魅了し、“最後のレジェンド”と絶賛されるゴールトベルク。ぜひとも、その真価を自分の耳で確かめたい。文:笹田和人★5月30日(金)・大阪/ザ・フェニックスホール(06-6363-7999)、6月4日(水)・トッパンホール(プロアルテムジケ03-3943-6677) ●発売中マークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 東京オペラシティの『B→C』は、楽器の魅力を深く楽しみたい人には実に美味しい公演だ。まして今度は「聴くだけでホルン史が体感できる」のだから食指をそそられる。主役の大野雄太は、山形大から東京芸大の別科&大学院を経て新日本フィル入団後、日本音楽コンクール、日本ホルン・コンクールで第1位を獲得し、現在東京交響楽団の首席奏者を務める実力者。 クラシカル・プレイヤーズ東京のナチュラルホルン奏者でもある大野らしく、今回は4種類の楽器で演奏する。コルノ・ダ・カッチャ(狩猟ホルン)で聴ホルンの過去と未来をタイム・トラベル!東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 大野雄太(ホルン)かせるバッハも興味深いし、史上初のバルブ・ホルン用作品であることが近年判明したシュンケの曲は、おそらく日本初演ゆえに必聴。他に大野が委嘱し、ナチュラルホルンも加わる佐々木良純作品や、斬新な音とテクニカルな面白さ満載の20世紀作品など、「温故知新の視点も絡め、ホルンの過去と未来を照らしたい」との意気込みがうかがえるプログラム。作曲家たちが楽器の可能性に挑んだ多様な変遷、そして奥深く心地よい音色の変化をぜひ体験したい。文:柴田克彦★6月24日(火)・東京オペラシティ リサイタルホール ●発売中問 東京オペラシティチケットセンター  03-5353-9999http://www.operacity.jp 合唱指揮者・八尋和美の指揮活動50年を記念するコンサートが、東京混声合唱団(東混)の特別演奏会として開かれる。八尋は1956年の東混創立メンバーの一人。歌手として、コンサートマスターとして、やがて指揮者として、2002年に退団するまで同団の活動を支えた。曲目は、前半が、ルネサンスからバロックを経て、メンデルスゾーンに至る宗教曲の流れ。そして後半は、20世紀の日本の合唱音楽の金字塔のひとつで、東混の十八番で50年間の粋を聴く八尋和美 指揮活動50年記念 東京混成合唱団特別演奏会ある柴田南雄のシアターピース《追分節考》(尺八:関一郎)。最後は若林千春編曲(&ピアノ)による愛唱歌集。グレゴリオ聖歌から「だんご3兄弟」まで(!)、ヴァリエーションに富んだ、合唱ファンならずとも楽しめる選曲は、東混だけでなく、アマチュアの合唱活動の発展にも尽力してきた八尋の50年を記念するのに、まさにふさわしいといえるだろう。長い時をともに過ごした両者でしか鳴り得ない特別な響きが、必ずあるはずだ。文:宮本 明★7月25日(金)・渋谷区文化総合センター大和田さくらホール ●発売中問 東京混成合唱団事務局03-3226-9755 http://toukon1956.com八尋和美

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です