eぶらあぼ 2014.6月号
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50 知的かつ温かな血の通った音楽性で、世界中の聴衆を魅了し続けている現代フランスを代表する名ピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダ。2005年にNHKで放映された『スーパーピアノレッスン』では、深い洞察力に満ちたショパン解釈の神髄を伝授すると共に、映画や芝居を愛する才人としての一面やウィットに富んだ人柄も滲ませた。そんな名匠が、今秋も日本の音楽ファンの前に降臨し、滋味あふれる秀演を披露する。東京でのリサイタルでは、ショパンが結核に侵されながらも、壮大で重多層的な音楽世界のエッセンスジャン=マルク・ルイサダ(ピアノ)厚な楽想で新境地を拓いたソナタ第3番と、やはり同時期に書かれ、彼の数あるマズルカでも特に佳品とされるop.59(第36〜38番)を軸に。ここへ、シューマンが妻クララへの愛情を込めた「フモレスケ」と、哀悼の感情を強く感じさせるハイドンの「アンダンテと変奏曲」を添えた。ルイサダの多層的な音楽世界のエッセンスとも言えるプログラム。じっくりと耳を傾けたい。文:寺西 肇★11月24日(月・祝)・紀尾井ホール ●発売中 問 アイエムシーミュージック03-3401-9760 http://www.imc-music.net第1回 ロベルタ・マメリ&ラ・ヴェネクシアーナ★10月16日(木) 第2回 ル・ポエム・アルモニーク★11月13日(木) 第3回 アマンディーヌ・ベイエ&アンサンブル・リ・インコーニティ★11月26日(水)●5月31日(土)発売 問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jpマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 難しい理屈は抜きにして、とにかく聴いてみてほしい。そうすれば、心の琴線に触れる至福の時間がお約束できよう。王子ホールが放つ、瑞々しいライヴ感あふれるバロック音楽の新しいコンサート・シリーズ『バロック・ライヴ劇場』。それぞれバロック演奏の最前線を切り取ったような3つのステージは、いずれもエキサイティングで個性的な音楽の歓びに満たされている。 シリーズの幕開けを告げるのは、ローマ出身の歌姫ロベルタ・マメリ。圧倒的な存在感を誇る美しきソプラノは、今やイタリアのみならず、ヨーロッパ古楽界に旋風を巻き起こす。名カウンターテナーとしても知られる、チェンバロのクラウディオ・カヴィーナ率いる精鋭アンサンブル「ラ・ヴェネクシアーナ」と共演するステージ。モンテヴェルディが求愛や失恋などの思いを綴ったマドリガーレを軸として、《オルフェーオ》など彼のオペラ作品の名旋律、さらに同時代の器楽曲も交えてたっぷりと披露し、まるでゴンドラに揺られていバロックの歓びに満たされる3夜王子ホール バロック・ライヴ劇場 第1回〜第3回るかのような愉悦を与えてくれる。 そして、卓越した演奏技巧のみならず、演劇の要素も採り入れたスタイリッシュなステージ創りで知られる、フランス古楽界が生んだ器楽と声楽の達人集団「ル・ポエム・アルモニーク」が、第2回公演に登場する。過去2回の来日では、ブルボン王朝の宮廷やヴェネツィアの街角への時空を超えた旅へと、聴衆をいざなった彼ら。今回は「ルソン・ド・テネブル(聖週間のための朝課)」と題して、シャルパンティエ「第7瞑想〜第9瞑想」など清澄な宗教作品を奏で、“復活祭を間近に控えたルイ14世時代のフランスの小さな修道院”へと私たちを招待してくれる。 さらに、第3回公演には、“新世代のバロック・ヴァイオリニスト”として、ヨーロッパ古楽界の耳目を集めているアマンディーヌ・ベイエが登場。フランス出身で、パリ高等音楽院やスイスのバーゼル・スコラ・カントルムに学び、ボンポルティ国際コンクールなどで入賞を重ねており、4年前に先駆者キアラ・バンキーニの後任としてバーゼル・スコラ・カントルムのバロック・ヴァイオリン科教授に就任したことも話題になった。注目の初来日ステージには、2006年に彼女が設立したアンサンブル「アンサンブル・リ・インコーニティ」を帯同。Zig-Zagレーベルからのアルバムが大きな反響を呼んだ「四季」全曲をはじめ、チェロ協奏曲イ短調(RV420)やヴァイオリンと鍵盤楽器のための協奏曲ハ長調(RV808)など、ヴィヴァルディの緻密な音楽世界を特集する。文:寺西 肇左から:/ロベルタ・マメリⒸRibalta Luce Studio/ル・ポエム・アルモニークⒸGuy Vivien/アマンディーヌ・ベイエⒸOscar Vazquez
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