eぶらあぼ 2014.5月号
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61★7月14日(月)・ヤマハホール ●発売中問 1002(イチマルマルニ)03-3264-0244 http://www.1002.co.jp 池村京子、佐野隆哉、島田彩乃、橘高昌男、宮崎明香。パリ留学をともに過ごした若さあふれるピアニスト仲間が、昨年に続いて7月14日の「パリ祭」(フランス革命記念日)にコンサートを開く。宮崎 「全員が一緒にパリにいたのは2005〜06年です」佐野 「でも、パリでこの5人だけで集まったことはなかった」池村 「帰国後に私の家に5人が集まり、飲み会をやったときに、その場で全員で企画書を書きました」 コンサートの目玉の一つが、5人全員で弾く2台10手のラヴェル『ボレロ』(加藤真一郎編曲)。これは視覚的にもインパクトがある演奏になること必至。宮崎 「新鮮な『ボレロ』になるのではないかと。大胆な編曲で、とお願いしているので」佐野 「2人と3人に分かれるので、6手連弾とか、今後の色々な編成のバリエーションにもつながるかなという狙いもあります。第10回記念は大ホールで5台ピアノが野望です!」 以下は5人それぞれの演奏曲とコメント。佐野 ストラヴィンスキー(アゴスティ編):「火の鳥」 「ストラヴィンスキー初挑戦。メロディックな要素も多くて聴きやすいし、ピアノで聴く機会も少ない作品ですので、ぜひ楽しんでください」宮崎 メシアン:「鳥のカタログ」より、「4つのリズム・エチュード」より〈火の島〉 「〈火の島〉はパプア・ニューギニアに捧げられた、原色カラーの、強烈なリズムの、理屈抜きに楽しめる作品です。これを聴いて、いい夏を迎えてください」島田 ドビュッシー:「前奏曲集」より〈花火〉他 「パリ祭ということもあり、全員の選曲が、とにかく楽しんでいただけるように意図しています。ドビュッシーの〈花火〉は、まさにパリ祭の花火からインスピレーションを得た作品です」池村 ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 「ショパンもサロンのための音楽ですし、5人が交代で弾くフォーレの連弾曲『ドリー』も、身近な人たちのために弾いた、一体感を感じられる音楽です。ホールの規模にも合っていると思うので、ぜひお客さまにも一体になって聴いていただきたいですね」橘高 ファリャ:ファンタジア・ベティカ 「ファリャは、去年弾いたフォーレとはまったく気質の違う、リズムとパッションの音楽ですので、演奏でも、去年とはまったく違う部分の自分を見せたいなと思っています」 今後は東京だけでなく、地方での公演も考えているという。今回の取材では、話はパリでの食生活などにも及び、みんなうらやましいぐらいに楽しそう。その華やぎを、コンサートでぜひ!取材・文:宮本 明パリ祭はピアノ三昧!池村京子/佐野隆哉/島田彩乃/橘きつたか高昌男/宮崎明はるか香パリ5人組〜パリ祭に贈る5人組の競演〜インタビュー 桐朋学園大学卒業後1994年からハンガリーのリスト音楽院で学び、帰国後も意欲的な演奏活動を続ける干野宜大。湧き出す感性に従うかのような、迷いのない自由な表現が強い印象に残る、実力派ピアニストだ。 そんな彼が、ベートーヴェンのソナタ「悲愴」、「月光」と幻想曲、そしてショパンのバラード全4曲という、名作ばかりを取り上げるリサイタルを行う。しかもこの日に使用するピアノは、ホロヴィッツが愛奏した1912年製のスタインウェイCD75。干野は幼少期にこのピアノによるホロヴィッツホロヴィッツが“恋した”銘器とともに干ほし野の宜たかひろ大(ピアノ)の演奏を聴いて感動し、以来、理想の響きとはこの楽器の音色だと思い続けてきたのだという。縁あって2012年に同ピアノでのリサイタルを果たし、今回はそんな思い入れある楽器との“再共演”となる。 楽器の表現力が最大限に活かされる、ピアノレパートリーの中でも輝かしい存在感を放つ作品を集めたプログラム。かつて“名匠が恋した”ピアノとともに、どんな音楽が生み出されるだろうか。文:高坂はる香★4月29日(火・祝)・東京文化会館(小) ●発売中問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp池村京子島田彩乃ⒸAkira Muto佐野隆哉ⒸAKIHIKO KONDO橘高昌男ⒸEiji INA宮崎明香
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