eぶらあぼ 2014.5月号
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60★5月30日(金)、31日(土)、6月1日(日)・池袋/あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) ●発売中問 K Productions 042-422-0373 http://kproductions.co.jpマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 演劇的な要素の強いオペラを、映像も交えた演出によって劇場空間で上演する――そんな企画が新たにスタートする。第1弾は日本初演の《クラップ〜最後のテープ》。不条理劇の代名詞的存在『ゴドーを待ちながら』などで知られる、劇作家サミュエル・ベケットの戯曲をオペラ化したものだ。 作曲は、ベケットが書いたラジオドラマ『カスカンド』の音楽を手がけ、ベケット本人とも親交があったマルセル・ミハロヴィチ。1958年に発表された同名の戯曲を1幕ものの室内オペラに仕上げ、61年にパリで初演されている。 気になる内容は、69歳の誕生日を迎えたクラップ老人が、毎年恒例の1年を振り返る独白の録音準備をしながら30年前の録音テープを聞くと、39歳の自分がその10年ほど前のテープを聞いた感想を語っていて……というもの。そう、本作品はモノオペラなのだ。とはいえ、そこはベケットの戯曲をオペラ化しようなんて考えた作曲家。“オペラ”になったベケットの世界サミュエル・ベケット戯曲オペラ 《クラップ〜最後のテープ》 日本初演生の歌声とオーケストラに、テープに録音された声や音楽を組み合わせるというユニークな方法で、その世界観を大胆に表現している。 そんな実験的作品のクラップ役と演出を務めるのは、劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』のファントム役など、役者としても活動しているバリトンの大山大輔。さて、若き日から現在までのクラップをどう歌って演じ分け、どう演出して魅せるのか? 少数精鋭で挑む意欲作に乞うご期待!文:岡﨑 香クラップに扮する大山大輔ⒸA.Groeschel 本拠地・北陸の地に深く根をおろしながらも、しなやかな音楽創りによって、今や全国の音楽ファンの耳目を一身に集めているオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)。6月の定期演奏会には、2人の個性的な指揮者が登場し、まさに“一筋縄ではいかない”OEKの魅力を存分に発揮する。 まずは、2011年にOEKの定期に初登場以来、真摯な音楽創りで聴く者に感銘を与えている若き名匠、アレクサンダー・リープライヒが再び登場。ベートーヴェンの全交響曲シリーズ第4弾として、今回は第2番と第3番「英雄」を。さらに、スイス出身の現代作曲家ベルンハルト・イェストル編曲によるバッハのコラール前奏曲「キリエ、精霊なる神よ」を添える。ヨーロッパはもとより、アジアにも活動の幅を広げているリープライヒ。北朝鮮にも客演し、音楽の力がイデオロギーの違いすら超越すると立証した彼だけに、今回も名演が期待できそう。“一筋縄ではいかない”オーケストラの魅力オーケストラ・アンサンブル金沢 第350回・第351回定期演奏会 そして、バロックヴァイオリンの鬼才、エンリコ・オノフリも、再びOEKの指揮台へと降臨。初共演となった昨春の定期では、弾き振りを交えつつ、鮮やかな色彩感のバッハやヴィヴァルディを披露し、聴衆を沸かせた。今回はハイドンの交響曲第100番「軍隊」を軸として、ヴィヴァルディの曲集「調和の霊感」や「ラ・ストラヴァガンツァ」からセレクトした名協奏曲や、ソプラノの森麻季を迎えてのヴィヴァルディのモテット、モーツァルトのコンサート・アリアなど、盛り沢山のプログラムに、鬼才のホスピタリティが滲む。文:寺西 肇第350回定期公演 マイスター・シリーズ ★6月7日(土)第351回定期公演 フィルハーモニー・シリーズ ★6月12日(木)会場:石川県立音楽堂コンサートホール ●発売中問 石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632http://www.orchestra-ensemble-kanazawa.jp/アレクサンダー・リープライヒⒸErwin Olafエンリコ・オノフリ森 麻季ⒸYuji Hori

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