eぶらあぼ 2014.5月号
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58チェロ・リサイタル・シリーズ Vol.Ⅶ「フレンチ・コネクション」★5月23日(金)・紀尾井ホール●発売中問 コンサートイマジン03-3235-3777http://www.concert.co.jp【CD】『Con Anima〜魂をそえて』HERB ClassicsHERB-019 ¥3000+税 スケールの大きな音楽創りとしなやかな感性、人間性が滲む美音を武器に、国内外で精力的な活動を続けるフランスとベルギーの煌めきの違いを描く水谷川優子(チェロ)チェロの水谷川優子。桐朋学園大学を経て、ザルツブルクやローマで学び、東京国際室内楽コンクールをはじめ、数々の受賞に輝いた。ソロから室内楽まで幅広いステージ活動をする一方、少年院などへ訪問演奏に赴くなど、社会貢献にも力を注ぐ。 今年リリースした、時代や国に捉われない自在な選曲から楽器の魅力を追求した新アルバム『Con Anima〜魂をそえて』も好評だ。バッハの無伴奏組曲第1番を冒頭に置き、ピアノの小柳美奈子をパートナーに、ガーシュイン、黛敏郎、グラズノフ、ムソルグスキー、ブルッフと多彩な楽曲を弾き分け、チェロの表現の奥深さを印象付ける。 そんな水谷川が『フレンチ・コネクション』と題したリサイタルを開く。ピアノの山本貴志と共にフランスとベルギーの作品を取り上げ、一見似ているようで実は大きく異なる、2つの国の陰影の違いを鮮やかに描き出す。まずはチェロの魅力と名技が盛り込まれたドビュッシー、独特のエスプリを内包するプーランクと、2つの名ソナタを。そして、大バッハの組曲に霊感を得たイザイの無伴奏ソナタ、ヴァイオリン作品から編曲されたフランクのソナタを弾く。「フランス語圏の文化には、誰もが心惹かれる。けれど、2つの国の魅力は、明らかに異質な煌めきを放っている」と水谷川。「両国の音楽は、その色彩と陰影、韻律で私を虜にする」と語る。文:笹田和人Photo:Josep Molina★5月17日(土)・渋谷区文化総合センター大和田さくらホール ●発売中問 樂画会チケットデスク  03-3498-2508http://gakugakai.com 『シネマ&リサイタル』は、映画史に残る名画を楽しんだ後、関連する楽曲を名手による生演奏で味わえる、映画好きなクラシック音楽ファンにはたまらない贅沢なプログラム。今回は、若きショパンの生きざまを描いた往年のドイツ映画『別れの曲』(ゲツァ・フォン・ボルヴァリー監督)を鑑賞し、国際的に活躍するピアニスト近藤嘉宏の演奏で、エチュード第3番「別れの曲」などの名曲を聴く。ショパン生誕200年の2010年に催された、大好評企画のアンコール公演でもある。 映画『別れの曲』は、1934年の制作。後に監督として、音楽映画を代表する佳品『菩提樹』(1957年)を残すヴォルフガング・リーベンアイナーが、主役のショパンを演じ、初恋の女性コンスタンティアとの悲恋を縦糸、ジョルジュ・サンドやリストらとの交流を横糸に、“ピアノの詩人”の青春を鮮烈に紡ぎ上げてゆく。劇中では数々の楽曲が散りばめられているが、大ヒットとなった映画とライヴで愉しむショパンの世界『別れの曲』シネマ&リサイタル 近藤嘉宏 plays ショパン戦前の日本では、特に「エチュード第3番」が「別れの曲」として広く知られるきっかけを作った。 上映の後には、近藤が登場。名器ベヒシュタインを駆り、「別れの曲」のエチュードはもちろん、ワルツ第3番「華麗なる円舞曲」や「子犬のワルツ」として知られる第6番、幻想即興曲、スケルツォ第3番、ソナタ第3番と珠玉の佳品を披露する。近藤と言えば、その高い音楽性や演奏技巧のみならず、甘い容姿でも人気のピアノの貴公子。まるで映画に登場したショパンが、目の前で弾いているかのような錯覚に捉われるかも知れない。文:笹田和人近藤嘉宏映画『別れの曲』より

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