eぶらあぼ 2014.5月号
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52★6月10日(火)・杉並公会堂 ●発売中問 杉並公会堂03-5347-4450 http://www.suginamikoukaidou.com他公演 5/31(土)・栃木県総合文化センター(028-643-1013)、6/1(日)・宮城/東北大学百周年記念会館川内萩ホール(河北チケットセンター022-211-1189)、6/3(火)・北海道/七飯町文化センターパイオニアホール(0138-66-2066)、6/8(日)・松江市総合文化センタープラバホール(0852-27-6000)、6/12(木)・川口リリアホール(048-254-9900)、6/14(土)・富士市文化会館ロゼシアター(0545-60-2500)、6/15(日)・岐阜/サラマンカホール(058-277-1110)★6月7日(土)・上野学園石橋メモリアルホール ●発売中問 チパンゴ・コンソート  080-3087-1805http://homepage3.nifty.com/enricoonofri【CD】『アルカンジェロ・コレッリ:ヴァイオリンと、ヴィオローネまたはチェンバロのためのソナタop.5 Vol.1』Anchor Records UZCL-1027¥2667+税 4月23日(水)発売 彼がステージに登場してヴァイオリンを構えると何かが起こる…。まるでミステリー映画のようなキャッチフレーズを献呈したくなるほど、コンサートでは新鮮な(ときに斬新な)演奏を聴かせてくれるのがエンリコ・オノフリだ。古楽のリスナーにとってはすでにおなじまさにバロック音楽の“饗宴”エンリコ・オノフリ (バロック・ヴァイオリン)みの名前だろうが、彼のバロック・ヴァイオリン演奏は当然ながら豊かで深い知識に支えられつつ、「バロック音楽ってロックみたいだ」と思う人がいてもおかしくないほどの生き生きとしたオーラを振りまく。 毎年のように行われている来日公演も1回1回が驚きに満ちており、古楽ビギナーにこそ聴いて欲しい魅力が満載。“オノフリ伝説の地”となりつつある上野学園石橋メモリアルホールでのコンサートは、ヴィヴァルディ、テレマン、F.クープラン、コレッリ、J.S.バッハほか“バロック・オールスターズ”的な作曲家が並ぶ(だからこそ、古楽ビギナーにもおすすめ)。優雅なF.クープランで幕を開けるコンサートは、ヴィヴァルディの「ラ・フォリア」やコレッリのソナタ(作品5よりの2曲)、壮絶な演奏になりそうなオノフリ編曲によるJ.S.バッハの有名な「トッカータとフーガ ニ短調」(ヴァイオリン・ソロ版)などが続く。ルクレールの没後250年、C.P.E.バッハの生誕300年も忘れておらず、まさにベスト・ラインナップなのだ。共演は杉田せつ子(バロック・ヴァイオリン)と桒形(くわがた)亜樹子(チェンバロ/オルガン)。 4月23日にはコレッリのソナタ集のCD(Anchor Records)もリリース。春から初夏の“オノフリ劇場”が開幕だ。文:オヤマダアツシ 名だたるオーケストラとの共演や、フランチェスコ・トリスターノをはじめとする気鋭の演奏家とのクリエイティブな演奏活動を重ね、世界の聴衆を虜にするアリス=紗良・オット。彼女のピアノの大きな魅力は、その瞬間に音楽が湧き出すような自由さにあるだろう。大海原を泳ぐような伸びやかさと躍動感。華奢な肢体から繰り出される力強く情熱的な音楽は、視覚的に受けるギャップとともに強烈なインパクトを残す。 今回のリサイタルで用意されたプログラムは、バロックからロマン派に至るピアノレパートリーの人気作品で、彼女のピアニスティックな表現力をすみずみまで確かめられる。 まず楽しみなのは、ベートーヴェンの「テンペスト」。卓越したリズム感覚を活かし、作品の新たな表情を見せるベートーヴェン。作曲家の自由な精神への共感が滲み出るような演奏に期待したい。そしてバッハ「幻想曲とフーガイ短調BWV.904」から、バッハ=ブゾー作曲家の精神への共感が滲み出るアリス=紗良・オット (ピアノ)ニ「シャコンヌ」へと続け、凛々しく潔い打鍵でまた一味違った音色を届ける。 後半冒頭にリスト「愛の夢」でやわらかな情感を示した後は、「パガニーニ大練習曲」を演奏する。彼女はこれまでにもたびたびリストの超絶技巧作品を取り上げているが、その演奏はいつでも、じっくりと作品の内面に向き合う、音楽への愛情に満ちたもの。リストが、当代随一の女性ピアニスト、シューマンと結婚する前のクララ・ヴィークに献呈したこの作品を、アリスはどのような表現で聴かせてくれるのだろうか。文:高坂はる香ⒸEsther Haase/DG

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