eぶらあぼ 2014.5月号
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35第8回 読響メトロポリタン・シリーズ ★5月30日(金)・東京芸術劇場 ●発売中第72回 みなとみらいホリデー名曲シリーズ ★5月31日(土)・横浜みなとみらいホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp 旧東独の名匠クルト・ザンデルリンクは読響の指揮台にもたびたび登場し、名誉指揮者として大きな足跡を残した。その息子たちのうち上の2人はすでに指揮者として活躍しているが、三男のミヒャエルは早くからゲヴァントハウス管などで要職を務めるチェリストとして名高かった。2000年代に入り、一足遅れて指揮活動を始めるとめきめきと頭角を現し、2011/12シーズンからはドレスデン・フィルの首席指揮者として活躍している。昨年の両者の来日公演を聴かれた方も多いだろうが、今回は日本の楽団、それも父が活躍した読響への初登場だ。 東欧から東独圏にかけての、地域色を打ち出したプログラミング、キャスティングが興味深い。ルーマニアの民謡をもとにしたバルトークの「トランシルヴァニア舞曲」は、エスニックな味わいの前菜だ。次のブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」でソロを弾くカトリン・ショルツも旧東独圏出身、ミヒャ若きサラブレッドが聴かせる伝統のサウンドミヒャエル・ザンデルリンク(指揮) 読売日本交響楽団エルが学んだベルリン・ハンス・アイスラー音大を修了している。そこでの彼女の師ヴェルナー・ショルツは、ドレスデン・フィルの元コンマスだ。カトリンも楽譜を誠実に伝える正攻法をその基本スタイルとしているが、キャスティングに隠されたこうしたつながりは、ドイツ音楽の伝統を今に伝える地下水脈として、演奏にも滲み出てくるだろう。 メインはブラームスの「交響曲第2番」。やはり父クルトの得意とした作曲家だが、この指揮者界の若きサラブレッドは、重厚な渋みで聴き手をうならせる東独の伝統を踏まえつつも、新鮮で柔軟な演奏を聴かせてくれるだろう。文:江藤光紀ミヒャエル・ザンデルリンク ⒸMarco Borggreveカトリン・ショルツⒸClive Barda 1978年にチャイコフスキー国際コンクールで優勝して以降、天才肌のピアニストとして国際的に活躍してきたミハイル・プレトニョフ。その活動が早くから作曲や指揮にまで広がっていたこともよく知られている。ロシア・ナショナル管を自ら創立し、瞬く間に世界的なレヴェルに鍛え上げた手腕も恐るべきものがある。 だが、だからこそ、プレトニョフが2006年にピアニストの活動を止めて指揮に注力すると発表したときには、残念な思いを抱いたファンも少なくなかっただろう。指揮者としても、彼は底知れぬ深みを感じさせる独特な解釈で楽曲を掘り下げてくれる。それはそれで素晴らしい。しかしピアノではそれが自らの指先で紡ぎだされ、ダイレクトに立ち上がってくる。解釈を味わうという点では、これに勝るものはない。 そのプレトニョフが久々に鍵盤の前に帰ってくる。きっかけを作ったのはカワイのピアノとの出会いだったとい鬼才のピアニズム復活!ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)うから驚きだ。厳しい理想ゆえに一度はあきらめたピアノの道を、プレトニョフはカワイの楽器の中に発見したというのである。 新たな章の始まりを告げる今回のツアーの東京オペラシティ公演では、協奏曲とリサイタルの2夜が予定され、ファンの渇望を癒してくれる。協奏曲の夕べ(現田茂夫指揮東京フィル)ではモーツァルト(第8番)、シューマンを弾く。リサイタルにはバッハ(イギリス組曲、番号未定)、シューベルト(ソナタ第4番・第13番)、そしてプレトニョフの芸術と相性のよさそうなスクリャービン(24の前奏曲)が選ばれている。知的でありながら、聴き手の胸にずしりとした重みを残すあのピアニズムに再会できる日がやってくる!文:江藤光紀協奏曲の夕べ ★5月27日(火) リサイタル ★5月29日(木)会場:東京オペラシティコンサートホール ●発売中問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp他公演 5/23(金)・浜離宮朝日ホール(朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990)、5/28(水)・兵庫県立芸術文化センター(芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255)ⒸKASSKARA/DG

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