eぶらあぼ 2014.5月号
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342014 MAYマークのある公演は「eぶらあぼ」からチケットを購入できます。*取り扱い枚数が終了した場合、販売はございません。*公演日が近づきますと、販売が終了している場合がございます。ご了承ください。*一部購入できない公演、チケット券種がございます。★6月5日(木)・すみだトリフォニーホール●発売中問 パシフィック・コンサート・マネジメント 03-3552-3831http://www.pacific-concert.co.jp他公演(ピアノ・ソロ) ★5/28(水)・福岡シンフォニーホール(エクローグ音楽事務所0940-42-8747)、5/30(金)・山口市民会館(山口市文化振興財団083-920-6111)、5/31(土)・松山市民会館(eatインフォメーション089-946-2888)、6/7(土)・広島/上野学園ホール(HOMEイベントセンター082-221-7116)、6/10(火)・横浜みなとみらいホール(神奈川芸術協会045-453-5080)、6/12(木)・名古屋/宗次ホール(宗次ホール052-265-1718)、6/14(土)・茨城/坂東市民音楽ホール(坂東市文化振興事業団0297-36-1100) 伝統あるウィーン・ピアニズムの継承者であり、格調高い音楽創りで聴衆を魅了する巨匠、パウル・バドゥラ=スコダ。世界の演奏史の一部を体現する存在である一方、わが国の演奏史にも深く関わってきた。そんなスコダが初来日から54年、遂にピリオドを打つことを決意。 「これが共に音楽の美しさを楽しむ最後の機会になるのは、とても悲しい」としながらも「皆さんのために演奏できることは、私にとって大きな喜び」と力を込める。 「一生懸命に聴いて下さり、すべてのアーティストにフレンドリーで、音楽が持つメッセージや意味をしっかりと受け止めてくれます。昔は、『ブラボー!』と叫ぶのも許されない雰囲気でしたが、近年では、その気持ちを臆せずに表現してくれるようになりましたね」と日本の聴衆を語るスコダ。さらに、日本人の宗教観をはじめ文化から、多大な影響を受けたことも明かす。 「豊かな自然、日本庭園、京都や奈良という都市の湛える奇跡的な美しさ、俳句、周囲の人々への様々な形での配慮、生活のあらゆる場面における美への追求…これらのすべてが、私の個性に深く根を下ろしています。もちろん、作曲家の意思に基づく演奏では、直接的な影響はありません。ただ、演奏に臨むための瞑想への興味は、以前よりも深まりました」 人生の中で最も幸福な瞬間に、1970年7月、作曲者フランク・マルタンの前で協奏曲第2番を披露した時を挙げる。 「マルタンから『君から幸福を与えられた』と伝えられたのです」。そして、「人々が人生で求める幸福。それは、『正しいことが出来た!』と感じた時にやって来る。私にとっては、作曲家の意図を理解し、実践できた時。そして、作品のメッセージを聴衆にお伝えできた時も、また別の幸福を感じます」 早くからフォルテピアノでの演奏に取り組む一方、常に軸足はモダン・ピアノに置いた。 「モダン・ピアノは、私にも皆さんにも、普遍的な楽器。かたや、フォルテピアノは“田舎で過ごす休日”みたいで、小さなホールに適します。大きなホールにおいては、大きな駅にいる孤独な犬のように、弱々しい音しか出ず、音楽を届けられなくなってしまう」 「前半はシリアスで悲劇的な曲、後半は明瞭で喜びに溢れる曲を選曲するなど、曲間のバランスとハーモニーを探った」という、最後の来日ステージ。 すみだトリフォニーホール公演では、まず、前半でモーツァルトの幻想曲ニ短調とハイドンのソナタハ短調、シューベルトの即興曲D899を。後半では東京交響楽団と共演し、モーツァルト最後のピアノ協奏曲第27番を弾き振りする。その他の地方公演ではハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの名ソナタ集や、ショパンとシューベルト最後のソナタ第21番との組み合わせなど、いずれも深いメッセージ性を湛える。 「私にとって音楽とは、“愛しい人”です。もし可能ならば、バッハの『ゴルトベルク変奏曲』を勉強し、演奏してみたいですね。多くの演奏家がこの曲を弾いていますが、本当の意味で、この作品と向き合うことができている人は少ないと思います」 その夢と情熱は、尽きることがない。取材・文:寺西 肇私にとって音楽とは、“愛しい人”ですパウル・バドゥラ=スコダ(ピアノ)インタビューPhoto:Irène Zandel
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