eぶらあぼ 2014.5月号
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30 地元発の独自企画を交えながら東京とは一味違った盛りあがりを見せる「ラ・フォル・ジュルネ金沢」の今年のテーマは「プラハ・ウィーン・ブダペスト~三都物語~」。ハプスブルク家のもとで栄えた中欧の三都市に焦点を当てて、ブラームス、ドヴォルザーク、リストの作品を中心にプログラムが組まれた。 特に今年はオーケストラ陣が充実している。まずは、音楽祭のホスト役ともいえるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)。井上道義指揮のもと、注目のピアニスト、ヨーゼフ・モーグを招いたリストのピアノ協奏曲第1番(5/4)や、ドミトリー・マフチンとのブラームスのヴァイオリン協奏曲(5/6)など名曲を堪能できる。 さらに京都市交響楽団も参加、井上道義指揮によるスメタナの連作交響詩「わが祖国」抜粋(5/4)、三ツ橋敬子指揮、アレクサンドル・クニャーゼフ独奏のドヴォルザークのチェロ協奏曲(5/4)など聴きものが並ぶ。 また、アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)タタルスタン国立交響楽団は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」(5/5)他を演奏。豪快なサウンドを聴かせてくれるのではないだろうか。 金沢の聴衆にとっては、OEKの普段の公演で接する機会の限られた、シンフォニー・オーケストラ向けの編成の大きな作品をたっぷり聴くチャンスでもある。そして、これらを石川県立音楽堂のすばらしい音響で聴けることは、LFJ金沢の大きな魅力といえるだろう。室内楽や金沢オリジナル企画も充実 室内楽では、モディリアーニ弦楽四重奏団によるドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」(5/6)、成田達輝と萩原麻未によるヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタ(5/4)に名演の予感が漂う。ピアニストにもヴァネッサ・ ワーグナー、ジャン・デュベ、ルーカス・ゲニューシャスといった実力者たちの名前が並んだ。 金沢のオリジナル企画は今年も健在だ。恒例となった能舞とのコラボレーションでは、能楽師渡邊荀じゅんのすけ之助がトリオ・エトワールとリスト「オーベルマンの谷」を「共演」する(5/5)。また、ピアニストの近藤嘉宏がOEKメンバーと共演するドヴォルザークのピアノ五重奏曲(5/5)などは、金沢だけの企画であるのが惜しいほど。 多彩な公演が今年も古都金沢に熱狂をもたらす。渡邊荀之助井上道義成田達輝 ⒸMasashige Ogata萩原麻未 ⒸAkira Mutoアレクサンドル・スラドコフスキー金沢(石川)[テーマ]プラハ・ウィーン・    ブダペスト~三都物語~4/29(火・祝)~5/6(火・休) [本公演]5/4(日・祝)~5/6(火・休) 石川県立音楽堂、金沢市アートホール 他公式ウェブサイト http://lfjk.jp/

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