eぶらあぼ 2014.5月号
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168演奏者のためのはじめてのアレクサンダー・テクニークからだを使うのが楽になる 石井ゆりこ 著 ヤマハミュージックメディア ¥1,800+税ジュリアード音楽院をはじめ、海外の名門音大でも取り入れられている注目のメソッド、アレクサンダー・テクニーク初心者のための入門書。無理のないからだの使い方から楽器への応用まで、イラスト満載でわかりやすく解説。モーツァルト家のキャリア教育18世紀の教育パパ、天才音楽家を育てる 久保田慶一 著 アルテスパブリッシング ¥2,200+税モーツァルトは父レオポルトから自立した芸術家になるべく徹底的な英才教育を受けるが、その過保護に反発し、ついには真の独立を遂げる。現代のキャリア心理学からモーツァルト父子の関係を分析、芸術家にとって成功とは何かを考察する。クラシック レコードの百年史記念碑的名盤100+迷盤20 ノーマン・レブレヒト 著 猪上杉子 訳春秋社 ¥3,600+税音楽ジャーナリストとして活躍する著者が、20世紀のクラシック音楽業界のレコードというメディアの栄枯盛衰を描く。必然的に生み出された偉大なレコード100枚と、不本意な目的で迷盤となってしまったレコード20枚をそれらの歴史的な流れとともに分析する。名曲誕生時代が生んだクラシック音楽小宮正安 著 山川出版社 ¥1,800+税ルネッサンスからバロック時代、フランス革命、王政復古、民族運動、産業革命、世界大戦など各時代のヨーロッパの歴史を映し出す名曲20曲を選出、それらが誕生した時代背景や作曲家たちが受けた影響を探る。うち14曲を収録したCD付き。2〜3月の新刊から オペラ・ファンならば、この著者の名前を目にしたことがない、という人は少ないのではないだろうか。近年多くのオペラのプログラム執筆、本誌はじめ、多くの雑誌での歌手のインタビューにひっぱりだこの人である。なにしろ「コメントできるオペラの演目が1600」という驚くべきオペラ研究家なのだ(自宅には1500作品の楽譜と音源、“これから復活上演を待っている”100作品の楽譜をそろえているという)。 オペラといえばあらすじの解説など入門的な本が多いなか、それでは飽き足らないファンも多いはず。本書は、“もう一歩先の話を聴きたい”という人にはお勧めの一冊である。章立ても著者の本来の専門であるフランス・オペラの作品が軸になっているのもユニークな点だ。 名作オペラを選りすぐり、作品が生まれた時代背景、作曲家が込めた思い、劇場支配人や台本作家、歌手たちとのハードなやりとりのなか改変が重ねられていく過程、ハプニング連続の初演、激しいブーイングまたは大喝采……などなど、オペラならではの創作のドラマが、微に入り細に入り、熱く語られている。この本の情報量は確かに半端でなく、その意味でコアなオペラ・ファンも唸らせる力を持っている。しかしそれ以上に読み手を感動させるのは、作曲家や歌手に対する、著者の尋常ならざる敬愛の念。だから読み進むうちに、読み手もまた、もっとオペラを観たくなり、もっとオペラの話を聴きたくなってくる。 オペラは手ごわい。手ごわいからこそ面白い。読み終えたとき、著者のその呟きが深く納得できるに違いない。飽くなき探究から生まれた情熱のオペラ文化論BOOKSぴっくあっぷ『オペラは手ごわい』 岸 純信 著 ¥2,800+税 (株)春秋社 ☎03-3255-9611岸 純信(きし・すみのぶ) オペラ研究家1963年生まれ。音楽雑誌に寄稿しCD&DVD解説多数。NHK教育TVやFM放送にも出演。大阪大学非常勤講師(オペラ史)。新国立劇場オペラ専門委員。静岡国際オペラコンクール実行委員。アリオン賞声楽部門選考委員。

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