eぶらあぼ 2014.5月号
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153する5人の音楽家、有馬純寿(エレクトロニクス)、大石将紀(サクソフォン)、神田佳子(打楽器)、黒田亜樹(ピアノ)、橋本晋哉(テューバ)が立ち上げた団体。今回の受賞公演(2013/9/13・杉並公会堂小ホール)はその第1回演奏会にあたり、作曲家の杉山洋一をゲストに招き、杉山の選曲で組み立てられた。その内容に加え、演奏も同時代作品の演奏の一つの到達点を示したと言ってもよいほど高水準だった。◎「東方綺譚 “Nouvelles Orientales de Marguerite Yourcenar”」を主催した「アンサンブル室町」は和楽器とバロック楽器の混合編成により空間と時間を超えた芸術表現を追求する、独創的な理念に立脚したアンサンブル。今回の受賞公演(2013/10/26・津田ホール)はマルグリット・ユルスナールの小説集「東方綺譚」をテーマに日本とフランスの4人の作曲家が世界初演となる新作を発表するという、意欲的かつ筋の通った企画だった。佐治敬三賞http://www.suntory.co.jp/sfa/music/saji■第3回高松国際ピアノコンクール入賞者 決定 第3回高松国際ピアノコンクールが3月にサンポート高松で開催され、3月23日に入賞者と特別賞が発表された。結果は下記の通り。第1位 ムン・ジヨン(韓国/18歳)第2位 アンドレイ・シチコ(ベラルーシ/19歳)第3位 ノ・イエジン(韓国/27歳)第4位 アンナ・ツィブレヴァ(ロシア/23歳)第5位 リード希亜奈(日本・アメリカ/19歳)委嘱作品演奏者賞/財団法人高松観光コンベンション・ビューロー理事長賞 アンドレイ・シチコ香川県知事賞/高松市長賞/松平公益会賞 ムン・ジヨン 高松国際ピアノコンクールは2006年に第1回、2010年に第2回を開催しているコンクールで、現在は故・堤俊作氏に代わりピアニストの岩崎淑が音楽監督代行兼審査員長を務めている。本選では山下一史指揮による瀬戸フィルハーモニー交響楽団が出場者と共演した。第3回コンクールには20の国と地域から239名の応募があり、予備審査の結果、第1次審査には33名が出場した。 第1位のムン・ジヨンは韓国芸術総合学校に在籍中で、2012年にドイツのエトリンゲン青少年国際ピアノコンクールでも第1位を獲得している。本選ではベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏した。第2位のアンドレイ・シチコはベラルーシ国立音楽院に在籍中で、本選ではチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を披露。第3位のノ・イエジンは、ソウル大学校の博士課程に在籍中で、本選ではシチコと同じくチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏した。高松国際ピアノコンクールhttp://www.tipc.jp■「第2回スタインウェイ・コンクール in  Japan 〜本選〜」が開催される 75年前にハンブルクでスタートし、16歳以下の子どもを対象にヨーロッパ各地で開催されてきたスタインウェイ・コンクール。このコンクールの過去の優勝者には、クリストフ・エッシェンバッハやマルティン・ヘルムヒェン、小菅優、アリス=紗良・オット等が名を連ねている。去る3月30日、日本では2度目の開催となる「スタインウェイ・コンクール in Japan」の本選が、東京の王子ホールで行われた。本選では4つの年齢カテゴリーごとに第1位〜第3位の入賞者が選ばれ、会場のリスナーによって「聴衆賞」も選ばれた。全入賞者中の総合優勝にあたる「大賞」を受賞したのは、カテゴリーD第1位(併せて聴衆賞)の波田紗也歌。大賞受賞者は、今年9月にハンブルクで開催されるインターナショナル・スタインウェイ・フェスティバルに招待され、各国の代表者とともに過ごし、ガラ・コンサートで演奏する機会が与えられる。 同コンクールは課題曲がなく、奏者自らが選曲することが特徴。そのため、ひとつの尺度では測りにくくなるものの、結果としては、自分に合った曲を選んで表現し、無理なくピアノを鳴らしていた人が第1位になったとのこと。また、どのカテゴリーも審査結果は僅差で、「受賞しなかった人もがっかりする必要はなく、これからの音楽人生を楽しんでほしい」との講評があった。スタインウェイ・コンクールhttp://www.steinway.co.jp/competition/2013第1位のムン・ジヨン©BANAZO第2回本選参加者

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