eぶらあぼ2014.4月号
60/199

57★5月16日(金)・津田ホール ●発売中問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jp仙台フィルハーモニー管弦楽団パスカル・ヴェロ(指揮) 第283回定期演奏会★6月13日(金)、14日(土)第286回定期演奏会★10月24日(金)、25日(土)山田和樹(指揮)第282回定期演奏会★5月16日(金)、17日(土)会場:日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)問 仙台フィルサービス022-225-3934https://www.sendaiphil.jp 杜の都・仙台で活動する仙台フィルハーモニー管弦楽団。常任指揮者パスカル・ヴェロの情熱的な指揮、意欲的なプログラミングで注目されて来た。2014年の定期演奏会ラインナップも多彩な内容で、クラシックの名曲の数々を楽しめるように構成されている。06年4月から常任指揮者を務めているヴェロに、今シーズンの聴きどころを聞いた。 「仙台フィルは2013年3月にロシア公演で大きな成功を収めました。その時に訪ねたモスクワとサンクトペテルブルクで、私はショスタコーヴィチの第5番とプロコフィエフの第5番を定期演奏会のプログラムに加え、その作品と向き合うことを決めたのです。どちらも革命と戦争の時代に深く関わりのある作品で、偉大な作曲家が直面した革命と戦争という大きな困難、そのインパクトを描きたいと思ったのです」 6月の第283回定期演奏会でショスタコーヴィチの交響曲第5番、10月の第286回定期演奏会でプロコフィエフの交響曲第5番がヴェロのタクトで演奏される。 「ロシア・ツアーでの体験は1冊の本が書けるほどです! 気候の違い、時差、過密な日程の中で、自分たちのベストの演奏をすることで、自分たちの力が及ぶ範囲と相互の理解について確認し、それを補強することが出来ました。東日本大震災の被災地からのいわば『伝道者』としてメッセージを抱えて訪問し、演奏を通じて大きなエネルギー、確かな未来、そして団結の必要性を、感謝と共に伝える事が出来たことも特筆すべきでしょう」 6月に演奏されるショスタコーヴィチの交響曲は、そこに込められた作曲家の想いについて、いまでも様々な議論がなされている。 「ショスタコーヴィチが作品の中で何を示そうとしたか、それはまさにミステリーです。ショスタコーヴィチの交響曲第5番は、特に人間らしい魂に深く根ざしています。この作品は当時の政治体制の、労働者たちの、そして共産主義と大衆のための芸術の栄光を意識しながら、一方では正反対のもの〜自由の探求、集団心理の恐ろしさへの批判、抵抗の精神などの見解も提示していると考える事もできます。こうした解釈の可能性を、ショスタコーヴィチに直接会った事のある指揮者クルト・ザンデルリンクから、私は教えられました」 2014年シーズン幕開けを告げる5月の定期演奏会にはミュージック・パートナーの山田和樹が登場し、マーラーの交響曲第4番などを振る。充実のシーズンを迎える仙台フィルに期待したい。取材・文:片桐卓也ロシア・ツアーでの体験は一冊の本になるほどです!パスカル・ヴェロ(指揮)インタビュー 東京芸大と同大学院を経て、文化庁在外研修員としてウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、国内のみならず、欧米やアジアなど国際舞台でも活躍しているヴァイオリンの佐原敦子。オーストリア国際室内楽音楽祭で最優秀賞を獲得するなど受賞も数多い。そして、やはり東京芸大と同大学院を経て、ロゼピアノコンクールで第1位を獲得するなど受賞を重ね、ソロから室内楽、合唱や指揮の伴奏まで幅広く活躍するピアノの今川恵美子。そんな2人によるデュオ・リサイタルは、ジョルジュ・エネスクのヴァイオリン・ソナタ第3番「ルーマニア民謡風」が軸に。ここへモーツァルトのフレッシュな煌めきのデュオ佐原敦子(ヴァイオリン)&今川恵美子(ピアノ)「ヴァイオリン伴奏のクラヴィーア・ソナタ ト長調(ヴァイオリン・ソナタ第27番、K379)」とストラヴィンスキー「イタリア組曲」と互いに主役を交替する2曲を添え、さらに今川のソロでフランク「前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調」を配した。骨太なプログラムを挟み、2つの才能が対峙するステージ。音楽の煌めきが、目の当たりにできよう。文:笹田和人佐原敦子今川恵美子Ⓒ篠原英治

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です