eぶらあぼ2014.4月号
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54第278回 定期演奏会★4月15日(火)・東京オペラシティコンサートホール●発売中問 東京シティ・フィルチケットサービス 03-5624-4002http://www.cityphil.jpマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) ブルックナーは、重鎮と呼ばれる存在になって初めて深みが出せるのかもしれない。ヨッフムやヴァントをはじめ実例は無数にある。既に70歳を超え、今年9月から新国立劇場の芸術監督に就任する飯守泰次郎も、もはやその領域に入った。ならば、彼の振るブルックナーは聴かねばなるまい。 飯守は、4月の東京シティ・フィル定期で交響曲第7番を指揮する。彼は、1997年から15年間、同楽団の常任指揮者を務め、2012年から桂冠名誉指揮者の地位にある。常任時代には、ワーグナーの7つのオペラを上演して大絶賛を博し、ブルックナーの交響曲も、第3、4、6、7番のライヴCDが高く評価されている。本公演は、そうした独襖ロマン派演奏の実績を踏まえて、新たに開始した『ブルックナー交響曲ツィクルス』の第3回。これまで4番、5番が演奏され、今後は8番、9番が続く。 珍しく初演時から成功を収めた第7番は、ブルックナーらしい重厚な響きや重鎮の深遠なる世界へ飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団息の長さと、彼らしからぬ明快な旋律性を両立させた作品。いわば党派を超えて支持される名曲だ。ゆえに万人が飯守のブルックナーの今を知るには最適だろう。カップリングがブラームス「運命の歌」というのもいい。これは天上と俗世を哀しくも美しく描いたピュアな作品。飯守の信頼厚い東京シティ・フィル・コーアの歌声も楽しみつつ、微妙な関係にあった両雄の世界観を比較することができる。 飯守の持ち味はエネルギッシュで手応えある音楽。年輪を重ねて名品に臨む今回は、そこに一段の深みを加えた、気宇雄大な世界を期待してやまない。文:柴田克彦 2014年度の都響のプログラムが面白い。5月のB定期も、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番とコルンゴルトの交響曲という、生では滅多に聴けない組み合わせ。そこでまずはコルンゴルトに触れておこう。 “モーツァルトの再来”と呼ばれたオーストリアの作曲家コルンゴルトは、1934年からハリウッドで映画音楽に携わった。交響曲は、晩年の52年に米国で完成された円熟の作。劇的な第1楽章、スケルツォの第2楽章、ブルックナーやマーラー風テイストの瞑想的な第3楽章、楽天的で躍動感溢れる第4楽章と続く内容は、多彩で歯ごたえ充分だし、『革命児ファレス』『海賊ブラッド』等の映画音楽も使われているので耳なじみがいい。今年は歌劇《死の都》が複数上演されるなど再ブーム(?)の兆しあるコルンゴルトだが、国内のオーケストラで同曲を聴く機会はもちろん稀少。 指揮はマルク・アルブレヒト。64年円熟の大作と爽快な佳品の貴重なる生体験マルク・アルブレヒト(指揮) 東京都交響楽団ドイツ生まれで現在ネザーランド・オペラの首席指揮者を務める彼は、ベルリン・フィルやバイロイト音楽祭等に招かれ、日本での客演も数多い。R.シュトラウスやベルクを得意とし、コルンゴルトの交響曲はCDをリリースしているから、今回は勝負プログラムでもある。ピアノは76年イスラエル生まれのサリーム・アブード・アシュカール。メータに才能を見出され、ウィーン・フィル、シカゴ響等との共演歴多数の実力者が弾く、明快で愉しいメンデルスゾーンも聴きものだ。 生彩に充ちた音楽に定評あるアルブレヒトが、高機能の都響を振れば、レアな名作の真価が明らかになること間違いなし。ここは絶対に要注目!文:柴田克彦第771回定期演奏会 Bシリーズ★5月27日(火)・サントリーホール●発売中問 都響ガイド03-3822-0727http://www.tmso.or.jpサリーム・アブード・アシュカールⒸPeter Rigaudマルク・アルブレヒトⒸMarco Borggreve飯守泰次郎ⒸAkira Muto
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