eぶらあぼ2014.4月号
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1906〔Ⅰ〕オーストリアウィーン芸術週間[オーストリア](6月分/主要公演のみ)[会場:無印=ムジークフェライン大ホール(ウィーン)、(TW)=アン・デア・ウィーン劇場(ウィーン)、(MQ)=ハレ・E・イム・ムゼウムスクヴァルティエ(ウィーン)]6月2(TW)、4(TW)、5(TW)日 モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ 指/S.カンブルラン、演出/M.ハネケ、出/A.フリッチュ、P.ガルディナ、A.ヴォルフ、J.F.ガテル、K.アヴェーモ、演奏/ドイツ・カンマーフィル◎6月9(MQ)、12(MQ)、14(MQ)日 M.ゲルネB シューベルト:冬の旅 演出・視覚的コンセプト/W.ケントリッジ、共/M.ヒンターホイザーp6月13(TW)、15(TW)日 G.H.ハース:血の家(2014年新訂版) 指/P.ルンデル、演出/P.ムスバッハ、演奏/クランクフォールム・ヴィーン6月14(15:30)、15(19:30)日 V.ユロフスキー指揮ウィーン響 シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番、ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(マーラー編曲版) 独/L.カヴァコスvn6月15(11:00)日 D.バレンボイム指揮ウィーン・フィル シューベルト:水の上の精霊の歌、レーガー:レクイエム、モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」 独/B.フィンクA6月16日 M.ポリーニp シューマン:アラベスク、クライスレリアーナ、ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、子守歌、英雄ポロネーズ6月17日 R.ブッフビンダーp シューマン:幻想曲、リスト:ヴェルディによるリゴレット=パラフレーズ、シューマン:交響的練習曲◎6月18日 P.ジョルダン指揮パリ・オペラ座管ワーグナー:タンホイザー〜序曲、R.シュトラウス:歌曲集(4曲)、ベルリオーズ:幻想交響曲独/T.ハンプソンBr6月19(11:00)日 M.ヤンソンス指揮ウィーン・フィル ショスタコーヴィチ:交響曲第1番、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」◎6月19(19:30)日 P.ジョルダン指揮パリ・オペラ座管 ビゼー:交響曲ハ長調、R.シュトラウス:カプリッチョ〜月光の音楽・終幕場面、ラヴェル:ダフニスとクロエ(第1組曲・第2組曲)独/A.ハルテロスSウィーン国立歌劇場6月1(16:00)、4日 オッフェンバック:ホフマン物語 指/M.レトーニャ、演出/A.シェルバン、出/D.ファリー、M.レベカ、N.クラステヴァ、S.ハウトゼール、P.ベチャワ6月2日 ロッシーニ:チェネレントラ 指/J.ロペス=コボス、演出/S.E.ベヒトルフ、出/M.ミロノフ、A.アルドゥイーニ、L.ラガッツォ、M.グリツコヴァ、A.プラチェトカ6月5、25日 ワーグナー:ジークフリート 指/J.テイト、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.グールド、N.シュテンメ、T.コニエチュニ、E.オーウェンス、H.ペコラーロ6月7、9、13、17日 モーツァルト:魔笛[13年11月プレミエ] 指/C.トリンクス、演出/M.レーゼ、P.コリエ、出/B.シェラット、B.ブルンス、I.マルティネス6月8、29日 ワーグナー:神々のたそがれ 指/J.テイト、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.グールド、E.オーウェンス、N.シュテンメ6月11、15、20日 R.シュトラウス:ナクソス島のアリアドネ 指/F.ウェルザー=メスト、演出/S.E.ベヒトルフ、出/P.マティチ、J.シュメッケンベッヒャー、C.シェーファー、K.F.フォークト、D.ファリー、E.マギー6月14日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/G.ガルシア・カルヴォ、演出/O.シェンク、出/I.トンカ、シャホウ・ジンシュー、G.ベルムデス、P.ルメッツ★◎6月18、21、24、26、30日 ヤナーチェク:利口な牝狐の物語[プレミエ]指/F.ウェルザー=メスト、演出/O.シェンク、出/G.フィンリー、W.バンクル、C.ライス6月19日 ワーグナー:ラインの黄金 指/J.テイト、演出/S.E.ベヒトルフ、出/T.コニエチュニ、N.エルンスト、E.オーウェンス、E.クルマン、J.ベヒレ6月22日 ワーグナー:ワルキューレ 指/J.テイト、演出/S.E.ベヒトルフ、出/P.ザイフェルト、A.アンガー、T.コニエチュニ、G.B.バークミン、N.シュテンメ、E.クルマン6月23、27日 プッチーニ:トスカ 指/P.オーギャン、演出/M.ヴァルマン、出/B.ハーヴェマン、M.ジョルダーニ、T.ハンプソンウィーン・フォルクスオーパー6月1、6、11日 ベートーヴェン:フィデリオ[14年5月プレミエ] 演出/M.ボーテ6月2、7、12、15(16:30)、17、28日 C.ポーター:キス・ミー・ケイト(ミュージカル) 演出/B.モットル6月3(11:00)、13(18:00)、16(11:00)日 C.コロノヴィツ:アントニアと鬼 演出/R.マイヤー6月8、10日 レハール:メリー・ウィドウ 演出/M.A.マレッリ★◎6月14、18、22日 R.シュトラウス:フォイアースノート(演奏会形式)[プレミエ]6月19、21、25、30日 ヴェルディ:イル・トロヴァトーレ 演出/D.W.ヒルスドルフ6月27日 ヨハン・シュトラウス:こうもり 演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニクアン・デア・ウィーン劇場6月2、4、5日 モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ → 〔ウィーン芸術週間〕参照【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年、生誕150年を迎えるリヒャルト・シュトラウス。その誕生日は6月11日。同じリヒャルトでも、昨年のリヒャルト・ワーグナーの盛り上がりと比べて、企画的にも非常に地味な感じを受けるメモリアルイヤーであったシュトラウスだが、誕生月の6月に入って、一気に「生誕150年記念演奏会」と称するコンサートが乱立する状態となった。本文で取り上げただけでも、ハンブルク北ドイツ放送響(ビシュコフ指揮)、シュターツカペレ・ドレスデン(ティーレマン指揮)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管(シャイー指揮)、ケルンWDR響(ネルソンス指揮)、エッセン・フィル(ネトピル指揮)、バイエルン州立管(キリル・ペトレンコ指揮)といった近年売れっ子の指揮者たちによるリヒャルト・シュトラウス特集のオーケストラ・コンサートが並んでいる。企画意図も明白だし、いずれも聴きごたえのある演奏会に仕上げられることだろう。もちろん、特に「記念演奏会」と銘打たないリヒャルト・シュトラウス特集の演奏会もたくさんあり、中でも、6月初めにマゼールがベルリン・フィルを振る演奏会は要注目だ。リヒャルト・シュトラウスゆかりの地であるミュンヘンのオーケストラ(ミュンヘン・フィル)の音楽監督であるマゼールは、昨年からこのオケでシュトラウス・ツィクルスをすでに開始しており、毎回絶好調の演奏会を繰り広げているが、作曲家の誕生日に合わせるかのように満を持して登場するベルリン・フィルの指揮台では、これまたマゼールの微に入り細を穿つ爆演が展開されるに違いない。 一方、オペラでは、第2作目に当たる若き日(といっても「英雄の生涯」はすでにその3年前に書かれているが)の作品「フォイアースノート」(「火の災い」「火の欠乏」などと訳される)が演奏会形式ながら、ウィーン・フォルクスオーパーとドレスデン・ゼンパーオーパー(ドレスデン音楽祭)で演奏される。演出が付かないのは残念ではあるが、実演に接する機会も非常に乏しい作品であるだけに、関心のある向きには、絶好のチャンスということができるだろう。 同じリヒャルト・シュトラウスのオペラでは、ライプツィヒ歌劇場の「影のない女」、フランクフルト歌劇場の「ダナエの愛」が6月の新演出プレミエで注目されるが、5月から引き続きミラノ・スカラ座で上演されるサロネン指揮・シェロー演出の「エレクトラ」と、シェーファーが作曲家、フローリアン・フォークトがバッカスを歌うウィーン国立歌劇場の「ナクソス島のアリアドネ」も6月お薦めの要注目公演となろう。 ところで「記念の年」といっても、リヒャルト・シュトラウスではない人物に焦点を当てたコンサートが2つある。一つは「ヒンデミット没後50年」を銘打ったブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の演奏会。もう一つは「シェイクスピア生誕450年」を銘打ったパーヴォ・ヤルヴィ指揮HR響の「ラインガウ音楽祭」開幕演奏会だ。内容が特に変わっているわけではないが、なかなか興味を引く企画ではある。また、一般のオーケストラ・コンサートでは、インバルが古巣のHR響(旧フランクフルト放送響)でマーラー「葬礼」やバーンスタイン「カディッシュ」を振る演奏会も興味深い。 一方、古楽系指揮者に目を転じると、まずシュティリアルテ音楽祭で上演されるアーノンクール指揮のパーセル「妖精の女王」。この音楽祭では、ヨーロッパ室内管がオペラを担当することが多いが、今年は手兵のコンツェントゥス・ムジクスがピットに入る。また、ヤーコプスは、ケルンのフィルハーモニーでヘンデルの「オルランド」を演奏。ウィリアム・クリスティはフランスのカーンその他でラモーのオペラを2本続けて上演する。ヘンゲルブロックは、バーデンバーデン祝祭劇場でグノーの「ファウスト」を指揮するが、それにネトレプコが出演するということでシーズン発表当初大きな話題になっていた。しかし、最終的にネトレプコはキャンセルとなり、またもやお騒がせの一席となってしまった。チケットを取る聴衆も大変だが、いや一番翻弄されたのはヘンゲルブロック自身かもしれない。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)Webぶらあぼでは数ヶ月分ご覧いただけます。2014年6月の主要オペラハウス&オケ6
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