eぶらあぼ 2014.3月号
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166■3月31日「オーケストラの日 2014」開催 日本オーケストラ連盟は、毎年3月31日を「オーケストラの日」として、一人でも多くの方にオーケストラ音楽に親しんで身近に感じてもらえるよう、各地で工夫を凝らした企画を展開している。 今年首都圏では、全12楽団の選抜メンバーが東京の文京シビックホールに集まり、一日だけの特別オーケストラを編成して、コンサートを開く。今年は“協奏”をテーマに、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、ラヴェル「ボレロ」ほかが演奏される。開演は19時、指揮とピアノ独奏は渡邊一正、ヴァイオリン独奏はエリザベート王妃国際コンクール覇者のアンドレイ・バラーノフ。また、11時からは同ホールで楽器体験やバックステージツアーなどの無料イベントも開催される。 全国各地では、3月31日のほか主に3月の週末を中心に「オーケストラの日」関連イベントが開催される。大阪響、大阪フィル、関西フィル、中部フィル、九響、兵庫芸術文化センター管、京響、セントラル愛知響、札響、名フィル、オーケストラ・アンサンブル金沢、広響、日本センチュリー響、仙台フィルほか、多くのオーケストラがイベント開催を予定している。※詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。公益社団法人日本オーケストラ連盟03-5610-7275http://www.orchestra.or.jp/■「三善晃先生 お別れの会」レポート 去る1月30日、穏やかな雨模様の東京・サントリーホールで、「三善晃先生 お別れの会」が行われた。昨年10月4日に80歳で逝去した世界的な作曲家で、桐朋学園音楽大学の学長や東京文化会館館長としても活躍した三善晃。彼の門下生が中心になって企画されたこの会には、ステージに生前の三善の笑顔の写真と白い花が飾られ、客席には美智子皇后陛下をはじめ、多くの関係者やファンが参列した。 開会の辞、黙祷に続き、門下生代表の作曲家・池辺晋一郎氏と、指揮者・沼尻竜典氏が心温まるお別れの言葉を朗読(池辺は参加できず、録音を流す形)。その後、三善の夫人・由紀子氏による遺族挨拶では、病気の経過や逝去の様子が説明され、参列者に改めて謝意を伝えた上で、献奏が行われた。演目は、岡田博美によるピアノ独奏のための「アン・ヴェール(韻を踏んで)」、堀米ゆず子によるヴァイオリン独奏のための「鏡」、田中信昭が指揮する東京混声合唱団による『五つの童画』から「風見鳥」「砂時計」「どんぐりのコマ」。演奏前に由紀子氏から「いつもの演奏会と同じように、演奏前後にはぜひ拍手を」という配慮があったこともあり、その美しく研ぎ澄まされた秀演の数々にいつまでも温かい拍手が贈られていた。池辺、沼尻両氏がお別れの言葉でも述べていた通り、「三善先生の肉体は滅んでも、その類い稀な魂は作品の中に永遠に生き続ける」ことだろう。(取材・文:渡辺謙太郎)■訃報 クラウディオ・アバド氏 指揮者のクラウディオ・アバド氏がイタリア・ボローニャの自宅で1月20日に死去した。享年80。ミラノに生まれたアバド氏は、ミラノ・スカラ座の芸術監督、ロンドン交響楽団の首席指揮者、ウィーン国立歌劇場の音楽監督、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督を歴任。2003年にはトスカニーニが設立したスイス祝祭管弦楽団を再編してルツェルン祝祭管弦楽団を創立し、世界有数の実力と人気を誇るオーケストラに育てた。 アバド氏は2013年10月にはルツェルン祝祭管弦楽団を率いて東京公演、そして『ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ 松島2013』参加のために久しぶりの来日を予定していたが健康上の理由により実現しなかった。※本誌26ページに音楽ジャーナリスト&プロデューサーの眞鍋圭子氏による特別寄稿を掲載しています。■訃報 ゲルト・アルブレヒト氏 ドイツの指揮者、ゲルト・アルブレヒト氏が2月2日、ベルリンの自宅で死去した。享年78。胃がんを患っていたという。アルブレヒト氏は1935年、ドイツ・エッセンの出身。ハンブルク音楽大学で学んだあと、57年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し注目を集めた。その後ベルリン・ドイツ・オペラの首席指揮者(72〜77)、ハンブルク州立歌劇場の音楽総監督(88〜97)を務めるなど、オペラの分野で活躍しながら、チェコ・フィルの首席指揮者(93〜96)、読売日本交響楽団の第7代常任指揮者(97〜2007)を務め高い評価を得た。読響の常任指揮者在任中には2回の欧州ツアーを実現させ、またグルリットの歌劇《ヴォツェック》の日本初演を行い文化庁芸術祭優秀賞を受賞している。20世紀前半、ナチス・ドイツによって“退廃音楽”の烙印を押された作品の演奏・録音に尽力したことでも知られる。モーツァルト管を指揮するアバド(2013年3月16日 ルツェルン)©Priska Ketterer, LUCERNE FESTIVAL読響を最後に指揮した時のアルブレヒト(2012年6月14日・サントリーホール) ©読売日本交響楽団

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