eぶらあぼ 2014.1月号
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57東京佼成ウインドオーケストラ 第118回定期演奏会★2014年2月16日(日)・東京芸術劇場●発売中問 TKWO チケット専用ダイヤル  0120-692-556http://www.tkwo.jp 本人曰く「暗黒時代を過ごした(笑)」東京音大在学中の2006年、東京国際音楽コンクールで最高位を獲得、以後各地の著名楽団に招かれている、今年(2014年)で30歳になる俊英指揮者・川瀬賢太郎。2月に東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の定期に初登場する。 「中高生時代に吹奏楽部でクラリネットを吹き、指揮者としても吹奏楽団を10回くらい振っている」から経験は充分。日本のトップクラスのTKWOもNHKの収録で2回指揮している。 「すごくまろやかなサウンド。理性やバランスが保たれていて音が崩れない。それに楽員の皆さんが音楽に対して本当に熱心で、しかもフレンドリーです」 プログラムの軸は、何とマーラーの交響曲第1番「巨人」全曲! 「もちろん好きな曲ですし、マーラーは軍楽隊に親しみをもっていた作曲家で、随所にその描写が出てきます。そこで吹奏楽版の『巨人』もナンセンスではなく、マーラーが生きていたら『面白い』と言ってくれるかもしれないなと。ある意味挑戦ですが、やりがいもあります」 使用譜は、海上自衛隊東京音楽隊の河邊一彦隊長による「非常によくできた編曲」。目指すサウンドの方向性は? 「リハーサルで考えがどう変化するか?も楽しみではありますが、作品の本質は変わらないので、そこがブレないのがまず大事。サウンド作りとしては、『吹奏楽だとこういう響きがしますよ』との視点で、オーケストラでは見えなかった部分に新たな光を当てていきたいと考えています」 指揮者にラドミル・エリシュカや飯守泰次郎の起用など“クラシック色”を強めるTKWOとしても、チャレンジングな公演となる。 「『巨人』は、第4楽章のエキサイティングなイメージが強いのですが、実はとても繊細な作品。TKWOのサウンドにマッチすると思いますし、私もメンバーの一員という感覚でディスカッションしながら、一緒に音楽を作っていきたい」 前半には、シアトル響の首席トロンボーン奏者・山本浩一郎を迎えて、J. マッキーの「Harvest Concerto for Trombone」が演奏される。これも聴きものだ。 「毎夏ジュニア・フィルの指導でご一緒していて、共演をお願いしました。マッキーの曲は、ジャズやブルース的な面もあるカラフルな作品ですから、聴いていて楽しいと思います。それに山本さんは滅茶苦茶上手い。もう音がトロンボーンの概念を超えています」 1曲目には、古いファンには懐かしいマクベスの「マスク」も披露され、川瀬いわく「マーラー、マッキーと合わせて“3М”になる(笑)」。 2014年4月から神奈川フィルの常任指揮者に就任する彼だが、オーケストラ・ファンもまずは本公演にご注目あれ!取材・文:柴田克彦マーラーが生きていたら「面白い」と言ってくれるかも川瀬賢太郎(指揮)インタビューマークのある公演は、「eぶらあぼ」からチケット購入できます(一部購入できない公演、チケット券種がございます) 桐朋学園大学の学長を長らく務めるなど、教育者としても知られるチェリスト、堤剛。彼が才能を認める若手と共演する室内楽の夕べが、銀座ヤマハホールのスペシャル・コンサートとして実現する。出演は堤のほか、昨年の日本音楽コンクールを制した会田莉凡(りぼん)(ヴァイオリン)、可憐な中にも凛とした輝きを放つ水野由紀(チェロ)、そして堤が室内楽の共演者として信頼を寄せる須関裕子(ピアノ)の3人。プログラムはバロックから現代までのソロ、デュオ、トリオをバラエティ豊かに配した。堤が2012年に初演した湯浅譲二のソロ作品、堤と水野によるボッケリーニの2台チェ世代を超えた華麗なる競演堤剛 スペシャル・コンサート〜若きホープとともに〜ロ作品など、聴きどころが盛り沢山。だが、ハイライトはやはり、ベートーヴェン「街の歌」とメンデルスゾーンの第2番の2曲のトリオだろう。チェロ・パートを前者が水野、後者が堤と弾き分けるのも含め、瑞々しく充実した掛け合いをたっぷりと堪能できそうだ。文:渡辺謙太郎★2014年2月7日(金)・ヤマハホール ●発売中問 ヤマハ銀座ビルインフォーメション03-3572-3171http://www.yamaha.co.jp/yamahaginza堤剛Ⓒ鍋島徳恭 Ⓒ井村重人 水野由紀ⒸShingo Azumaya会田莉凡須関裕子

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